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大聖女の姉  作者: 房一鳳凰
第三章 スーパー闘技大会編
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最後の二枠の巻

『白い髪をなびかせて『ガーバア』がゴールイン、第10位です!残る枠はあと二つ!』


 次々と最終予選通過者たちが決まる。ところが11人目以降がなかなか来ない。



『10着と11着が大差ですね……どうしたのでしょうか?まさか完走できずに……』


『聞こえないか?大闘技場の外の騒ぎを』


 大観衆が声を出すのをやめてみた。すると確かに何かが聞こえてくる。ぶつかりあう音や悲鳴、絶叫などだ。



「ああっ!あれは………入口で戦っている!」


 客席の上のほうからは外が見える。選手たちが激しく戦い、何人も倒れていた。


『これまでの10人は妨害の必要などなく安全圏……しかし最後は少ない権利を争って潰し合いだ!』


 このまま競走になったら勝てないと誰かが手を出し、それに反撃したり巻き込まれたりして大乱闘に発展したと皆は予測した。全員腕自慢の実力者たちだから、こうなったら速さではなく強さで決着をつけようとしたのだろうと考えるのが普通だった。




「ハァ……ハァ………」


「こ、こいつ………強い!がはっ……」


 ところが実は違った。11番目に大闘技場に戻ったサキーが次から次へと選手たちを倒していた。その理由は一つしかなかった。


「………サ、サキー!」


「遅かったな……だが間に合った!一人逃がしたがまだ11人………お前が12人目だ、行け!」


 サキーはその場に倒れた。私のために門番として戦い続けてくれていた。遠慮はしないと誓い合っていたのに……。



「サキ――――――!」


「ジャッキー………!」


 サキーの愛と友情を目にして、私の身体が光った。マキの助けを借りなくても大聖女の力が出せる時はある。ただし自分で発動をコントロールできない。



「完全に癒えた……人がよすぎるな、ジャッキーは。私を放ってゴールに向かえばよかったものを……」


「いやいや、それならサキーのほうでしょ。私といっしょにゴールするために無茶をして!」


 サキーの傷は治した。二人で軽く抱きあってから大闘技場に入った。ゆっくりと並んで歩く。


「よし……今度こそ恨みっこなしの勝負だ!フィールドに足を踏み入れたら……」


「どっちが12着に入れるか……競走だっ!」



 いろいろあったけど優勝するためにはいつかサキーともぶつかる。それが早かっただけのことだ。もし今サキーにキスでもすれば鼻血を吹いて倒れるだろうから私の勝ちが決まるけど、ここまできたら正々堂々決着をつけたい。


(私とのキス……サキーにとってご褒美なのかお仕置きなのかわからないな)


 私が勝ったら感謝のため、私が負けたら先に進むサキーを激励するために……なんてことを考えている場合じゃない。サキーとの勝負に集中しようと闘志を燃やしていたら、レースは思わぬ結末を迎えた。




「素晴らしいっ!感動したよ!二人の友情に涙が止まらないっ!!」


 フィールドに入った私たちを待ち構えていたのはマキシーだった。泣きながら拍手をしている。


「あなたたち二人こそ決勝に行くべきだっ!さあ、私を抜かしてゴールに入ってくれ!」


「………怪しいな。さっきは死んだふりをしてまで私を出し抜いたのに権利を譲るだと?」


 サキーから逃げた11位の選手はマキシーだったのか。なぜかゴールしないで私たちを待っているのは意味不明で、不気味だ。マキシーは睡眠や幻覚の魔法のマスターだから油断できない。



「何が目的だ?お前には仲間がいて、そいつの到着を待っているのか?私がそうしたように……」


「違うよ。あなたたちが美しすぎて、こうしたいと思っただけのこと。騙そうだなんて少しも考えてない」


 魔法を使う気配は全くない。鋭い歯で攻撃してくる様子もない。本気で私たちに譲るつもりだ。



『ライバルを潰し蹴落とすのがこのスーパー闘技大会だったはずです!しかし私たちの目の前にいる三人の若い少女たちは違いました!』


「サキーさんはジャッキーさんと共に決勝に行くために、危険を顧みず強豪たちと戦った。ジャッキーさんは重傷のサキーさんを回復して、譲られた勝利ではなく正々堂々の戦いを求めた……」


「それに感動したマキシーが二人に決勝行きの権利を渡そうとしている……泣かせるじゃないか!」


 観客席から大きな歓声が起こった。真に高潔で褒め称えられる者たちだという賛辞まで聞こえてきた。



「いや、ありがたいけどやっぱりそれはできない。マキシーが11人目としてゴールして、それから私とサキーで最後の席を争うべきだよ」


「ジャッキーの言う通りだ。情けはいらない、行け」


 私たちはマキシーがゴールしない限りここから動く気はなかった。もう後ろからは誰も来ないから、いつまでも待てる。


「そんな……私はあなたたちが決勝トーナメントで戦う姿が見たいのに。その友情は必ずや不可能を可能に……」


「うるさい!さっさと………」


 次の瞬間だった。マキシーの持っていた紙が落ちた。ポイントを順番通り通過した証明となるサインを書いてもらうための紙だった。



「ほら、落ちたよ………あれ!?」


 なんと、マキシーは途中でサインを受け取り忘れていた。一つだけ抜けている。


「これって………知ってたの?」


「うう〜〜〜っ………そいつの猛攻から逃げて大闘技場に入った瞬間気がついたんだ!今から取りに戻っても間に合うわけがない。せめてカッコイイ形で脱落して、この情けないミスを隠したかったんだ〜〜〜っ!」


「マキシー……お前は本当に馬鹿な女だな」




『感動ムードは消え失せました!くだらない結末です!』


 称賛が一転、大闘技場は失笑に包まれた。間抜けな失敗を隠そうとしたどころか自分を高潔な人間に見せようとしたマキシーの評価は地に落ちた。


(……こうなる前に私とサキーがゴールしてあげるのが最善の行動だったなんて……わかるわけないよ)


 かわいそうだからいっしょにゴールまで連れていってあげた。急に不安になったから一応自分の紙も確認した。私は問題なし、サキーも大丈夫だった。



『三人並んでゴール!しかしマキシーはサインが足りないので完走とはなりません!11着同着でサキーとジャクリーン・ビューティが決勝トーナメント進出を決めて最終予選は終了です!』




「………また………愛の力で………彼女は………」

 DeNAの日本シリーズ進出はもう確実なんだから巨人はさっさと諦めて棄権しろこのヤロー。ついでにこの作品のブックマーク登録と高評価もさっさとやっとけよ、わかったかよく覚えとけ!


 ↑の元ネタであるEVILのIWGP世界ヘビー挑戦はもうないのでしょうか。3回失敗(鷹木、SANADA、モクスリー)しているので個人的には厳しいと思いますが、ずっと棚橋や海野と遊ばせるにはもったいないレスラーと思います。

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