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大聖女の姉  作者: 房一鳳凰
第三章 スーパー闘技大会編
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55点獲得の巻

 突然の発光、誰が見てもわかる満ち溢れるほどの魔力。私の変化はマキによってもたらされた。99人目のハルイチが魔玉投げに挑戦している時だった。



「んむっ……んちゅっ………」


「んん―――っ!ふうっ……」


 いきなり激しいキスをしてきた。ハウス・オブ・ホーリーとの戦いの最中にやったのと同じような、長くて深い口づけだ。



「ぷはぁっ……気持ちよかった!」


「はふっ……いきなり何を………はっ!!」


 マキの目的がわかった。私の全身が熱くなってきた。


「魔力に満たされている……そうか!」


「わたしたちが一つになれば真の大聖女の力が出せる。当然お姉ちゃん自身の潜在力も……」


 短い時間しか効果がないとしても、魔玉を一回投げるだけなら十分だ。マキに助けられた。




『審判が確認しますが魔法は使っていません!問題なく競技に入ります!』


『な…なぜ………あっ!マキナ・ビューティ!そうか、大聖女が………くそぉっ!!』



 魔玉は全く重くなかった。だけど私はまだこの力を制御できない。投げ方が悪かった。


「あっ!!」


『ア…アハハハ!見ろ!やつにとって借り物も同然の力!使いこなせるはずがないのだ!』


 勢いはあっても低すぎて1点の札へ一直線。せっかくマキが助けてくれたのにくだらない失敗で私の大会が終わろうとしていた。



『当たった!ジャクリーンの記録は1点……』


「いや、違う!見ろっ!」


 的に当たって玉は落ちるだけ……と思いきや、突き破って飛んでいく。勢いはそのままだった。


「2点の的も……3点も!」


「いけいけっ!」


 あの的が破れるものだとは思わなかった。マキの力はやっぱり規格外だ。


「4点……5点……6点!」


『ぐっ!想定外ではあるがやつを合格とするしかない!これで50人は決まりだが……どこまでいくんだ!?』



 大闘技場は祝福の歓声よりも動揺のどよめきのほうが大きかった。投げた私が一番驚いているくらいだ。


『ようやく止まりましたが……そこは10点の的!』


「すごい!ジャクリーンさんの成績はただの10点じゃない……55点だ!」


 1から10まで全部足せば55点ではある。5点でいいのだから無駄な得点とはいえ、周りは大騒ぎだ。



「ありがとう!マキのおかげだよ!」


「いつでも言ってね!今でもいいよ!」


 マキは満足気に笑った。一方でラームたちは……。


「妹様だけ羨ましいな……ぼくたちのキスにも特別な力があれば人目を気にせずやれるのに!」


「私たちにもできるはず!愛といっしょにパワーを送る方法を探さないと!いや、そんなものなくても適当に……」


 大勢の前で私といちゃいちゃする方法を探していた。マキに見せつけられたと思っているようで、とても悔しそうだ。




「大聖女の愛の力で………反則じゃないのか」


「………また………愛………」





 次はいよいよ最終予選だ。50人が12人に絞られる。その大事な競技の前に、またしても裏で動きがあった。


「あいつの邪魔をするだけで決勝トーナメント進出と同じ金を出してくれるのか?悪くないな。やってやる」


「ふん、私は金じゃ動かない。だがあいつが気に入らないのはあんたらと同じさ。ちやほやされてるバカを叩きのめしてやるよ」


 アブドゥラとナッツが王様の手下になっていた。大柄な力自慢二人が手を組めば私を止められると思ったようだ。


(遊びは終わりだ……息の根を止めてやる)




『最終予選はレースです!50人でスタートし、12位までの選手が決勝トーナメント進出となります!大闘技場を出ていくつかのポイントを通過し、再びここに戻ってきます!』


『それぞれのポイントに担当の人間がいる。全てのサインがなければ正式なルートを通らなかったとみなし、失格とする!』


 最後の試練に求められるのは体力と足の速さか。しかし単純な競走ならこの大闘技場のフィールドを何周かすればいいだけで、きっと何かがある。



『そして始めに言っておこう、妨害ありだ!背後からの魔法攻撃、並走する選手への打撃、複数人での攻撃、何でもありだ!どんな方法を使ってもいいから12着以内に入れ!』


 これはよくないルールだ。レースのはずが結局大乱闘と同じになってしまう。誰も走らずスタート地点で戦って人数を減らそうとしたら、もうレースではなくなる。


『もし完走者が12人以下でも敗者復活や補欠選手はない、それも覚えておくように!』


 私ではなくマキが出ていたら、ここで残る49人を全滅させていたに違いない。マキだけが完走して、決勝トーナメントなしで優勝者が決まる。スーパー闘技大会史上最も盛り上がらなかった最低の大会として語り継がれるところだった。



『真に強い人間のみが決勝トーナメントに進み、リングで戦う権利を手にするだろう!準備を始めろ!』


 50人がぞろぞろとスタートに向かう。すると私のすぐそばに二人の怪物がやってきた。


「スタートの合図と同時だ……お前の脳と顔をグチャグチャにして元の形がわからないようにする」


「虫けらみたいにプチュリと潰してやるよ」


(ひえ〜〜〜〜〜〜っ………怖い!)


 アブドゥラとナッツだ。この二人にダブルで攻撃されたら頭どころか全身がぺしゃんこになる。

 

 一対一でも勝ち目がないのに二人を相手にするのは無理だ。リタイアは確実に思えた。




『よ―――い………スタート!!』


「死ね!ジャクリー………あっ!?」



 たった数秒の出来事だった。二人の腕が私の頭に振り下ろされる……ことはなかった。二人とも一斉攻撃を受けてボロボロの状態で倒れている。


『いきなり動きがありました!即席タッグでジャクリーンを狙ったアブドゥラとナッツでしたが、逆に集団攻撃の餌食!動けません、脱落です!』


 サキーが火炎斬り、フランシーヌさんとエーベルさんが炎の魔法でアブドゥラを焼き尽くした。ユミさん、マキシー、ツミオさんはナッツを痛めつけてくれた。



「皆さん……ありがとうございます!」


「あなたがこんな形で脱落するなど許されません。ですからここは助けましたが……」


「ここからは真剣勝負だ!決勝トーナメントの権利まで譲るつもりはない!」


 みんなで助けあってゴールを目指す、そんな甘い話はない。全員がライバルだ。

 高評価&ブックマーク登録していないザコがまだ大勢いるようだな。


 そんな連中は俺のブラスナックルで頭◯チャ◯チャにしてやる。


 文句あるか?



 ↑の元ネタが分かる方は最高にGLEATしてますね。ブラスナックルとファイヤーはそのうち仲間割れしそうな予感がします。

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