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大聖女の姉  作者: 房一鳳凰
第三章 スーパー闘技大会編
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参戦の理由の巻

「妹様が不参加となると……ジャッキー様の優勝が見えてきたんじゃないですか!?」


「ますます大会が楽しみになってきましたね!」


 ラームとマユの声が弾んでいる。マキがいなくなったら私が優勝できるという考えにどうして至るのか。


「フッ……残念だが優勝は私だ。ジャッキーには頑張ってもらいたいが……」


「違うな!勇者である私が優勝だ!熱心に訓練をしてくれるお前たちを越えること、それこそが最高の恩返しとなる!」


 サキーとユミさんも私をライバル視している。勘違いしているのはラームとマユだけではなかったようだ。



「……いや、マキが出ないなら私も出ないよ?」


「………へ?」


「前回だってマキをルール無用の悪党から守るために出場した。それしか目的はなかった」


 力試しに興味はない。家のお金もまだまだ余裕がある。予選敗退が濃厚だし、私がいなくても何の影響もない。



「そんな……ジャクリーン様の勇姿が………」


「精一杯サポートするつもりでしたが……」


 みんな残念そうにしている。そんなに私が一次予選で脱落するところを見たかったのか。


「それならいっしょに観戦だね。わたしなら最前列の席を用意できるから、二人で座ろ!あっ、残りの人たちは自分で席を買ってね」


 サキーやユミさんの応援に専念できる。必要ならリング下でのサポート役もやるつもりだ。


「出場しないと決まったら気が楽になったよ!さあ、ユミさんとキヨさんの訓練を続けよう!」


 私の意志が固いのを知って、それ以上は誰も何も言わなかった。この話はこれで終わりだと思っていたら、夜に事態は急変した。





「ジャッキー、登録しておいたぞ。マキの代わりに頂点に立つんだ」


「………え?お父さん?」


「記念大会の準優勝者だ。予選からというのがおかしな話だが、お前ならやれる!」


 知らないところで話が進んでいて、出場が決まってしまった。昨日か一昨日には必要な書類が提出されていたようだ。


「どうして勝手に……どうせ棄権するよ?」


 私に何も言わず危ない場所に送り込むなんて、今までの過保護なお父さんならありえない。怒らせるようなことをしたかなといろいろ考えたけど、何も思い浮かばなかった。



「ジャッキー……我がビューティ家の資産は確かに今のところ安泰だ。王家からの援助が打ち切られたところで痛くもなんともない……しかしそれは永遠に、ではない」


「そ、それはそうだよ。いつかはなくなる。でも私だって稼いでるし……」


「その程度の収入で足りるのか?全て聞いたぞ。ここにいる五人……全員を妻にして、しかも子どもを産ませようとしているとな」



 私は椅子から転げ落ちた。誰がそんな嘘をついたのか……頭の中ですぐに犯人探しを始めた。


(あ―――っ!!ま、まさかっ!!)


 犯人は私だ。「一人を選ぶなんて無理、みんなかわいい」と言ったのは確かにこの私だった。あの場を乗り切るための言葉だったとはいえ、今からどう弁明しても言い訳にしかならない。


「新しい家や土地の用意はもちろん、ジャッキーが家族全員を養わなくてはならない。だったらもう、スーパー闘技大会の優勝賞金しか方法はないだろう」


「お金が結婚生活で最も重要と言うつもりはありませんが、計画がしっかりしていなければ愛も幸せも消えてしまいます」


 お母さんからも厳しい忠告をもらった。ありえない話ではあるけど、全員と結婚して子どももいるとなったら家族はかなりの大人数になる。母親になったマキやサキーがこれまでのように働ける保証はない。



「問題は金だけではない。大聖女であり実の妹でもあるマキと結ばれるなんて、普通ならありえない。皆に非難され、下手したら殺される。しかしスーパー闘技大会の優勝者であれば認めざるをえないのだ」


「世間を納得させるために強さを証明する……か」


 驚くべきことに、お父さんとお母さんは私とマキの結婚に反対していない。私たちが幸せならそれでいいという。むしろビューティ家の血が100パーセント流れる孫の誕生を楽しみにすらしていた。ルリさんの魔法ならそれができると信じている。


「ジャッキーの嫁候補はマキ以外も全員誰もが羨む者ばかり……どうしてあんなやつがという声を黙らせるためにも!この大会を制することは避けて通れぬ道なのだっ!!」


 説得力のある言葉だった。私がダメ人間のままだったらみんなの肩身が狭くなって、悲しませてしまう。あいつと結婚するのなら納得、そう思わせる手っ取り早い方法は目に見える実績を残すことだ。



「……よし!参加するぞ!たまにはいいところを見せないとみんなに捨てられちゃうかもしれないしね!」 


「おおっ!その意気だ、ジャッキー!」


「素晴らしいわ!また一歩大人になった!」


 二人のおかげで挑戦する気になれた。火種すらなかった私の心に炎が燃え盛った。



 

 ところが、その炎が再び消えそうになった。その原因もなんとお父さんとお母さんで、周りに誰もいない時に小声で話しかけてきた。


「………ジャッキー。最低でも決勝トーナメントには残ってくれ。その金があればひとまず凌げる」


「え?凌げる?まるでお金がないような言い方を……」


「……ないのよ。王国からもらえなくなったでしょ?だからこっそり商売を始めてみたんだけど………これが大失敗!家のお金、ほとんど残ってないのよ!」


 頭を抱えた。みんなの前では余裕があると豪語していたのに、実はすっからかんとは。


「……マキには言えない。わかってくれるな」


 マキとマッチョ王子の婚約が解消されたから資金援助がなくなった。だからお父さんたちの失態は自分のせいだとマキが考えてしまうことは絶対に避けたい。


 家の危機を救おうと闘技大会に参加して、大聖女の命を狙う悪人に襲われることもありえる。もしくはやる気を出しすぎて私以外の参加者を皆殺しにしてしまうか……こっちのほうが可能性は高い。とにかく駄目だ。



「マキだけじゃない。誰にも知られないように」


 数年後のためとか言ってる場合ではなくなった。

 今年の横浜DeNAベイスターズは3位、これで3年連続のAクラスです。結果だけ見れば大健闘でしたが、まだまだ上が狙えるチームです。下剋上での日本シリーズ出場に期待しましょう。以下、シーズンを振り返ります。



 打撃 ◎


 極端な投高打低で、悲惨な成績の選手を数合わせでスタメン起用しないといけないチームが多い中、DeNAは捕手や二塁手が打ちまくるのだから強いに決まっている。他チームなら文句なしのレギュラーでもDeNAではベンチ入りすらできず二軍、そんな選手が何人もいたことを考えても、打線は文句なし。オースティンの規定打席到達と首位打者獲得がとにかくめでたい。



 投手 ◯


 今永とバウアーの退団で大幅な戦力ダウンが予想された割には頑張った。先発陣は東が今年も好調で、新外国人たちも活躍したのがとても大きい。救援陣も数字や指標ほど他球団より悪いイメージはなく、個人的にはあまり文句はない。ただし先発もリリーフも際どい判定や野手のエラーの直後に崩れる投手が目立ち、精神面で脆いところがあった。



 走塁 ◯


 盗塁が激増。成功率100%の牧は見事だった。チームの盗塁技術は上がったのは確かだが、走塁技術が上がったかと問われると答えはノー。つまらない走塁ミスは減らず、無謀な憤死も何度も目にした。これは誰が悪いとかではなく、このチームの伝統芸。



 守備 ☓


 ゴミ



 采配 △


 投手が0か1に抑え、打者がホームランを打てば勝てる。先発が早々にパンクしたり、接戦で継投や代打の起用が重要になる試合はことごとく落とした。



 横須賀 悲願の日本一!早く一軍も優勝してくれ!

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