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第3話:婚約話

 二匹の奴隷、サベージのタイロックと正体不明のキリエを従えてから二ヶ月が経過した。

 最初こそは色々な不満はあったものの、今はそれなりに納得できるようにはなっていた。


 というのも、この国の騎士共は王族に剣を向けるなど言語道断だと抜かしやがるせいで、戦闘訓練が行えない。

 だが奴隷ならば別ということで、将来俺の相手をさせる為に今はひたすら鍛えてやっている。


 まぁ俺が満足できる強さになるまで気の長い話になるが、将来性があるのはいいことだ。

 何のイベントもなく、何かを成し遂げるでもなく、ただ惰性のまま生き、そして死ぬ未来しか見えないよりかは何倍もいい。


「―――で、何の用ですか親父殿」


 そんな感じで城の中庭で剣を持たせた二匹を数時間ほど素手で叩きのめして休憩させていたところ、隠れてこちらを覗いていたシュウ王14世に声をかけると、笑顔を浮かべながらこちらにやって来た。


「いや~奴隷の子と仲良くやってるか気になっててね。ちゃんとやれてるみたいじゃないか」

「まぁ言葉が分かるしエサ……食事は勝手に用意されるしトイレも理解してるからペットよりも簡単だしなぁ……」


 奴隷は人に非ずという言葉はあるが、言葉が分かる人間じゃなければこんなに簡単じゃないだろうに。


「それで、用がそれだけならいつも通り母上を放っておいて女遊びにでも精を出されれば如何か」

「その精を出すというのはどちらの意味でも通じるな。まだ8歳なのにもう言葉が堪能になってきたな」

「そんなつもりで言ってねぇよ!」


 病弱なせいで母上は1日のほとんどがベッドの上である。

 だというのに、このクソ親父は数日に一度しか母上の所に顔を出さない。


 これでもティファレト国の王としての国務が忙しいという理由があるのならまだ納得できるが、いつも官僚の言うことに頷くだけのお飾りの王なのだ。

 いくらでも時間を作れるというのに、知らない女と喋ってる場面の方が多い。


 別に自分はマザコンではないが、これではあまりにも母上が労しいと思ってしまう。


「ところでショウ、本当は女の子の奴隷が良かったんだってな? うんうん、分かるぞ。私もお前の気持ちがよ~く分かるとも。女の子に興味津々なんだなぁ」

「……チッ」


 確かに異世界転生したら奴隷をはべらせてハーレムというお約束の為とはいえ、やろうとしたことはこのクソ親父と似たようなものだと考えると、強く非難することもできない。

 こんなのでも、血は繋がっているということだろうか。


「そんなお前にいい話を持ってきたぞ。 なんとマルクト王朝のお嬢様との縁談だ!」

「………はぁ? いや、ちょっと待った! 俺ぁまだ8歳だぞ!? もう結婚の話すんのかよ!」

「む、結婚はまだ嫌か? ということは、私のように女遊びをしたいと」

「んなわけあるかぁ!!」

「そうかそうか、なら問題ないな。 では来週には顔合わせをするからな、準備しておくんだぞ」

「はぁ? そんな急に――――」


 いや……これもある意味、異世界転生のお約束なのだろうか?

 そう考えている内にクソ親父はさっさと姿を消し、俺は人生の墓場へと押し出されてしまった。

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