第13話:異世界転生者vsチート
このナーロッパ世界において異世界転生者というのは、高位存在の魂だけが流入したといった感じに認識されている。
だから異世界転生者がチート能力を持っていても、高位の存在なのだから当たり前なのだと認識されている。
そういった理由から、異世界転生者が「いや、俺は一般人でしたよ」と言ったとしても、この高位存在が暮らす世界での一般人であり、こっちの奴らにとっては凄い人物なのだと思われるのだ。
まぁ俺にとっては同郷の人間なので別に特別扱いはしない……つもりだったのだが、流石に今までが今までだっただけに期待したくもなる。
こいつなら俺のチートを全力で使っても大丈夫かもしれないと。
まぁ本当に本気で戦うとホド皇国が滅ぶ可能性があるから、あくまで対人戦レベルでの本気だが。
というわけで、俺は観覧席から試合場にいるタイロックに手で合図を送る。
ハンドサインは知らんし事前の取り決めとかもないが、察することくらいはできるだろう。
『それではタイロック選手、リングの上へどうぞ!』
「……タイロック、棄権する」
それを言った瞬間、司会と会場が一気にざわついた。
『タ、タイロック選手!? タイクーン皇子が授けようという栄誉を蹴られるのですか!?』
「タイロック、奴隷、戦うの、主人の、許可」
そう言ってタイロックがこちらを見たのにつられて、会場中の視線が俺に向いた。
「ハァッ!」
観覧席からリングまで飛び降り、タイクーン皇子の前に立つ。
年齢は俺と同じ程度、夕日のように輝く髪が少しばかり眩しいか。
「奴隷が王子様に剣を向けたら大問題だが、俺なら同じ王族だし問題ねぇよなぁ」
『ま……まさか!? ティファレト国の王子、ショウ王子が相手するのか!? これはタイクーン皇子にとってもサプライズだぁ!』
実況の奴もノリノリなせいで、観客も一気に沸きあがった。
いきなりサプライズなんかかましてきたんだ、逆にかまされたって文句は言えねぇだろ。
「いいだろう、ショウ王子の決闘を受けよう」
≪ウオオオオオオオォォ!!≫
タイクーン皇子の許可が出たことで会場は決勝戦よりも高い熱気に包まれた。
なにせこの国の王族は基本、血統でチートを受け継いでいる。
チート同士の戦いなんぞ、普通は拝めないからな。
「―――ところでタイクーン、お前も異世界転生者なら聞いておきたいことがある」
「フッ、このタイミングでナニかな?」
「俺ぁ猛牛派だ、お前は?」
異世界転生人同士ならではのやり取りである。
あちらの世界では政治と野球の話題は喧嘩になると言われている。
だからこそ、ここでお互いに贔屓にしている球団を言えば、その時点で決闘開始の合図になるだろう。
まぁ地域によっちゃ被るかもしれんが、その時はサッカーでも何でもいいだろ。
さぁお前はどこのチームの回し者だ?
獅子か、鷹か、それとも別リーグの虎か―――。
「僕はユニコーン派だな」
「―――はぁ?」




