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88話

88話


「タロウ様、ご覧の通り本日の会話は他言無用となっております」


 契約内容を読みながら、何か落とし穴が無いか隈無く探す。


 契約の内容的に『腹を割って話そうや』ってことだよな?


 ふーむ。


 穴は無いが、この契約内容だとクラウスたちは契約スキルで拘束されないぞ?


 他言無用なのはハリマンとミリスさんだけ。


 俺たちは、俺だけが他言無用であり、クラウスたちは話せる。


 つまりだ。


 秘密にしなければならない程の内容は、俺たちに関することだ。


 それも、俺を序列の最上位にするほどの内容だ。


 そんな大それた内容なんか俺たちにあったか?


 ん?


 んんん?


 え?


 おいおいおい。


 ま、まさか『複製スキル』がバレたのか!?


 いや、落ち着け。


 それなら帯剣を許さずに騙し討ちで俺を殺し、『複製スキル』を奪うだろ。


 ふーむ。


 そうするとだな……。


 全く分からん。


 とりあえず……。


「ミリスさん、契約内容と本日の目的を理解しました。確認ですが、話の内容によっては私の判断からクラウスさんたちに助言を貰っても大丈夫ですよね?また、クラウスさんたちの判断で、私に助言をするのも大丈夫ですよね?」


 俺の質問に対して、ミリスさんがハリマンをチラりと見ると、ハリマンがコクりと頷いた。


「タロウ様、大丈夫です」


「かしこまりました。契約に同意します」


「それではタロウ様、ハリマン様、契約内容を記した高品質パピルスに手を置いて頂けますか?」


 ミリスさんの指示通りに契約書に手を置くと、次いでハリマンが、そしてミリスさんもまた契約書に手を置いて『契約スキル』と唱えた。


 手から心臓へと熱が入り、契約は成された。


「タロウ様、ハリマン様、これで契約スキルによる契約は完了致しました。ご存知の通り、契約スキルにより魂は拘束され、互いに行動が契約内容通りに義務付けされますのでご安心ください。また本契約書はタロウ様にお渡し致します」


 ミリスさんから契約書を受け取り、そのままペロシさんに渡す。


 ペロシさんも見たいだろうし。


「さて、これで気兼ねなくお互い色々と話せるが……私からタロウ殿に話すよりも、ミリスから話す方がタロウ殿も気を遣わなくて良いだろう。ミリス、頼めるか?」


「ハリマン様、かしこまりました。タロウ様、迷宮都市ハリスは有史以来の未曾有の危機に陥っておりました。その有史以来の未曾有の危機が、何かお分かりになられますか?」


 は?


 有史以来の未曾有の危機?


 ハリスに来たばかりの俺に、そんなの分かるわけねーだろ。


 だが、俺がこの場に呼ばれていることが答えというかヒントだよな。

 

 つまり……。


「私が迷宮都市ハリスに訪れたことですよね?」


「タロウ様、その通りとも言えますし、違うとも言えます。迷宮都市ハリスを運営する上層部は、タロウ様の『何に』有史以来の未曾有の危機を感じたと思われますか?」


 ふーむ。


 俺の『何に』危機感を感じたのか?


 そりゃこれだろ。


「私の商品の技術力と文化力でしょうか?」


「タロウ様、確かにタロウ様の商品の技術力と文化力は大変魅力的であり、また脅威的ではありますが、ハリス上層部は危機感までは持っておりません」


 ん?


 技術力と文化力じゃないの?


 とするとだな……。


 うーん。


 これかな?


「私の国そのモノでしょうか?侵略の意図があるのか?無いのか?とかですよね?」


 『在りもしない国』だけどね!


「タロウ様、その通りとも言えますし、違うとも言えます。迷宮都市ハリスを運営する上層部は、タロウ様の国の『何に』有史以来の未曾有の危機を感じたと思われますか?」


 ん?


 国だけど、国の技術力と文化力じゃないんだよね?


 うーん。


 危機感が出るとすれば……軍事力?


「えっと……軍事力ですかね?」


「タロウ様、その通りとも言えますし、違うとも言えます。迷宮都市ハリスを運営する上層部は、タロウ様の国の軍事力の『何に』有史以来の未曾有の危機を感じたと思われますか?」


 ん?


 えーと……。


 技術力や文化力では?


 でも技術力でも文化力でも無いし。


 というか、技術力や文化力に関係の無い軍事力って、何?


 一休さん的なトンチ?


 うーん。


 えーと。


 いやいやいや。


 つーか、『在りもしない国』の軍事力の何に危機感を抱いてるのか、逆に俺が聞きたいわ。


「ミリス、もう良い。確信した。我々が敵対しない限り、我々は安全だ。次に進め」


 俺が一人でうんうん悩んでいると、ハリマンからストップが入った。


 しかも勝手に何かに納得してるし……。


「ハリマン様、かしこまりました。タロウ様、ハリス上層部の調べではタロウ様が迷宮都市ハリスに来られて9日目と判明しております。これはタロウ様を宿まで案内した壁外の衛兵の証言により確定しております」


 まぁ、そりゃ調べるよな。


 商品の出所が知りたいだろうし。


 ん?


 んんん?


 おいおいおい。


 まさか……。


「タロウ様、ハリス上層部はタロウ様の商品の出所、また迷宮都市ハリスに来られた経路を詳しく調べました。しかしながらどんなにどんなに調べても、痕跡が何一つありません。『銀馬車』という、あれ程人目を引く脅威的な技術力を持った馬車を、周辺地域はもちろんのこと庭ですらあるこのハリス子爵領の中ですら、何一つ痕跡が見つからなかったのです。まるで迷宮都市ハリスの目の前に、突然現れたかのように」


 ヤバいヤバいヤバいヤバい!!


 どうする!?


 どうすれば良いんだ!?


「タロウ様、本日お答え頂きたいことは、たった一つです。どうやって痕跡一つも無く迷宮都市ハリスに訪れることが出来たのですか?」



タロウ・コバヤシ

※クローネ

約43億クローネ

※ユーグレナ

約230万ユーグレナ


ニホン村

※クローネ

約40億クローネ


ユーグレナ共同体

※魔石ポイント

約900万MP

※通貨供給量

1億ユーグレナ


ユーグレナ軍

※軍事予算

330億クローネ


所有奴隷

男 325人

女 184人



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