79話
79話
「タロウ様、ご機嫌よう。ハリス子爵家からのご返答をお持ち致しましたわ」
昨夜も通常通りペロシさんから収支報告を受け、ユーグレナとクローネを頂く。
もちろんクローネの大半を軍事予算に奪われた。
だがクローネを暴力派に奪われてばかりではいられない。
NOと言える日本人ってヤツを見せてやるよ。
とりあえずペロシさんと議論し、俺の個人資産を多大に圧迫する迷宮産オークションの代金を、全て軍事予算から支払うことになった。
ふっ、勝ったな。
これで経費節約ができるぞ。
そう思っていた時期が、僕にもありました。
ペロシさん曰く『権限がまた増えました。ボス、ありがとうございます』とのこと。
……しまった。
暴力派を助長させてしまった。
ま、まぁ……なるようになるでしょ。
夜の会議では俺の迷宮入りが決定し、ハリス子爵家との問題が片付いてから俺は迷宮に入ることになった。
政権クラウスたちの話を聞いていると、迷宮のセーフティゾーンは俺が考えている以上に安全そうだ。
ペロシさん曰く『ボスは迷宮にバカンス気分で行ってください。こっちのことは私が処理しておきます』とのこと。
バカンス気分で迷宮に入って、大丈夫なんか?
異世界の常識はよく分からん。
夜の会議が終わり、ユーグレナ様の神像に礼拝する。
もちろんアンナさんと獣人ちゃんたちと一緒に。
獣人ちゃんたちが耳と尻尾をピクピク♪フリフリ♪させながら、ユーグレナ様に祈っている。
獣人ちゃんたち、ホント可愛いよな……ごくり。
よし。
今日から獣人ちゃんたちを一人一人招いて、一緒に寝てみるか。
そう提案したら、獣人ちゃんたちが物凄く喜んでくれた。
耳と尻尾を見れば、感情が『丸分かり』なんだよな。
もちろん現代人の俺はロリコンでは無いから、幼い子供に性的な悪戯なんかしない。
そんなことをすれば、幼い子供に修復不可能な心の傷跡を作る。
心をズタズタに切り裂かれ、継ぎ接ぎだらけの心になるんだ。
そして幼い子供の時に失った純粋な心は、大人になっても戻らない。
どこか歪な心になる。
継ぎ接ぎだらけの心になり、様々な矛盾と葛藤を生む。
俺はアイツと同列な存在にまで堕ちた。
だが、アイツと同じことだけは絶対にしない。
美咲先輩が心の底から憎むアイツと同じことだけは絶対にしない。
そもそもモラルと常識から考えろ、って話だ。
今日はミーナちゃんと一緒に寝る。
子供特有の温かさとミルクの様な匂いが気持ちいいな……Zzz。
そして異世界8日目が始まる。
朝、ペロシさんと全ての打ち合わせを終わらせ、昼前の取り引きでミリスさんが訪れて来た。
「ミリスさん、おはようございます。食堂まで向かいましょうか」
ミリスさんと食堂に向かうと、頬を赤く染めながら恋に恋する瞳をしたメアリーちゃんが『……ミリスお姉様、ご機嫌よう……』と艶やかで甘えた声で挨拶をする。
先日のお風呂場での性剣合唱団による公演以降、俺はメアリーちゃんからガン無視されてますけどね。
マジつらたん……。
食堂のテーブル席にお互いが向かい合い座る。
もちろん上座をミリスさんに譲る。
「……それでミリスさん、ハリス子爵家からの返答をお聞かせ願いますか?」
さて、ハリス子爵家からの『色好い返事』を受け取りますか。
メアリーちゃんのミリス商会加盟もユーグレナ様の布教も港の使用権も全部丸ごと、いただきます!!
ガハハハハ!!
「ええ、もちろんですわ。タロウ様、ハリス子爵家からのご返答は『今回の話は無かったことにする』とのことです。ですので、メアリー様も含めて今回の話は『無かったこと』にしてくださいな」
は?
マジで?
交渉を蹴るの?
さすが異世界。
意味不明だ……。
タロウ・コバヤシ
※クローネ
約35億クローネ
※ユーグレナ
約200万ユーグレナ
ニホン村
※クローネ
約40億クローネ
ユーグレナ共同体
※魔石ポイント
約850万MP
※通貨供給量
1億ユーグレナ
ユーグレナ軍
※軍事予算
230億クローネ
所有奴隷
男 325人
女 184人




