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75/97

75話

 ※連載していたエッセイに

 ポイントが全く付かないので

 連載終了させました。


 ※市場の専門用語が出ます。

 Bid ビッド

 価格を提示する側の買値。

 買値が競り上がる

 オークションにも用いる。


 ※逆の専門用語について。

 Ask アスク

 価格を提示する側の売値。

 公共事業の競争入札など

 売値が競り下がる

 オークションにも用いる。


 ※本来、市場は『より安く買いたい』Bidと『より高く売りたい』Askのバランスで成り立っております。


 ※『競り売り』の面白さは『より安く買いたい』Bid同士で価格競争をさせることにより、市場のバランスが崩れて高値に吊り上がることです。『より高く売りたい』Ask側の勝利に導くのが競売人の腕ですね。

75話


「3240億クローネ!!」


「3250億クローネ!!」


「3260億クローネ!!」


 欲望と熱気が渦巻くオーケストラを巧みに操る指揮者の如く老練なオークショニアがスマートに客たちを煽情し、ハリス特産の『第五種』迷宮産アイテムに目が眩む客たちのBidをリズミカルに取り上げながら、巧妙に買値を競り上げて行く。


「4720億クローネ!!」


「4730億クローネ!!」


「4740億クローネ!!」


「…4750億クローネ!!」


「……4760億クローネ!!」


「………4770億クローネ!!」


 そろそろ相場の買値の限界を遥かに超えて来たのか、徐々に客たちのBidの提示が重くなり始める。


「現在4930億クローネ!!冷蔵機能を持つ『第五種』魔道具ですよ!!次に冷蔵の魔道具がオークョンに出品される予測は、ご存知の通り1年以上先です!!今です!!今しか買えませんよ!!……はい!!4940億クローネ!!現在4940億クローネ!!他にいませんか!!今しか買えませんよ!!」


 老練なオークショニアが客を巧みに煽りながらも、冷静に客の購買意欲を推し量る。


 雰囲気的には落札が決まりそうだ。


 老練なオークショニアにギロリと睥睨され客たちの欲望と熱気が急激に冷めて行き、徐々に静粛になる会場内。


 重苦しい空気が流れる。


 緊張の瞬間だ。


「それでは4940億クローネで落札!!」


 『カッ!カッ!』と勢い良く木槌でテーブルを叩き、老練なオークショニアの厳粛なる『判決』が下った。


 落札と同時に緊張から解放され、会場内が一気にザワザワと騒がしくなる。


 ハリス特産品の冷蔵機能を持つ『第五種』魔道具のお値段、なんと『4940億クローネ』ですよ!!


 最初のBid『10億』クローネが、最終的なBid『4940億』クローネになるとか、こんなん笑ってまうわ!!


 単なる冷蔵庫やぞ?


 まぁ、目の前で繰り広げられていた欲望と熱気が渦巻くオークションに戦慄しながらも、異世界のオークションを心から楽しんでたけど。


 老練なオークショニアによるテンポの良い煽りが本当に上手いから、めちゃくちゃ楽しい!!


 ちなみに俺も冷蔵機能の魔道具のオークションに参加したが、呆気なく初期の初期で競り負けた。


 保有クローネの桁が全然違いましたわ……。


 午前の部の目玉商品が落札されたからなのか、多くの参加者が会場から出る。


 オークションは午前の部と午後の部に分かれ、午前の部にも午後の部にも魔道具とスキルオーブが出品される。


 そして昔からのオークションの慣習で先に魔道具が出品され、後にスキルオーブが出品される。


 つまり本日の午前の部に『第五種』スキルオーブは出品されない。


 『第四種』までのスキルオーブなら、迷宮都市なら何処でも手に入るからね。


 だから大勢の『異邦人』が午前の部のオークションが終わり、会場から出た。


 これからは地元住民だけによるオークションが始まる。


 老練なオークショニアは舞台から降りて、代わりに年若いオークショニアが舞台に壇上する。


 お?


 モリスさんだ。


 モリスさんがオークショニアを務めるのか。


 なるほどね。


 『第一種』迷宮産アイテムは若手のオークショニアの練習台なんだろうな。


 モリスさんが舞台の袖から、手のひらサイズの小さな木箱を受け取る。


 ん?


 んんん?


 どう考えても、あの木箱の中身が次の出品物だよな?


 次の出品物からはスキルオーブだった気がするんだが……?


 違ったかな?


 モリスさんが木箱の蓋を開け、会場内の客に出品物を見せ付ける。


「お待たせ致しました。午前の部に出品された『第一種』スキルオーブは、こちらの奴隷契約のスキルオーブとなります」


 は?


 どういうことだ……?


 奴隷契約のスキルオーブが『ビー玉サイズ』なんですけど……。


 スキルオーブって、バスケットボールぐらいの『大きなサイズ』なのでは?


 ……ヤバい。


 絶対にヤバい……。


 どー考えても、スキルやスキルオーブに対する認識の齟齬が大規模にあるぞ……。


 ユーグレナ様、もう少しきちんと説明して欲しかったんですけど……。


「Bidの単位は1000万クローネです。それではオークションを始めます!!」


 俺のスキルとスキルオーブへの深い疑惑とは無関係に、『カッ!カッ!』と木槌でテーブルを叩き、若きオークショニアのモリスさんが『開始』の合図を下す。


「1000万クローネ!!」


「2000万クローネ!!」


「3000万クローネ!!」


 やべっ、オークションが始まった。


 スキルとスキルオーブの疑惑は横に置いといて、とりあえず奴隷契約のスキルオーブを競り落とさないと。


 慌てて俺はBidを示す為に右手の人差し指をピン!と上げる。


 この行為でオークショニアに『より高値の買値』を知らせる。


 それにしても、さっきまでの会場の熱気とは違うな。


 もちろん『第一種』スキルオーブだから客たちも熱気が出ない部分もあるんだろうけど、モリスさんの客たちへの煽情がイマイチだな。


 というか、さっきの老練なオークショニアの煽り方が上手過ぎるだけかも知れない。


 そりゃそうだよな。


 『第五種』迷宮産アイテムを取り仕切るオークショニアなんて、一流も一流、超一流だよな。


 それでも若いオークショニアのモリスさんは客たちのBidをテンポ良く取り上げて、少しづつ少しづつ買値を競り上げて行く。


「……30億3000万クローネ!!」


「30億4000万クローネ!!」


「……30億5000万クローネ!!」


「30億6000万クローネ!!」


 チッ。


 誰か知らないが粘りやがるな。


 さっさと競り負けろよ。


 『絶対に引かないし、競り負けない』ことを会場内に示す為に、俺はBidの更新がされれば直ぐさま右手の人差し指を上げて、Bidの更新をオークショニアに提示する。


「32億2000万クローネ!!」


「……現在32億2000万クローネ!!……他にいませんか!!……それでは32億2000万クローネで落札!!」


 『カッ!カッ!』と木槌でテーブルを叩き、若いオークショニアの厳粛なる『判決』が下った。


 ふー。


 何処の何奴か知らんが、クソほど粘りやがって。


 ま、これでとりあえずはスキルオーブが『複製』できるのか?できないのか?が判明する。


 言い換えれば、俺も迷宮に潜るのか?潜らないのか?が判明する。


 スキルオーブを複製したいけど、複製したくない……。


 迷宮のことを考えると、意味不明な気持ちになるんだよな……。



タロウ・コバヤシ

※クローネ

約117億クローネ

※ユーグレナ

約150万ユーグレナ


ニホン村

※クローネ

約40億クローネ


ユーグレナ共同体

※魔石ポイント

約850万MP

※通貨供給量

1億ユーグレナ


ユーグレナ軍

※軍事予算

130億クローネ


所有奴隷

男 325人

女 184人

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