73話
73話
「という話だったんですけど、ペロシさん、何か問題点は無かったですか?」
俺たちは拠点である宿に戻り、会議室でミリス商会での事の経緯を知恵袋のペロシさんに伝える。
「ボス、特に問題点は見当たらないですね。港の使用権の要求をウィリアムズ王国との関係改善と関税引き下げに成功した時の『取り引き』にしたことも、良かったと思いますよ。これが不成功でも港の使用権を要求していれば、おそらく高い確率でハリス子爵家は今回の『取り引き』を突っぱねて『無かったこと』にしたでしょうね」
そやろそやろ。
完璧な『交渉』やったやろ?
珍しくペロシさんが俺を褒めてくれている。
もっと褒めてもええんやで?
「ペロシさんから見ても、穴の無い交渉でしたかね?」
「ええ、見事な交渉だと思いますよ。さすが我々のボスですね。富裕層特有の単なるド変態ではなくて一安心しました」
この野郎!!
誰がド変態だ!!
ド変態はお前だろうが!!
このロリコン野郎が!!
「……ハリス子爵家とウィリアムズ王国の関係改善にマーティン準男爵家にもこの話を持って行って協力を仰いだ方が良いでしょうか?」
とりあえず話題をズラす日本人の俺。
「貧乏貴族で有名なマーティン準男爵家にですか?無意味ですね。ウィリアムズ王国とマーティン準男爵家は、賢女ミネルヴァの問題でハリス子爵家以上に関係が悪いと噂されてますよ。ウィリアムズ王国はマーティン準男爵家と関係のある貴族家や商家とは取り引きしないと宣言しております」
貧乏貴族?
オリバーさんは冒険王と近隣諸国から讃えられていたのでは?
ふーむ。元王女のミネルヴァさんがウィリアムズ王国と関係改善や関税引き下げの話を取り持ってくれたら一番楽だと思ったけど、完全に『勘当』されてるっぽいな。
「……なるほど。それは無理そうですね。ところでマーティン準男爵家は貧乏貴族で有名なんですか?冒険王と讃えられた偉人ですよね?」
「ボス、マーティン島は不毛の大地です。マーティン島はレミング河の終点、つまり河と海の境目の河口にある島で、レミング河に含まれる土砂が積もって出来た島だと学者は考えてます」
あー、なるほど?
そういやマーティン島は不毛の大地とかマイクさんが言ってたな。
んで、マーティン島は雨で河に流れた土砂が積もり積もった『中州』や『川中島』ってことだろ?
「それ故マーティン島の大半は余りにも低地になりますので、海が満潮になれば島の大半に海水が流れて来て農業も酪農も成り立ちません。また『迷宮もありません』から、これと言った特産品もなくマーティン準男爵家以外は『亜人』の奴隷が住む寒村一つがあるだけで、近隣諸国随一の貧乏領地として有名ですね」
ほへー。
オランダみたいに年がら年中、風車で水を汲み上げないと、沼地か砂浜にしか成らないんだろうな。
んで、風車での排水技術も無いし、さらには『迷宮も無い』から漁業か塩を細々と作るしか無さげだよな。
というか、そんなクソみたいな島に冒険王と讃えられた偉人を『島流し』にするとか、ラーネル王国の王族も陰険で陰湿だよな……。
「……そうなんですね。人間族じゃなく『聖霊族』の奴隷だけを従えているということは、賢女ミネルヴァさん……いえ、ウィリアムズ王国は『聖霊族差別』が薄い王国なんですか?」
「その通りです、ボス。ウィリアムズ王国は近隣諸国の人間族と『亜人』、この両者と自由に中継貿易をしておりますから、『亜人差別』は無いと有名です。まぁ、ウィリアムズ王家は人間族の血だけを王家とし、庶子分家に『亜人』の血を入れておりますから『建前』でしょうけど」
なるほどね。
差別問題で自由な中継貿易が阻害されるから、差別問題を回避する為に上に人間族の王家の血、下に聖霊族の王家の血という社会体制を取っているのか。
この体制は、異世界の常識を踏まえた上でユーグレナ共同体でも取り入れることができる社会体制かも知れないな。
その後もペロシさんと様々な雑談をしながらも、俺は異世界の知識を少しづつ少しづつインプットして行く。
異世界の無知から『他人に喰い物にされる』のは、カレンちゃんでもう懲り懲りだ。
一つ一つ異世界の知識を身に付けて、この世界の『常識』と折り合いをつけて行く。
たとえそれが『見て見ぬフリ』に繋がろうとも……。
タロウ・コバヤシ
※クローネ
約41億クローネ
※ユーグレナ
約100万ユーグレナ
ニホン村
※クローネ
約40億クローネ
ユーグレナ共同体
※魔石ポイント
約850万MP
※通貨供給量
1億ユーグレナ
ユーグレナ軍
※軍事予算
130億クローネ
所有奴隷
男 325人
女 184人




