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69話

69話


「タロウ様、ご機嫌よう。カレンから伺いましたが、メアリー様のご相談で宜しかったでしょうか?」


 カレンちゃんに客室に案内され奴隷のメイドが持って来た紅茶を飲みながら少し待っていると、ミリスさんがやって来た。


「ミリスさん、おはようございます。約束もなく急に訪れて申し訳ありません。その……メアリーちゃんのことで相談に乗って頂けると助かります」


「タロウ様のご要望ですので、なるべく叶えたいとは思いますが……数点問題があります」


 ふむ。


 メアリーちゃんをミリス商会に加盟させることは吝かではないが、問題があるので解決して欲しいと。


「ミリスさん、問題点は何でしょうか?」


「タロウ様。メアリー様ですが、商人には向いておりません」


 初手から、ぶっちゃけたな。


 俺もそう思う。


「……そうですね。メアリーちゃんの性格と能力では商人は非常に難しいかと思います。その上でミリス商会に何とかねじ込めないでしょうか?」


 無理難題を押し付けて、マジごめんね。


「大変お世話になっているタロウ様のご要望ですので叶えたいとは思いますが、例えばメアリー様がミリス商会に加盟したとします。そうするとミリス商会内部での激しい競争があります。壁内の商家の娘は実家から高い教育を受けておりますが、それでも必死に商会内部でも商人として生き残ろうと頑張っております。壁外で生まれ育ったメアリー様が商人として生きる道に絶望しないのかが、とても心配になりますわ」


 ふむ。


 つまり壁内の商家の娘さんたちが『あら?壁外に商家なんてありましたの?貧乏人が住む壁外ですわよね?その様な場所に商家があるなんて存じておりませんでしたわ。オホホホホ』とメアリーちゃんを虐めて、ミリス商会から追い出すと。


「……それはそれで仕方ないのではないでしょうか?メアリーちゃんが現実を受け入れて商人の道を諦めるのも、本人次第でしょうし」


 自分でミリス商会に入りたいと願ったんだから、後はメアリーちゃんの努力次第でしょ。


「……タロウ様。決定的な問題ですが、壁内の商人は商いに関するスキルが必要になります。大抵は『契約スキル』や『鑑定スキル』を持っておりますが、メアリー様はスキルを持っておりませんわ」


 ふむ。


 そこは俺が用意すれば良いだろ。


 金ならあるし。


「私が商いに使えるスキルオーブを用意しますので、メアリーちゃんをミリス商会に何とかねじ込めないでしょうか?」


「……タロウ様。もしメアリー様がミリス商会に加盟しても、人気の部署にポストは空いておりませんわ」


 ふむ。


 つまり下働きから始めると。


 メアリーちゃん、いっぱい苦労しそうだな……。


 でも別に良いんじゃね?


「メアリーちゃん本人がミリス商会に入りたいと願ってますから、むしろ下働きは本望ではないでしょうか?」


「……タロウ様。メアリー様の性格と能力では商人は厳しいかと思いますが、ただ一つだけメアリー様でも商いが出来る部署があります。ですがミリス商会では商家の娘に大変不人気ゆえに人手が全く足りない部署でもあります。そこで宜しければメアリー様をお預かり致しますわ」


 ふむ。


 どうせ『正直者』のメアリーちゃんに商人は無理だろうし、不人気部署で良いでしょ。


 ミリスさんも人手不足の部署に人手が来るなら助かるだろうし。


 で、どんな部署なんだろ?


「ええ、もちろん構いません。無理を言ってるのはこちらです。もしメアリーちゃんが不満を漏らしたらミリス商会から叩き出してください。ちなみにどの様な部署ですか?」


「……タロウ様。奴隷商人の部署ですわ。ミリス商会ではまだ誰も奴隷商人がおりません。壁内の商家では商いの種類で家格の貴賎が決まります。もちろん奴隷商人は壁内で最も家格が低い商いになります」


 なるほどね。


 奴隷商人か。


 確かに人から嫌われ馬鹿にされそうな商売だな。


 『誰もが奴隷を利用している』のに。


 それに年頃の娘さんが性奴隷を扱う奴隷商人になるのは、心理的にかなりの抵抗があるだろう。


 特にミリス商会に加盟している商家の娘さんたちは、世間の常識であるゴリゴリの男女差別で苦しんで来た。


 同じ女性が性奴隷として粗末に扱われることを、本音では快く思わない部分もあるのだろう。


 つまり、メアリーちゃんがミリス商会で家格が低く賎しい商いの奴隷商人としてやって行けるのか?


 それをきちんと説得してこい、って話か。


 メアリーちゃんが奴隷商人になるとか、クソウケるんですけど。


「分かりました。メアリーちゃんがミリス商会で奴隷商人として生きて行くことを、私が説得します」


「かしこまりました。では明日の迷宮オークションに奴隷契約のスキルオーブがちょうど出品されますので、ぜひ落札されてください」


 お?


 ちょうど良いな。


 ぜひ落札してスキルオーブが『複製』できるのかを調べてみるか。


 というか、前以てオークションの出品物が分かるのか?


 それとも御三家の権力でしか知れないのか?


「かしこまりました。奴隷契約のスキルオーブを必ず落札します。そう言えば、迷宮オークションの出品物は誰でも前以て知ることが出来るのでしょうか?」


「タロウ様、もちろんです。5日前には出品物が商業ギルドで提示されております」


「そうなんですね。教えてくださり、ありがとうございます」


 さて、さっさと帰るか。


 さっさと帰らないと……。


「いえいえ。ところでタロウ様。タロウ様の御無理を聞き入れましたので、私どもが抱えている問題の相談にも乗って頂けないでしょうか?」


 こうなるわな。


 豪腕のミリスさんが、この『チャンス』を逃すハズがねーわな。


 はぁー。


 ミリスさんの意思の強い大きな瞳が一気にギラギラしてきたぞ……。


 いったいどんな無理難題をぶん投げて来るんだか……。



タロウ・コバヤシ

※クローネ

約41億クローネ

※ユーグレナ

約100万ユーグレナ


ニホン村

※クローネ

約40億クローネ


ユーグレナ共同体

※魔石ポイント

約850万MP

※通貨供給量

1億ユーグレナ


ユーグレナ軍

※軍事予算

130億クローネ


所有奴隷

男 325人

女 184人

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