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57話

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57話


「ブロリー爺さん、噂でドワーフ族は酒好きだと聞いたことがありますけど、ブロリー爺さんも酒好きなんですか?」


 ユーグレナ礼拝堂から静かに立ち去った俺は、宿の奴隷に1階のブロリー爺さんの部屋にいると伝える。


 お風呂の準備が終わったら部屋に来て、その旨を伝えてくれと。


 さて、ドワーフ族の爺さんか……。


 ドワーフ族と言えば、酒好きだったよな?


 酒でも持って行ってやるか。


 俺は木のコップとリュックサックに隠した年代物の高級ウイスキーを持って、ドワーフ族のブロリー爺さんの部屋まで訪れた。


「おう、お主か。ドワーフ族は酒好きじゃが、銀馬車を見れんように『命令』するとか畜生の行いじゃぞ」


 そりゃ爺さんが銀馬車を見て、頭がおかしい程クソほど煩く喚くからだろうが。


 というか、やっぱりドワーフ族は酒好きなのか……。


「ブロリー爺さんが煩いからでしょうが。煩くしないなら『命令』なんてしませんよ。それよりとりあえずは奇妙な縁の祝いとして酒を持って来ましたよ」


 ブロリー爺さんに木のコップを渡して、リュックサックから年代物の高級ウイスキーを取り出して注いでやる。


 ブロリー爺さんが高級ウイスキーのガラス瓶を見て、目を見開いて驚愕している。


「な、なんじゃそれは!?そんな芸術的なガラスがあるのか!?もっと間近で見せてくれ!?そのガラス瓶を作った神の手を持つ職人は何処におるのじゃ!?紹介してくれ!!後生じゃ、頼む!!」


「はいはい。ブロリー爺さん、騒がないでくださいね。いちいち驚いていたら寿命縮まりますよ?それよりも、はい、私の国の酒をどうぞ飲んでください。美味しいですから」


 喚くドワーフ族の爺さんを宥めながら、酒を薦める。


 ブロリー爺さんがクンクンと匂いを嗅ぎ、一気に酒を呷ると目をカッ!と見開いた。


「ブロリー爺さん、高級な酒だから一気飲みしないでくださいよ」


「…………」


「ブロリー爺さん?」


「…………」


「ブロリー爺さーん?」


「ハッ!?……あ、危うく極楽浄土へ向かう所じゃった……。お、お主!!こんな美味い酒を飲んだのは初めてじゃぞ!!超大国メイナード王国が誇る酒が、まるで子供染みた遊びじゃないか!!この酒を作った神の手を持つ職人は何処におるのじゃ!?紹介してくれんか!!これじゃあ往生できん!!頼む!!」


「はいはい。ブロリー爺さん、騒がないでくださいね。それよりブロリー爺さん、もう1杯いりませんか?」


「も、もらえるのか!?是非とももう1杯だけ飲ませてくれんか!!」


「煩くしたら飲ませませんよ?」


「うっ、……わ、分かったのじゃ。静かにするから、もう1杯だけ貰えんかの?」


「それじゃ、もう1杯だけどうぞ。高級なお酒ですから一気飲みしないでくださいね」


「わ、分かったのじゃ」


 一気飲み出来ないのが悲しいのか、シュンと気落ちしながらもチビチビと飲むドワーフ族の爺さん。


「はふー。まるで神の国の酒じゃな。こんなにも味わい深く香り豊かで美味い酒があるとはな……国の一族にも飲ませてやりたいものじゃな……」


 そりゃ爺さんにも故郷に家族はいるよな。


 それも亜人差別の無いメイナード王国に……。


「……ブロリー爺さん、奴隷から解放しますから国に帰りますか?いわゆる亜人差別が激しいこの国は貴方がいて良い場所じゃないですよね?メイナード王国に家族がいるようですし、奴隷解放の手続きをしてメイナード王国まで送りますよ」


「は?何を言っておる。儂は帰らぬぞ?そんなことよりも銀馬車を見せてくれんかの?」


 は?


 おいおいおい。


 『何を言っておる』と言いたいのは俺の方だろうが。


 この爺さん、ホント頭おかしいわ。


「……もう一度聞きますよ?奴隷から解放しますのでメイナード王国に帰りませんか?」


「いや、だから帰らぬと言っておるじゃろうが」


「ブロリー爺さん、亜人差別の無いメイナード王国に二度と戻れなくなりますよ?それでも良いのですか?」


「だから良いとさっきから言っておるじゃろうが。そんなことよりも銀馬車をもう一度見せてくれんかの?できれば銀馬車の中も見せてくれんかの?老い先短い老い耄れの頼みごとじゃ。な?ええじゃろ?」


 はぁー。


 ドワーフ族が頭おかしいってのは本当だな。


 マジで頭おかしいわ。


 仕方ない……。


「分かりました。奴隷解放の件は忘れてください。ですが、まだ銀馬車の中は見せれません。もしブロリー爺さんが私たちユーグレナ商会の役に立つのなら、『いつか』必ず銀馬車の中を見せます。あと煩くしないことも条件です」


「誠か!?絶対じゃぞ!!必ず銀馬車の中を見せてもらうぞ!!男の約束じゃぞ!!」


「ブロリー爺さん、煩くするのなら絶対に銀馬車の中を見せませんよ」


「うっ、……すまぬ。と、年甲斐も無く燥いでしもうたの……。ユーグレナ商会じゃったかな?必ず役に立つと約束するぞ」


「ブロリー爺さん、ありがとうございます。ブロリー爺さんに聞きたいのですが、ブロリー爺さんはメイナード王国で何をされてたのですか?パピルスの生産ですかね?」


「ん?直接パピルスの生産には携わってはおらぬが、パピルスの生産に役立つ機械は作っておったぞ。こう見えても儂はメイナード王国でも有名な機械技師じゃぞ」


 へー、機械技師なんだ。


 『当たり』を引いたのかもな。


「なるほど。ではブロリー爺さんには機械技師の仕事を色々と任せますので、よしなにお願いしますね」


「おう。超大国メイナード王国の機械技師の腕を見せてやるぞ。まぁ、お主の国から見れば、子供の腕じゃろうが……」


「そんなことはありませんよ。私の国には迷宮がありませんし、それにその地域その地域に見合った技術や文化が栄えます。メイナード王国も迷宮都市ハリスも、私にとって興味津々ですよ」


「そうか……。お主の国には迷宮が無いのじゃな。それは不便じゃろうな」


「ええ、とても不便でしたよ。だからこその技術と文化が栄えたのでしょうね」


「なるほどのう……」


 その後もブロリー爺さんと雑談していると、宿の奴隷が風呂の準備が出来たと訪れて来た。


「ブロリー爺さん、そろそろお暇しますね。ブロリー爺さんも風呂の順番が来れば宿の奴隷が伝えに来ますので、お風呂に入ってくださいね」


「風呂にも入らせてくれるのか。何から何まで至れり尽くせりじゃな」


「ブロリー爺さん、それでは後ほど夕食時に会いましょうね」


 ドワーフ族のブロリー爺さんに別れを告げ、俺は風呂に入る準備をして風呂場へと向かう。


 久々の風呂だ。


 今日はゆっくりと風呂を堪能しよう。



タロウ・コバヤシ

※クローネ

約103億4400万クローネ

※ユーグレナ

約27万ユーグレナ


ユーグレナ共同体

※魔石ポイント

約450万MP

※通貨供給量

1億ユーグレナ


ユーグレナ軍

※軍事予算

32億2000万クローネ


所有奴隷

男 138人

女 95人



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