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49話

49話


「タロウ様、ご機嫌よう……あの……昨日は本当に申し訳ありませんでした……」


 異世界4日目。


 朝、アンナさんとミーナちゃんが物凄く熱心にユーグレナ様に祈りを捧げており、そんな狐耳少女2人に戸惑いながら俺も一緒にユーグレナ様に祈りを捧げる。

 

 昼前にはカレンちゃんがコピー用紙10万枚を受け取りに来るから、会議室でペロシさんと今日の予定や配給品など様々な打ち合わせをし、魔石ポイント205万を用いて100枚セット1000個を複製する。


 昼前に馬車と護衛奴隷30人ほどを従えたカレンちゃんがやって来た。


 ちょっと気まずそうな顔をしている。


「カレンちゃん、おはよう。大丈夫だよ。昨日の様子を見る限り反省していたしね。だからカレンちゃん、笑顔、笑顔。商人は笑顔が一番さ」


「はい……」


 んー、可愛らしいカレンちゃんの雰囲気がしょんぼりどんよりしてるな。


 まぁ、『あの』ミリスさんからこってり濃厚に絞られ怒られたから、昨日のことを引き摺ってるんだろうけど……。


 仕方ないな……。


「……カレンちゃん。だいぶミリスさんに怒られたようだね」


「はい……タロウ様、その通りです……。あんなに怒ったミリス姉様を見たのは……初めてです……」


 そりゃ『商人として』の教育と躾だからね。


 ミリスさんもカレンちゃんの為に本気で怒ったでしょ。


「だろうね。商人なら『報告』『連絡』『相談』は基本だと思うし、それを怠ったカレンちゃんをミリスさんは『商人として』厳しく怒ったと思うよ」


「……タロウ様……その通りです……。ミリス姉様も『報告』と『連絡』と『相談』だけは怠るなと……。ミリス姉様が……ミリス姉様が……『私の教育が間違っていた』と……言いました……グスッ……」


 あー、カレンちゃんが昨夜のことを思い出したのか泣いちゃった……。


 幼く可愛らしい少女が泣く姿は罪悪感が湧いて来るよな……。


 保護欲を掻き立てられると言うか……。


「だろうね。でも『商人として』ミリスさんは怒ったけど、『姉』としては嬉しかったと思うよ」


「グスッ……そうでしょうか……?グスッ……」


「そりゃそうでしょ。『なんで』カレンちゃんが独断専行したのか?なんて、ミリスさんからすれば『丸見え』でしょ。ましてや愛する肉親なんだから。カレンちゃんはさ、今までミリスさんや商家の娘さんたちが世間の常識で苦境に喘ぎ悲しい顔をしていたのが、本当に心苦しかったんでしょ?だからこそカレンちゃんが『泥を被って』俺から商品を奪いに来た。独断専行は『商人として』本当に良くないと思うけど、その『優しい心』はミリスさんも商家の娘さんたちも、みんな心から分かってるさ」


「グスッ……タロウしゃま……タロウしゃま……びえーん」


 あー、俺に抱き着いて『びえんびえん』泣き始めた……。


 仕方ないから、落ち着くまでよしよしと慰める。


 少し時間が経ちカレンちゃんが落ち着いて来ると、顔を真っ赤にしながら俺から離れる。


 そりゃ人前で『びえんびえん』泣いたら、恥ずかしいわな。


「た、タロウ様。お見苦しい姿をお見せしました。申し訳ございません」


「いいよ、いいよ。人間なんて泣いて笑って怒って悲しんで、そうやって一つ一つ成長して行くんだから。まだまだカレンちゃんもそうやって成長して行くんだから、気にしなくて良いよ」


「タロウ様、そう言って頂けると助かります」


「それじゃ、そろそろ高品質パピルス10万枚を卸すね。100枚セット1000個を持ってくるよ」


 もちろん俺が持ってくる訳じゃなく、宿の奴隷さんたちが持ってくるんだけど……。


 宿の店主にお願いして奴隷さんたちが『えっちらおっちら』とコピー用紙100枚セットを届け始める。


 それをカレンちゃんが率いる奴隷たちが重りを量る魔道具に乗せた後に、馬車へとコピー用紙を積み込んで行く。


「タロウ様、高品質パピルス100枚セット1000個を確認致しました。60億クローネに仲介手数料10%の6億クローネを差し引いて、54億クローネがタロウ様の取り分になります。ご確認ください」


「……確認しました。カレンちゃん、昼過ぎの取り引きは同数の10万枚を卸すね。あ、所用があるから遅めの昼過ぎに来てくれるかな?」


「タロウ様、かしこまりました。遅めの昼過ぎに伺わせてもらいます」


 よし。


 後は本題だな。


 頼むぞ……。


「それとカレンちゃんに聞きたいんだけど、早急に魔道具の魔石鑑定鍋と鑑定のスキルオーブを入手したいんだよね。ミリス商会で取り揃えて無いかな?」


「魔石鑑定鍋と鑑定のスキルオーブですか?魔石鑑定鍋なら実家のミランダ商会に他国への輸出用の在庫があると思いますが、鑑定のスキルオーブはオークションで無いと入手できないと思います」


 おお!!


 一番早急に欲しい魔石鑑定鍋は輸出用でミランダ商会で取り揃えてるのか!!


「カレンちゃん、輸出用の魔石鑑定鍋を実家のミランダ商会から在庫を取り寄せ出来る?」


「たぶん大丈夫ですよ。爺様にいっぱい甘えたら1つぐらいなら確保できます。ですが販売額の10%を仲介手数料として頂きますが宜しいでしょうか?」


 近隣諸国で一番可愛い孫が爺さんに甘えたら、そりゃ即座にイチコロで落ちるよな……。


 ミランダ商会とスムーズに取り引きできる様に、爺さんキラーのカレンちゃんとは仲良くしとこ。


「もちろん大丈夫。カレンちゃん、是非お願いします。手付金とか必要かな?」


「タロウ様、手付金は大丈夫です。遅めの昼過ぎには魔石鑑定鍋をお持ちできると思いますので、高品質パピルスの売上から差し引きします」


「了解。それじゃ、カレンちゃん、気を付けて帰ってね」


「タロウ様、お気遣いありがとうございます。それではお暇させてもらいます」


 カレンちゃんが奴隷を率いて壁内へと帰って行く。


 帰り際にペロシさんがカレンちゃんに手紙を渡していた。


 何だろ?


 まぁ、今日中にユーグレナ冒険者ギルドを立ち上げれそうだな。


 俺もやることいっぱいあるし、魔石ポイントを複製スキルで一つ一つ調べるの面倒くさかったんだよな。


 さて、後はバロット商会へ行くだけか……。



タロウ・コバヤシ

※クローネ

約55億4800万クローネ

※ユーグレナ

30万ユーグレナ


ユーグレナ共同体

※魔石ポイント

約700万MP

※通貨供給量

1億ユーグレナ


ユーグレナ軍

※軍事予算

36億2000万クローネ


所有奴隷

男 29人

女 9人


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >帰り際にペロシさんがカレンちゃんに手紙を渡していた。 怪しいな~!
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