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48話

48話


「ボス、そう言えばボスの国のコインを使わなかったのは何故なんですか?こちらも偽造不可能なほど精密ですし、我々もクローネコインを使ってますのでコインは慣れ親しんでますが……」


 ペロシさんとの議論が一段落してから、ペロシさんと雑談タイムに突入した。


 聖剣クラウスたちは『あーだ、こーだ』とまだ話し合っている。


「んー、まだ複製スキルの全容は把握していないんですけど、一言で言えば『割に合わない』からですね」


「割に合わないですか?」


「ええ、そうです。ちょっと待っててくださいね」


 俺はそう言い残し、仕事部屋からA5~A3サイズのコピー用紙を持ってくる。


「ペロシさん、複製スキルには『傾向』があります。まず卸している高品質パピルスは魔石ポイント20。その半分サイズの高品質パピルスは魔石ポイント10。さらに半分サイズの高品質パピルスなら魔石ポイント5。では、ペロシさんに問題です。魔石ポイント20を使う高品質パピルスの2倍サイズの魔石ポイントはいくらでしょうか?」


「なるほど。ボス、魔石ポイント40ですね」


「その通りです。まず『同じ物質』ならば、半分サイズなら魔石ポイントも半分。倍サイズなら魔石ポイントも倍。これが複製スキルの一つの『傾向』です」


「なるほど。ボス、つまり『違う物質』なら同じサイズでも魔石ポイントが変わってくると」


「ペロシさん、その通りです。『違う物質』ならサイズが似ていても、全く魔石ポイントが違うんですよ。例えば、このコインとこのコインの大きさがかなり似てますよね?こっちが魔石ポイント600、こっちが魔石ポイント2100なんですよ。つまり『物質ごとに魔石ポイントが違う』と『傾向』から予測が出来ます」


「なるほど。ボス、他に何か『傾向』がありますか?」


「様々な物質を記憶してきた経験からの憶測ですけど、おそらく植物系は魔石ポイントが安い『傾向』がありますね。あと水も安いです。逆に金属系が入ると一気に魔石ポイントが跳ね上がる『傾向』があります」


「なるほど。なのでユーグレナ紙幣は安い魔石ポイントで複製でき、金属系のコインは高い魔石ポイントで複製するので『割に合わない』と」


「ええ。さらにおそらくなんですけど、複製スキルに『技術力』とか『文化力』とか無関係な気がするんですよね。例えばですけど、鉄10kgで作った全く同じ重さの剣が2本あるとします。片方は素人が作った剣。片方は名工が作った剣。人間世界では名工が作った剣が価格が高くなりますけど、たぶん複製スキルなら『同じ魔石ポイント』だと思うんですよ」


「ぼ、ボス……それはつまり……」


 やっぱりペロシさんも気付くよね。


「ええ。技術力と文化力を極めて行けば、圧倒的に安い魔石ポイントで技術力と文化力を享受できます。その証明こそがこの魔石ポイント20の高品質パピルスです。調べていないですけど、同じサイズの低品質パピルスと『あまり変わらない魔石ポイント』だと思いますよ」


「ボス、早急にドワーフ族の奴隷を購入するべきです」


 ん?


 ドワーフ族?


 ファンタジーの定番のドワーフ族で良いのか?


 異世界の常識が良く分からん。


「ドワーフ族ですか?技術者ですかね?」


「ボス、その通りです。ドワーフ族は手先が器用な種族で、大内海の向こう側にある超大国メイナード王国はドワーフ族が治めております。この超大国メイナード王国こそが近隣諸国の需要を満たしていたほどの低品質パピルスの大量生産地です。時々超大国メイナード王国からドワーフ族の奴隷が売られて来ますので、是非購入すべきです」


 なるほど。


 ドワーフ族に『俺の商品』を更に改良させて行けば良いのか。


 そうすることで更に圧倒的『格安』で技術力と文化力を複製スキルで享受できる。


 ペロシさん、それ採用!!


「ペロシさん、分かりました。ドワーフ族をユーグレナ共同体に迎え入れましょう」


 ペロシさんとその後も雑談していると聖剣クラウスたちも話し合いが終わり、今日の会議はこれでお開きになった。


 仕事部屋に戻り寝る準備をする。


 お湯に浸けたタオルで拭ったり、歯を磨いたり。


 よし、寝る準備はバッチリ。


 気分は重いけど、私室に行くか……。


 どんよりした気分で私室をノックして、少し待ってから入る。


「タロウさん、お帰りなさい」


「タロウおにーちゃん、おかえりなさーい」


 ふむ。


 金色の狐耳と尻尾をピクピクさせながら、可愛らしい狐耳少女たちが日本式の挨拶で出迎える。


 なんかグッと来る。


 これはこれで凄く良い。


 2人の顔色を見ると、何か嬉しそう。


 重い雰囲気も無いし、よかったよかった。


「ほらミーナ、言った通りでしょう。偉大なるユーグレナ様に真剣にお祈りを捧げましたから、優しいタロウさんが人間族の部屋に向かわずに私たちの所に帰って来ましたよ。ミーナ、偉大なるユーグレナ様に感謝を捧げましょう」


「おねーちゃん、わかった!いだいなるユーグレナ様、ありがとーございます」


 は?


 偉大なるユーグレナ様?


 何の話だ?


 あのー……。


 2人は俺を無視してユーグレナ様の神像の前で両膝で跪き、熱心にお祈りを捧げ始めた……。


 さすが異世界。


 どうしてそうなるのか……。


 2人はブツブツと『偉大なるユーグレナ様、私たちにも救いをくださり、ありがとうございます』と念仏を熱心に唱えている……。


 な、なるほど。


 何処かで聞いたことがあるな。


 最下層で虐げられている者たちが最後に縋り付くのは、救済を求める宗教だと……。


 ど、どうしよう……。


 救済目的の宗教のつもりでユーグレナ様を紹介した訳じゃ無いんですけど……。


 でも信仰の自由だから、救済目的でユーグレナ様に縋っても良いのかな?


 ユーグレナ様ならポワポワしながら喜びそうでもある……。


 と、とりあえず俺もユーグレナ様に祈りを捧げるか……。


 俺はユーグレナ様に日々の感謝を捧げ、信仰心と救済を考え込む……。


 やはり宗教団体を作るべきなのかな……。



タロウ・コバヤシ

※クローネ

約1億4800万クローネ

※ユーグレナ

30万ユーグレナ


ユーグレナ共同体

※魔石ポイント

約900万MP

※通貨供給量

1億ユーグレナ


ユーグレナ軍

※軍事予算

36億2000万クローネ


所有奴隷

男 29人

女 9人



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