38話
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38話
異世界3日目。
朝起きてからアンナさんとミーナちゃんと一緒にユーグレナ様に祈りを捧げ、商業ギルドに向かう諸々の準備をする。
とりあえず女性陣は私室に残ってもらい、特にマリーさんが性剣クラウスにより足腰が立たないので、餌付けの飲み物とお菓子を渡して居残ってもらった。
なぜならこれから涙目プルプル地獄が始まるからな!!
さて、地獄へと向かおうか……。
行きたくないし、嫌だなぁ……。
「御機嫌よう。タロウ様が来られるのを心からお待ちしておりましたわ。さすがタロウ様ですわ。まさかガーランド王国の英雄であるクラウス様と奴隷契約を為さるとは。壁内では話題の中心となっておりますことよ」
涙目でプルプルと震えながらも折り畳み式リアカーを引いて商業ギルドに立ち寄ると、ミリスさんが笑顔で出迎えてくれた。
「おはようございます、ミリスさん。いえいえ、たまたまですよ。ミリスさんとミランダ商会のお力添えがあったからこそ、為し得たことだと思います。ミリスさん、本日も高品質パピルスを用意しましたが、全部で3万枚ですけど大丈夫でしたでしょうか?」
「まぁ!3万枚もですか!もちろん大丈夫ですよ」
ミリスさん、めっちゃ嬉しそうな笑顔だな。
そりゃそうだよな。
「ありがとうございます。それと、いくつかミリスさんにご相談したいこともありますのでお時間大丈夫でしょうか?」
「ええ、もちろんですわ。私もタロウ様に少しご相談したいことがありましたので、調度良いかと思います」
ん?
相談事?
昨日の包装用紙の話かな?
もしかして実家と大喧嘩したとか?
「それは良かったです。昨日と同じ、倉庫で宜しかったですか?」
「はい。タロウ様、ご案内致します」
警戒レベルを下げている聖剣クラウスたちと共に、商業ギルドの倉庫へと向かう。
ミリスさんがチラチラと聖剣クラウスを見てるけど、やっぱり気になるんだろうな……。
倉庫の扉が開かれ、ガレージの中へと進む。
ペロシさんだけが中に入り、聖剣クラウスたちは外で護衛に着く。
折り畳み式リアカーに掛けていた布をサッと取り、ミリスさんに説明する。
「ミリスさん、本日は1万枚がバラ売りで、2万枚が包装用紙で100枚セットになっております」
「かしこまりました。タロウ様、包装された100枚セットですがミランダ商会と交渉しました。通常100枚500万クローネですが、包装された100枚セットは600万クローネでの卸値で売却できます。この卸値で大丈夫でしたでしょうか?」
は?
聞き間違えたか?
うん。
絶対に聞き間違えたよな……。
「えっと……すいません、包装された100枚セットの卸値が600万クローネと聞こえたのですが……」
「タロウ様、その通りですわ。600万クローネが卸値になります」
いやいやいや。
包装用紙1枚で100万クローネって、頭おかしいだろうが。
この姉ちゃん、どんだけ実家をぶん殴れば気が済むのよ……。
俺は唖然としながら、実家すら食い殺す獰猛な女商人を眺める……。
「…………」
「タロウ様?」
「…………」
「タロウ様ー?」
「ハッ!?……えっと、すいません。またまたミリスさんの手腕に驚いてしまって、呆然としてました……ミリスさん、本当に交渉能力が凄いですよね」
「まぁ!タロウ様にその様に評価されましたら、専属仲介人として誇れますわ」
「ちなみに、なぜ600万クローネにまで卸値が吊り上がったのか聞いても大丈夫でしょうか?」
「もちろん大丈夫ですよ。ご説明致しますね。まず一番大きな要因は王族や貴族家への販売と贈答用としての価値があることです。バラ売りで販売するよりも、異国風の紋様が散りばめられた芸術的価値のある高品質パピルスで包装されております。これは王族や貴族家、さらには近隣諸国への外交的贈答用としても扱えます」
な、なるほど……。
バラ売りは商家への需要、100枚セットは王族や貴族家への需要。
さらには外交でも使えると……。
『分かっとるんか?王族やぞ?これだけの価値があるんやぞ?100万クローネぐらいお前から喜んで上乗せしろや!』と実家をぶん殴って来たのか……。
「次に重要な要因は、驚愕的でしたが包装用紙の保存能力の高さです。完璧とは言えませんが、それでもパピルスの弱点である水を弾いておりました。これは輸送時において雨によるパピルスの劣化や湿気を防ぐことを示唆しております。つまり見方によっては1枚あたり1万クローネの価値を上乗せしたことにもなります」
あー、なるほどね。
包装用紙の内側の保護コーティングに価値を見出したのか。
で、その劣化防止の価値は1枚1枚に行き届くから、バラ売りは劣化するから1枚5万クローネ、劣化しないセット品は1枚6万クローネの価値があると。
「他にも100枚セットなので在庫管理や輸送の簡略化など様々な要因があります。それらの点を用いながらミランダ商会と交渉して来ました。タロウ様、卸値600万で宜しかったでしょうか?」
「ええ、もちろんです。非常に満足しております」
「かしこまりました。100枚セットの卸値の独占契約の前に、タロウ様に相談したいことがあります。実は私ミリスは商業ギルドを辞めることを決めました」
え?
いきなり真面目で暗い雰囲気を漂わせてるけど、ミリスさん商業ギルドを辞めるの?
専属仲介はどうなるの???
「私ミリスは壁内でミリス商会を立ち上げ、ミリス商会の名においてタロウ様の専属仲介契約を行いたいと考えております」
ミリス商会?
実家のミランダ商会は?
独立する感じ?
まさか実家をぶん殴り過ぎて勘当された?
それとも家出した?
とりあえず専属仲介契約は続行できそうか。
よかったよかった。
「ミリス商会を立ち上げる理由は様々ありますが、重要な要因として私ミリスが亡くなった場合、タロウ様との専属仲介契約が解除されます。しかしながら、専属仲介契約を私ミリス個人ではなくミリス商会に変更することにより、近々もし私ミリスが亡くなってもミリス商会とは専属仲介契約が続き、私ミリスが育てた仲介人がタロウ様を末永くサポートすることが出来ます」
あー、なるほど?
ミリスさんが死んだら専属仲介契約が解除されるから、ミリス商会と契約してくれと。
ミリスさんが死んでも、厳しく教育した従業員がサポートすると。
……どう考えても、ミリスさんは命を狙われている話だよな……。
近々もしミリスさんが死んだらって、そういう意味だろうし……。
実質的に高品質パピルスを独占契約してるのはミリスさんだし、低品質パピルスを扱う紙商人たちに命を狙われるよな……。
ミリス商会を立ち上げ専属仲介契約を変更したら、ミリスさんを襲撃しても専属仲介契約を解除できない。
つまり怨恨以外でミリスさんを襲撃する理由が無くなる。
ミリス商会を立ち上げ専属仲介手数料の変更をすることは、ミリスさんの身の安全を大きく保障する。
俺の意思一つでミリスさんの身の安全が決まるってことか……。
「タロウ様のお力添えがありましたら、私ミリスはミリス商会を立ち上げることが出来ます。タロウ様、どうか……どうかお力添えを頂けないでしょうか?」
「ミリスさん、もちろん大丈夫ですよ。ミリス商会と専属仲介契約を行います」
「タロウ様、本当ですか!!……コホン。失礼を致しました。タロウ様、心からお礼を申し上げます」
何かスゲー喜んでたな。
そりゃ命の危険を回避できるなら、喜ぶよな。
「いえいえ。お世話になってるのは私の方ですから。ミリスさんへの恩を返させてください」
「そんな……こちらこそタロウ様には大変お世話になっております。タロウ様、少しだけお待ち頂けますか?後は書類提出するだけでミリス商会が立ち上がります」
「大丈夫ですよ。ここで待ってます」
「ありがとうございます。それでは少し席を外させてもらいます」
そう述べてからミリスさんがガレージを出る。
ミリス商会か……。
そういや商会を立ち上げるメリットとか知らないな。
後でミリスさんに聞いてみようかな……。
資金
約42万クローネ
魔石ポイント
約19万MP
所有奴隷
男 5人
女 3人
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