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35話

35話


 夕刻の鐘がなり、俺たちは女性を呼んで1階の食堂まで向かう。


 今日もメアリーちゃんが給仕をしてくれたが、えらく不機嫌なご様子。


 まるで『私は怒っているんですよ!!』と態度で主張していた。


「メアリーちゃん、どうしたの?機嫌が悪そうだけど……」


「そんなことありません。『お客様』、お好きな席に座りお待ちください」


 アンナさんとマリーさんを一睨みしてからプイッと横を向いて、スタスタスタと厨房へと向かうメアリーちゃん。


 あー、そういうことね。


 どうするかな……。


「ボス、宿屋の娘に手を出していたのか?」


「クラウスさん、人聞きの悪いことを言わないでください。手なんて出してませんよ」


「なら、これから手を出すのか?お前ら、宿屋の娘を口説くなよ。特にピーター、お前は女にだらしないから気を付けろよ?」


「クラウス将軍、奴隷の身では自由民に相手にされませんよ」


「ま、それはそうだな。俺たちは極上の性奴隷で我慢するか」


 そう言って、人目も憚らずマリーさんの躰を弄る聖剣クラウス。


 さてはお前、聖剣クラウスじゃなくて性剣クラウスだろ?


 ま、辺りを見回せばどこもかしこも宿泊客がスケベな顔して宿の女性奴隷の躰を弄っているけど。


 ここはそういう世界だ。


 奴隷に人権があるハズもない。


 俺は小型のリュックサックに入れていた飲み物をいっぱい出す。


「クラウスさんたちも女性たちも好きな飲み物を選んでね」


「……ボス、これは何だ?透明な水筒か?」


「ええ、そんな感じですね。私の国の飲み物です。ここが蓋でこう回せば蓋が開きます。これは水でこっちはお茶でこっちは甘いジュースや野菜ジュース」


「ボス、お茶とは何だ?」


 え?


 お茶を知らないの?


「あー、ハーブのような物で香り付けした飲み物ですね。好みはありますけど、美味しいですよ?」


 みな困惑顔で天然水のペットボトルを受け取る。


 保守的だなぁ……。


 あ、ミーナちゃんならジュースを飲むかな?


 乳酸系の甘いジュースの蓋を外して、ミーナちゃんにお薦めしてみる。


「ミーナちゃん、飲んでみて。美味しいと思うから」


「お、おねーちゃん……」


「ミーナ、御主人様から頂いた物です。覚悟を決めて飲みなさい」


 え?


 そこまでの話なの?


 ミーナちゃんが何やら涙目で覚悟を決めたのか、ゆっくりとペットボトルを持つ。


 聖剣クラウスが『幼気な少女を虐めて楽しむとか、さすがボスだな!!ガッハッハ!!』と笑っている。


 虐めてないから……。


 ミーナちゃんがギュッと目を瞑ってジュースを一口飲むと、目をカッと見開きゴクゴクと飲み出す。


 それを見た聖剣クラウスが『あ、危ないクスリでも入ってるのか……?ボス、幼気な少女をクスリ漬けにするのは、さすがに良くないぞ?』と本気で心配している。


 お前の中で俺の評価がどうなっているのか、一度本気で話し合おうか。


「み、ミーナ!?大丈夫なの!?」


「ぷはー。おねーちゃん、だいじょうぶ。すごくおいしいよ。おいしいからいっぱい飲んじゃった」


「だよね。ミーナちゃん、美味しかったでしょ?アンナさんもコレどうぞ」


「は、はい……。御主人様、ありがとうございます」


 アンナさんも涙目でペットボトルを受け取る。


 そこまでの話なのか?


 アンナさんも覚悟を決めたのかギュッと目を瞑ってジュースを一口飲むと、目をカッと見開きゴクゴクと飲み出す。

 

「アンナさん、どう?美味しいでしょ?」


「ぷはー。あ……し、失礼を致しました。御主人様、大変美味しかったのですが、こちらの飲み物には貴重な砂糖が入っていると思われますが……」


「どうだろ?甘味があるから少し入ってるかもね」


「御主人様、奴隷の私たちにも大変高価な砂糖入りの飲み物を恵んでくださり、心から感謝致します。ミーナも御主人様に感謝を伝えなさい」


「ごしゅじん様、ありがとーございます」


「そんなに畏まって感謝しなくてもいいよ。俺たちは家族みたいな物なんだから気軽に飲みな。クラウスさんたちも、感謝とか気にもせずに好きなの飲んでくださいね」


 聖剣クラウスたちは天然水を選んだままだったが、マリーさんが紅茶系の飲み物を取り一口飲んでカッと目を見開く。


「マリー、どうだ?」


「……クラウス様、驚きの一言です。私はマール伯爵家の奴隷一族で伯爵家のメイドをしておりましたが、このような高貴な香りと味がする飲み物を存じません」


 マール伯爵家の奴隷一族?


 あー、女性の奴隷の子供は奴隷として生まれるから、奴隷一族というわけね。


 食事前にクソ重いな……。


「ふむ。俺に一口飲ませろ」


「はい、クラウス様」


 甲斐甲斐しくマリーさんが聖剣クラウスに紅茶系を飲ませる。


 一口飲んだ聖剣クラウスもカッと目を見開いた後、少し考え込んでいる。


「……なるほどな。メッヘル侯爵家に連なる俺ですら飲んだこともないほど香り高く高貴な美味さだ。ボス、蓋が付いているってことは保存が利くのか?そしてこれらは商売に使うのか?」


「ええ、種類によりますが半年から1年は保存ができますし、もちろん商売にします」


 ペットボトルなんて真似出来ないだろうし。


「ふむ。お前らも飲め。驚愕の一言だ。そして現状を正しく理解しろ」


 聖剣クラウスの命令でそれぞれが紅茶系のペットボトルを選び、一口飲んだらカッと目を見開く。


「……驚愕的な美味しさですね。クラウス将軍、ボスの国は我々の祖国を含めて近隣諸国の技術力はおろか、文化ですら遥かに超越しております。時間がありません。早急に部隊長を揃え、さらには下級兵士も揃えて軍を整えるべきです」


「ペロシ、俺も同感だ。ボス、早急に部隊長と下級兵士が必要になる。1ヶ月も待てない。このままだと直ぐに近隣諸国と戦争になる」


 は?


 戦争?


 近隣諸国と戦争?


「ちょ、ちょちょ、クラウスさん、何で戦争に???」


「ボス、給仕の娘が来た。後で会議室で話そう」


「りょ、了解……。」


 おいおいおい。


 戦争なんて聞いて、心穏やかに飯なんか食ってられんぞ……。



資金

約42万クローネ


魔石ポイント

約59万MP


所有奴隷

男 5人

女 3人

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