32話
32話
「御主人様、ありがとうございます。ミーナ、貴女も慈悲深い御主人様に感謝をお伝えしなさい」
「ごしゅじん様、ありがとーございます」
俺の目の前には、上目遣いの狐耳美少女2人が両膝で跪き祈る様な仕草で感謝を述べている。
大老が連れてきたのは幼い狐耳の少女だった。
気まずい俺はさっさと奴隷契約を済ませ、ずっと跪いているアンナさんを立たせようとしたんだが……なぜか2人が両膝で跪いている。
さすが異世界。
何故そうなるのか???
「あー、うん。なるべく家族と一緒が良いよね?アンナさんとミーナちゃんのその気持ちは分かるし、お二人の感謝の気持ちも十分過ぎるほど受け取ったから、そろそろ立ってくれない?帰りたいし」
というか『お前ら見ろよ!!ボスが幼気な獣人の少女たちを跪かせて、楽しんでるぞ!!さすが俺たちのボスだな!!ガッハッハ!!』と聖剣クラウスが笑ってるから、本当にさっさと立って欲しいんだけど?
「で、ですが……」
「ほらほら立って立って。ミーナちゃんも立って。商人は時間が命でしょ?さっさと立って帰るよ」
「は、はい。ミーナ、立ちなさい」
「わかった、おねーちゃん」
やっと立ってくれたか……。
アンナさんには商人云々が効きそうだな……。
「大老、お世話になりました。また後日伺わせて頂きます」
「ほっほっほ。タロウ殿、クラウス殿や性奴隷たちの荷物がありますから、少しだけ待って頂けますかな?と言ってる間に奴隷たちが荷物を持って来ましたな。みなさん、それぞれ預かっていた荷物はこれだけで宜しかったですかな?」
あー、なるほど?
奴隷堕ちする前の荷物があるのね。
聖剣クラウスたちは家紋が付いている剣や服装や手荷物を受け取っている。
女性たちは服や手荷物を受け取っている。
「クラウスさん、着替えてきます?その格好も何ですし」
「ボス、時間をもらってもいいのか?商人は時間が命なんだろ?」
「大丈夫ですよ。アンナさんたちも着替えて来てください」
ということで、聖剣クラウスたちと女性たちは部屋を借りて着替えに向かった。
「ほっほっほ。貴族家や商家が奴隷をどの様に扱うのか?それを見定めるのも奴隷商人の楽しみではありますが、『銀馬車の紙商人』殿は実にユニークですな。まるで初めて奴隷と出会ったかのような振る舞いですな。ほっほっほ」
「……私の国では迷宮も無く、それゆえに奴隷契約スキルもありませんから、奴隷はいませんでしたね」
「ほっほっほ。なるほど、なるほど。『銀馬車の紙商人』殿は、遙か彼方の異国出身ですな。少なくとも大内海近辺の国ではないことは確かですかな?外海の国から来られたとは、さぞかし遠くから来られたようだ。ほっほっほ」
チッ、クソ爺が。
飄々としながらも、情報を抜きに来てやがる。
なら偽情報でも喰らえ。
「大内海や外海が何処を指しているのか、異国出身の私はまだ分からないんですよね。たぶん『我々』と齟齬があると思いますし」
「ほっほっほ。なるほど、なるほど。お、クラウス殿たちが戻って来ましたな。『銀馬車の紙商人』殿、今後とも末永くご愛顧賜りますよう、お願い申し上げますぞ」
「『バロット商会の大老』殿、こちらこそ末永きお付き合いが出来ることを願っております。では、そろそろお暇させてもらいますね」
さて、無事に宿屋まで戻れるのかな?
頼むぞ、聖剣クラウス。
資金
約120万クローネ
魔石ポイント
79万5000MP
所有奴隷
男 5人
女 3人




