31話
31話
「タロウ殿、こちらがバロット商会が誇る最高級の性奴隷たちですな」
6階の大広間に40人ほどの美人・美少女が2列にズラリと立ち並ぶ。
圧巻。
圧巻の一言。
粗末な服だからこそ生まれながらの美しさが強調されて浮き彫りになり、美人と美少女が立ち並ぶだけで彩り鮮やかな大輪の華々が咲く。
これが王様のハーレムなのか……。
「で、ボス。どの性奴隷を選ぶんだ?」
「…………」
「ボス?」
「…………」
「ボース?」
「え?えぇ、そうですね……」
いかん、いかん。
めっちゃ見蕩れてた。
えーと、とりあえずは……性病だな。
性病だけが怖い。
「大老、処女と非処女を分けて頂けますか?」
「ほっほっほ。もちろんですぞ。みなさん、処女は右手側に移動、非処女は左手側に移動してくだされ」
ふむふむ。
非処女は15人ほど。
処女は25人ほど。
とりあえず処女の25人をざっと見て行く。
ん?
んんん?
ネコ耳?
いや、狐耳?
後列に1人、獣人の女性が隠れる様にいる。
ほへー、あれが獣人かー。
黄金色の髪が綺麗だな。
狐耳以外、全然人間と変わらんな。
尻尾もあるのかな?
「……大老、処女の中で文字が読め、文字が書け、さらに計算が出来る子を前列に、出来ない子を後列に出来ますか?」
「ほっほっほ。タロウ殿、全員が教養を嗜んでおりますぞ」
あー、なるほど?
バロット商会が基礎教養を教えているのかな?
「では大老、処女の中で商人・商売の経験がある者、商人・商売で役に立つ自信がある者は前に出て来てもらえますか?」
「ほっほっほ。聞いておったかな?経験がある者、役に立つ自信がある者は前に出て来なさい」
スッと3人の女性が前に出て来る。
その内の1人は狐耳の獣人女性だ。
あ、尻尾がある。
フサフサしてそう。
「それでは商人・商売についてアピールをしてもらえますか?左の方から、どうぞ」
「はい。私は計算が得意と自負しております。この場にいる女性たちの中で、四則演算の計算の早さ、正確さは誰にも負けません。商人・商売において計算は身近な物だと思いますので、お役に立てると思います」
おー、しっかりと受け答え出来てるね。
でも電卓があるから計算の早さや正確さの能力は、あんま意味ないんだよね。
でも事務とか会計とかコツコツする仕事が好きそうなタイプだな。
「なるほど。商人・商売の経験はございましたか?」
「いえ、ありません」
「かしこまりました。では真ん中の方、アピールをどうぞ」
「は、はい!私は記憶力が良いと自負しております!特に人の顔と名前を覚えるのが得意ですので、多数の人と出会い・別れる商人・商売において、お役に立てると思います!『あー、誰だったかなー?ここまで名前が出るんだけどなー』という時にこそ、お役に立てると思います!」
この子、面白いな。
度胸というのかな?
頭の回転も早そうだし、この子に少し仕事を渡したら勝手に利益を上げて来そう。
「なるほど。商人・商売の経験はございましたか?」
「いえ、ありませんが……昔から行商などをやってみたいとは思っていました!!」
おー、この子、グイグイ来るね。
アピールが凄いわ。
この子、欲しいな。
「かしこまりました。それでは最後の方、アピールをどうぞ」
「はい。私の実家はハルシオン王国マミル子爵領城壁都市トーマスの壁内でポートナー商会を営んでおり、幼い頃から商会の手伝いをしておりました。商会・商人・商売のイロハは父により幼き頃から叩き込まれておりますので、お役に立てると思います」
ん?
他国の都市の商家の娘さん?
商家の娘さんがなんで奴隷なんかに?
「なるほど。経験者なんですね。壁内の商家の子女が奴隷になられたのは、なぜですか?」
「約束手形の不渡りの煽りを受け、一時的な流動性の資金不足を補う為です。また私は本妻の子ではなく妾の奴隷の子ですので、商会を守る為に父から奴隷商会に販売すると言われました。また私も家族と商会を守る為に自ら販売されることを望みました」
お、おう……。
やっぱり奴隷の分野の話は色々重いよな……。
聞いたらアカン分野だ……。
「か、かしこまりました。ありがとうございます。大老、話を伺ってこちらの方と奴隷契約を結びたいのですが、大丈夫でしょうか?」
「た、タロウ殿、宜しいので?」
「はい、大丈夫です。何クローネになりますか?」
「700万クローネになりますが……特約がございます」
「どの様な特約ですか?」
「獣人差別をしない特約ですな」
あー、なるほど?
獣人スキーしか奴隷契約できない感じ?
俺は別にケモナーでも無いんだけど、大丈夫なんかな?
台座に刺さった聖剣と同じように、とりあえず挑戦すれば良いのかな?
「大老、自分に獣人差別があるのか分からないので、とりあえず奴隷契約を挑戦しても大丈夫でしょうか?」
「も、もちろんですぞ。では700万クローネを預からせてもらいますぞ」
700万クローネを大老に渡し、大老が『奴隷契約スキル』と唱えると、アッサリと奴隷契約が成功する。
おー、俺は獣人差別はないみたいだな。
「せ、成功しましたな……」
「ええ、成功しましたね。あ、私の名前はタロウ・コバヤシです。異国の慣習で家名はありますが、貴族階級ではありません。お名前を伺っても?」
「は、はい……ポートナー商会に連なっていたアンナと申します……」
「アンナさん、宜しくね。んじゃ、クラウスさん、どうぞ選んでください」
「…………」
「クラウスさん?」
「……クックック。ボスは獣も抱ける獣狂いなのか」
「クラウスさん。私に対する批判は構いませんが、私が選んだ女性を差別的侮辱的に見るのは改めてください。心理的な部分ですから差別心を無くせとは言いません。ですが、少なくとも女性本人の前では失礼な態度を出さないでください。レディーとしての扱いをお願い致します」
「これは失礼をした。お前ら、分かったな?」
「「「「はい!!」」」」
あー、こりゃ聖剣クラウスが『あえて』泥を被って部隊長たちに規範意識を示したな。
差別問題かー。
なるほどねー。
「では、クラウスさん、そろそろ女性を選んでください」
「了解、ボス。コイツを貰おう」
なるほどね。
それが聖剣クラウスの好みですか。
オッパイ星人ですな!!
「大老、こちらの女性は何クローネになりますか?」
「1200万クローネになります。さすがクラウス殿、奴隷を見る目がありますな」
相場の4倍の最高級クラスの女性じゃねーか!!
静かにドヤる聖剣クラウス……。
何か納得いかないけど1200万クローネを払い、奴隷契約を行う。
名前はマリーさん。
何処の有名なモデル?と思えるぐらい綺麗な女性で淡い紫色の髪が特徴。
細身で背が高く、目線のやり場に困るほど胸が大きい。
とりあえずマリーさんには聖剣クラウスを副主人とし、利き手を失った聖剣クラウスの介護と介抱が主な役目。
……もちろん夜伽も。
「大老、相談があるのですが、アピールした2名の女性の予約は出来ますか?1週間以内に資金は出来ると思うのですが……」
「もちろん御三家ミランダ商会の最重要人物である『銀馬車の紙商人』殿です。融通を利かせましょう」
「大老、ありがとうございます」
大老にお礼を述べる。
後は宿屋に帰るだけかな?
やり残したこと無いよな?
よし、帰るか。
「あ、あの!!御主人様!!」
は?
御主人様?
アンナさん、何を言ってんの?
「あー、アンナさん。御主人様とか言わなくて良いよ?無理強いする気も無いし、普通にタロウさんとかタロウ様とかで大丈夫ですよ?」
って、アンナさん!!
なぜ土下座してるの!?
マジで異世界は意味不明過ぎるぞ!!
というか、異世界にも土下座があるの!?
土下座というか、両膝で跪き神様に懇願するポーズ!?
「ちょ、ちょちょ、アンナさん?頭を上げて、立ってください。な、何なんです?いったい……」
「御主人様!!どうか御慈悲をくださいっ!!」
「いやいやいや。意味不明だから。アンナさん、頭を上げて立ってください。そして分かるように説明してください」
って言ってるのに、全く頭を上げる気配も立つ気配も無い。
異世界、マジで意味不明だわ。
「……わ、私の妹もバロット商会で新たなる主人が来るのを待っております。御主人様の情け深く大いなる慈悲を妹にも分け与えて頂けないでしょうか?」
あー、なるほど?
妹さんもいるから、姉妹一緒に奴隷契約してくれ的な?
チラっと大老を見ると、少し困った顔をしている。
何かあるのかな?
「……大老、アンナさんの妹も奴隷契約できますか?」
「タロウ殿、もちろん可能ですが……成人前の性奴隷になります。特約で3年後の成人までは処女を破ることは出来ず、獣人差別の特約は……タロウ殿には関係ないですな。現在の値段は120万クローネでありますが……3年後には700万クローネで販売しようと考えております」
あー、なるほど?
3年間は性行為が出来ず、大老も3年間寝かせてから700万クローネで販売したい的な?
「大老、700万クローネを出しますから、奴隷契約できますか?こちら700万クローネです」
「さすが『銀馬車の紙商人』殿ですな。直ぐに準備致します」
大老がスタスタと部屋から出て行く。
アンナさんはひたすら土下座?的な頭を下げて両膝で跪き、祈る様に『御主人様、ありがとうございますっ!!御主人様、ありがとうございますっ!!』と念仏を熱心に唱えている。
カオス過ぎるでしょ、この状況。
チラっと聖剣クラウスを見れば『お前ら、ボスはロリコンの疑いがあるぞ!!しかも姉妹丼だ!!さすがは俺たちのボスだな!!ガッハッハ!!』とか笑ってるし。
異世界ってのは、ホント意味不明だわ。
資金
約120万クローネ
魔石ポイント
79万5000MP
所有奴隷
男 5人
女 2人




