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20話

20話


 俺の指示に従って、えっちらおっちらと男の奴隷たちが大量のダンボールを3階奥の8人部屋まで運んで行く。


 初めて見た奴隷は服装が貧相なだけで、鉄の首輪だとか鉄の足輪とかは身につけていなかった。


 身につけてはいないが彼らの首には奴隷だと分かる同じ奴隷紋が浮かんでおり、彼ら奴隷は奴隷契約スキルにより魂が拘束され、主人が解放するまで奴隷のままだと言う。


 つまり奴隷に堕ちれば、解放されることもなく一生奴隷のままだということだ。


 俺は絶対に奴隷には堕ちないと、深く決心をした。


 運べる荷物は全て8人部屋まで奴隷たちが運び、俺はベ○スキャンプ16Xと物置に鍵をかけ警報装置をオンにする。


 もし無理矢理ドアや物置を開けようとすれば、近所迷惑間違い無しの大音量の警報アラームが鳴る仕組みだ。


 頼むから鳴るなよ……。


 奴隷たちを貸してくれた店主と荷物を運んだ奴隷たちにお礼を述べ、8人部屋へと入る。


 えーと、どのダンボールだろ?


 コイツかな?


 違った。


 コイツは……違った。


 コイツだったかな?


 あったあった。


 俺はダンボールから、俺の人生に大きく関わるであろう『商品』を取り出す。


 そう、コピー用紙だ。


 『複製スキル』と唱え、俺はA3サイズのコピー用紙100枚入りに魔力を通し『A3コピー用紙100枚入り』と存在を記憶する。


 次は包装を解いてコピー用紙1枚を取り出し『A3コピー用紙1枚』と存在を記憶する。


 目の前にある半透明のディスプレイに『A3コピー用紙100枚入り 2050MP』『A3コピー用紙1枚 20MP』と浮かび上がっており、2050MPと20MPがそれぞれの必要魔石の数字だ。


 2050MPの余分な50MPは包装用紙の分か?


 これがどれだけの魔石を必要とするのか?


 魔石の値段はいくらになるのか?


 採算は取れるのか?


 採算こそが俺の運命の分かれ道になるだろう。


 もし採算が取れ、大量にコピー用紙が複製出来るのなら……俺の人生は安泰だ。


 逆に木版を生産していた職人たちは……悲惨だろうな。


 あんな木版で文字を刻むとか、余りにも不便だ。


 不便だからこそ、便利な商品が登場すれば淘汰される。


 商品が淘汰されれば、どうなるのか?


 職人たちの飯の種が無くなる。


 この国の木版文化を支えていた職人たちに失業の嵐が吹き荒れるだろう。


 まぁ、俺も頑張って生きるから、お前たちも頑張って生きろよ。


 お前たちを蹴落としてでも、俺は絶対に奴隷には堕ちたく無いんだ。

 

 高級スーツに着替えてから俺は部屋を出て鍵をかけ、1階の受付まで行く。


「ん?出かけるのか?」


「ええ、少し出かけてきます。モーリスさん、部屋の鍵はどうすれば宜しいですか?」


「もちろん預かるよ。戻って来たら返す。あと受付が俺じゃなく息子や娘だったら、名前を言えば鍵を渡す」


「分かりました。それでは出かけてきます」


「気をつけてな」


 もちろん細心の注意を払って、出かけるさ。


 異世界に来て早々に『ハイ、サヨウナラ』だけにはならんぞ……。


 さて、向かう先は……。


 魔石を売買している店だな。


 俺は宿屋を出て右手に方向に進む。


 途中に宿屋並みの垣根に囲まれたデカい建物があり、商業ギルドと垣根の看板に書かれていた。


 さらに進むと、同じく宿屋並みの垣根に囲まれたデカい建物があり冒険者ギルドと垣根の看板に書かれている。


 確かその隣が魔石を売買している店だったよな?


 冒険者ギルドの隣の垣根に魔石売買店と書かれた看板があり、俺は開いてる門から垣根の中に入る。


 2階建てのレンガの家のドアも開いており、中を覗くと受付で暇そうにしている若い女性が座っている。


「あのー、すみません」


「あ!はいっ!本日はどの様なご用件でしょうか!?」


 暇そうにしているのを見られてバツが悪いのか、少し焦って接客を始める店員。


 ってか食後の後だったのか、L字型の受付のテーブルの上に鉄の鍋が客の手の届かない位置に置いているが、そもそも客の前なのに鉄の鍋を隠さなくて良いのか?


「魔石を買いたいのですが、おいくらでしょうか?」


「はい?えーと、ご予算をお伝えして頂けましたら、ご予算に合わせて魔石を販売しておりますが……」


 ん?


 意味不明だ……。


 何かお互いに齟齬があるな……。


 もしかして魔石1つ1つには、値段が付いてないのか?


「これは失礼しました。では予算は1万クローネでお願いします」


「手数料込みでしょうか?手数料は別途でしょうか?」


「すみません……実は行商で外国から迷宮都市ハリスに来まして……魔石の売買や手数料の話などを詳しく教えて頂けますか?」


「はい、大丈夫ですよ。迷宮都市ハリスでは魔石は1000クローネづつ販売しており、手数料を20%頂いております。ご予算が1万クローネですと……8000クローネ分の魔石と手数料1600クローネを合わせた9600クローネ、または1万クローネ分の魔石と手数料2000クローネを合わせた1万2000クローネになります」


 20%も手数料を取るのかよ……。


 たぶん利益や税金なんだろうけど……。


「それでは8000クローネ分の魔石をお願いします」


「はい!少々お待ちください」


 店の奥からガサゴソガサゴソと青い石っぽいのを取り出し、それを受付の上に置いている鉄の鍋にポイポイと入れる店員。


 ……なぜ鉄の鍋の中に魔石を入れてるんだ?


 異世界の常識は意味不明過ぎる……。


 そして蓋を閉めて、店員が蓋の上に付いているボタンをポチッと押す。


 は?


 おいおいおい。


 マジかよ。


 鉄の鍋に『7962』と数字が浮かび上がって来たぞ……。


 これがファンタジーってヤツか……。


 店員が再度ボタンを押すと数字が消え、ブツブツと『38…38…』と言いながら店の奥に行き、ガサゴソガサゴソと一つの青い石を持って来た。


 そして再度鉄の鍋にポイっと入れてボタンを押すと『8000』の数字が鉄の鍋に浮かび上がる。


「お客様、ご確認の通り魔石8000ポイントになります。宜しいでしょうか?」


「え?ええ、もちろん……」


「では、手数料込みで9600クローネになります」


 店員の女性に1万クローネを渡し、鉄の鍋に入っていた魔石と400クローネを受け取り、クローネが入っている皮袋の中に一緒に入れた。


 さて……。


「ありがとうございます。すみません、少し質問をしても宜しいでしょうか?」


「大丈夫ですよ」


「先ほども述べましたが私は外国から来まして、実は国に迷宮が無く魔石を取り扱うのも初めてでして……それで見たところ魔石はそれぞれポイントが違うのでしょうか?」


「はい。そうですよ?魔石は迷宮から取れ、階層により魔石のポイントが変わってきます」


「ふむふむ。ちなみに1階層目の魔石ポイントは、どれぐらいですか?」


「1階層目はポイント1~100までの魔石が取れます。2階層目は101~200ポイント、3階層目なら201~300ポイントの魔石が取れます」


「なるほど。つまり魔石ポイントが分かれば、何処の階層の魔石か分かると?」


「はい、その通りですね」


「それは鉄の鍋でしょうか?これは魔石のポイントが分かる装置ですよね?」


「こちらも迷宮から取れる魔石鑑定鍋の魔道具ですね」


 魔道具?


 迷宮からこんなのも取れるのか……。


「少しそちらの魔道具を触らせてもらえますか?」


「駄目です。魔道具は高価なんですから見ず知らずの人には触らせられません」


 チッ、複製スキルで魔道具の存在を記憶出来るのか試したかったのに……。


「かしこまりました。魔石鑑定鍋は魔力を使って動かすのですか?」


「いいえ、違いますよ。魔石を使って動かします」


 ふむ。


 魔石は電池みたいな物か?


「なるほど。ちなみにその魔道具はおいくらぐらいで購入できるのでしょうか?」


「商業ギルドが開催しているオークションに魔石鑑定鍋の魔道具が出品されれば購入できますが、値段はその時のオークション次第としか……」


「なるほど……。質問に答えて頂き、ありがとうございます」


「いえいえ。またのお越しをお待ちしております」


 俺は店員に別れの挨拶をして店を出る。


 この国、この街の常識が分からないのは、思っていた以上に厳しいな……。


 さて、どうすべきか……。



資金

59万400クローネ

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― 新着の感想 ―
[一言] 一人しか調達できない。一人しか生産できない。長期で居座る気がないなら珍品、希少な最高級品という枠組みから抜け出せないように思う。顧客は奪ってもパピルスと同額でなければ、産業がつぶれるほどの影…
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