18話
18話
「待て待て待てっ!!そこの変な服装のお前、ちょっと待て!!」
草原から街に向かうと直ぐに街道に出たので、街道から街まで向かった。
遠くから見た街は、獣よけ目的だと思うが数kmほど木の柵で囲われており、そのまま街道に沿って進むと開け放たれた門にまで着いた。
周囲を見渡しても誰もおらず無人だったので、素知らぬ顔で街の中に入った。
街の中はレンガの垣根に囲まれたヨーロッパ的な家がポツポツと建っており、城壁に近付けば近付くほど建物が密集して建っている。
街は思っていた以上に大きいが、文明度としては古代か中世だろうか?
ハ○レーダビッドソンに跨がりながら『何処かにベ○スキャンプ16Xと物置を泊めれる大きな宿とか無いかな?』とか思っていたら、槍を持った守衛っぽい人に変な服装呼ばわりで呼び止められた。
クソカッコいいライダースーツの良さも分からねーのかよ。
というか、変な服装はオメーの方だろうが。
ちっ、仕方ねぇな。
とりあえずエンジンを切り、ハ○レーから降りるか……。
「えーと、私ですか?」
「お前以外にいるかっ!?なんだそれは!!奇っ怪な音を出し、しかもそんな大きく怪しげな物を街中に持ち込むとは、上から何も聞いてないぞっ!?」
まぁ、そうなるよな。
俺も日本の町中で戦車とか見たら問い質すわ。
「あれ?コレを知りません?外国では当たり前に使われてますが?」
俺の必殺技『これ、常識ですよ?もしかして貴方は知らないんですか?』を使い、守衛っぽい人に知的マウント攻撃。
初手から『俺はモノを知っている人間』『お前はモノを知らない人間』と上下関係を作り、主導権を取りに行く。
「む?そ、そうなのか?いや、それでも見たことも無い物を街中には入れられないぞ?上から許可を貰っているのか?」
ふむ。
見たこと有る物なら良いのか。
「すいません。私は外国から来た行商人なんですが、荷車を街中に入れるのに許可は必要でしたでしょうか?」
「いや、壁内ならともかく、壁外の街中への荷車に許可は必要は無いが……それは巨大な荷車なのか?」
ふむ。
壁外は許可が必要ないのか。
規則が緩そうだな。
「そうですよ?車輪も付いてますし、荷車以外に見えますか?外国では当たり前の様に使われておりますし、ここまで誰にも呼び止められてませんけど……。えーと、行商の為に普通に街中に入りましたが……何か問題がありましたでしょうか?」
「い、いや、壁外の街中での行商と荷車の使用は自由だが……」
ふむ。
言質は取ったな。
チェックメイトだ。
「ですよね?私も迷宮都市ハリスの壁外の街は、行商と荷車の使用は自由だと聞いておりましたので安心しました。ところで、この大きさの荷車を置ける宿はご存知無いでしょうか?」
既に上下関係は出来上がった。
相手の話を拾いながら論点をズラし『もう話は終わっただろ?』と、別の会話に移行させる。
「え?宿?あ、あぁ。荷車や馬車を置ける宿はあるが……そのデカさの荷車となると……モーリスさんとこの『止まり木の宿』なら大丈夫そうだが……」
「あ、では、そのモーリスさんの宿まで案内して頂けませんか?もちろん手間を取らせますので、こちらをどうぞ」
俺は皮袋から中銀貨1万クローネを取り出し、守衛に握らす。
これでお前も共犯だ。
つべこべ言わず、俺を護衛し宿まで送れ。
「え?おぉ!もちろん良いぞ!こっちだ、着いてきてくれ!!」
「ありがとうございます。ちょっと奇っ怪な音が出ますが、気になさらないでください」
「お、おう!俺は気にしないが、気になる住民がいれば安全だと伝えておくよ!!」
「ありがとうございます」
ふー。
何とか凌げたか……。
下っ端っぽい守衛だったから良かったものの、もっと上の人間から睨まれたら厄介だな……。
何とかして身と財産を守る術を考えないと……。
資金
99万クローネ




