16話
後書きに告知があります。
16話
「小林様♪それでは100万クローネと、オリハルコンの神像をお渡ししますね♪」
にこにこと凄い上機嫌のユーグレナ様から100万クローネが入っている皮袋と、ユーグレナ様そっくりのピッカピカのオリハルコンとやらの神像を受け取る。
ユーグレナ様の神像、物理的に重いんですけど……。
というかオリハルコンって、あのオリハルコンだよな?
下界の人間にユーグレナ様の神像を全て叩き壊され、武具にされたのはオリハルコンのせいでは?
ちなみにオリハルコンの神像を創る為に、ウチのポンコツ女神から神力を借金したらしい……。
神様が借金とかクソ笑えるんだが……。
「ありがとうございます。ユーグレナ様、色々とお世話になりました。世界にユーグレナ様の真名を広め、神像に毎日お祈りさせて頂きますね」
「小林様♪ありがとうございます♪これで神力が少しづつ溜まりますわ♪最後に私から、小林様に使徒の祝福を与えますね♪んー♪んー♪んー♪えいっ♪」
は?
使徒?
祝福?
何の話?
俺に何の相談も前触れもなく、勝手に何してるの?
というか、使徒って何?
「あの、ユーグレナ様……使徒とは何ですか?」
「小林様♪使徒は私ユーグレナの名を世界に広める人であり、また神像を経由して私とお話しできますわ♪私の世界では約3000年ぶりの使徒ですわ♪」
は?
下界でもユーグレナ様と話せるの?
しかも3000年ぶり?
いやいやいや。
色々と前提がおかしいだろ……。
「あの……基本的に神々は世界の生命体に干渉できないのでは?」
「小林様♪その通りですわ♪ですから神力を使い祝福を与えた使徒を通じて、神々は世界に干渉しますわ♪本来なら神界の掟で世界に対しては100年に一度しか行え無いのですが、小林様は世界ではなく神界におられるのでいつでも祝福を与えられます♪」
100年に一度?
3000年ぶりでは?
あ、もしかして神力が足りなくて、3000年ぶり的な?
ユーグレナ様の地雷っぽいし、聞いては駄目な気がする……。
「えっと、つまり基本的には干渉できないが、特例として使徒を利用して干渉できると?」
「小林様♪その通りですわ♪」
あー、なるほど?
ユーグレナ様は俺を通して世界で何かをしたいのか?
神像を叩き壊した人類の全てに復讐したいとか?
……嫌な予感がプンプンするから、聞いては駄目な気がする。
深く考えるのは止めよう。
なるようになるし、もう出たとこ勝負だ。
「ゆ、ユーグレナ様。そろそろコイツとコイツと一緒に世界に降りようと思いますが、どうすれば宜しいでしょうか?」
「小林様♪目を閉じてお待ちくださいな♪私の声が聞こえなくなったら、世界に降り立ってますわ♪」
「かしこまりました。使徒の祝福まで頂き、ありがとうございます。それではユーグレナ様の世界に行ってきます」
「小林様♪いってらっしゃいませ♪」
俺はそっと目を閉じて、下界に降り立つのを待つ。
ユーグレナ様が可愛らしい声で『んー♪んー♪んー♪』と唸っている。
目を瞑っていると、ユーグレナ様の優しい声は……愛しい我が子へと贈る母親の子守唄の様にも聞こえる……。
やがて少しづつユーグレナ様の声が小さくなり……声が全く聞こえなくなった。
俺はそっと目を開けて、異世界を睥睨する。
目の前に見えるのは、草原。
周りを見渡すと、愛車のハ○レーダビッドソンとベ○スキャンプ16Xと物置がある。
少し遠くの方を見るとレンガ調の建物があり、さらに遠くの方には城壁が見える。
スキルという巫山戯た能力があるこの世界で、俺は愛車のハ○レーダビッドソンとベ○スキャンプ16Xと共に異世界での人生が始まった。
さぁ、誰も知る事のない新たな旅へと向かおう。
資金
100万クローネ
16話まで読んで頂き、ありがとうございます。次話から2章になります。




