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その後、マリーは休み時間中必死に勉強をしてなんとか歴史学の小テストの赤点は免れたようです。よかったよかった、一安心です。
「ねえねえエラ、今日こそ街のジェラート屋さんにいこうよ!」
マリーが放課後のお茶に誘ってくれます。
でも、
「今日もお家の手伝いがあって、、ごめんなさい」
私は家の手伝いがあって帰らなくてはなりません。
「またあ!?って、ごめんね、エラの家の事情はよくわかってるのに。また今度行こう!スッゴくおいしいんだよ!」
「はい、ぜひ!いつも誘ってくれてありがとうございます。家族に相談してみます」
「うん!今度絶対ね!じゃあまた明日~!」
マリーと学園の入口で別れて、私は自分の家の馬車へ向かいます。
馬車に乗り込むと
「遅い!私のことを待たせるなんてどういうつもりなの!?」
と、先に乗っていた姉に怒られてしまいました。
「申し訳ありません」
「どうせ、あなたのあの、汚い平民のお友達と話していたせいでしょ?ほんっと勘弁してほしいわ」
「申し訳ありません」
「あなたがあんなのと仲良くしているせいで、私にまで害があったらどうしてくれるの?ほんと、愚図よね」
「申し訳ありません」
「今日は私お友達とお茶の約束があるの。あなたはここで降りて、後は歩いて帰ってちょうだい。あ、この宿題やっておいてね。あと私の部屋の掃除も。」
「はい」
宿題を手渡され、家まであと40分程のところで馬車を降ります。
歩いて帰るには少し長い距離ですが、こんなことは珍しくありません。
むしろ姉と長く馬車に乗っているより、長く歩く方がよっぽど気が楽です。
マリーは汚くなんてありません。「あんなの」なんて言われていい人ではありません。
学園に通えるほど商売で成功するなんて本当にすごいことです。
貴族も平民も平等を掲げている学園ですが、姉のように平民を馬鹿にする貴族はたくさんいます。だけどそれに負けないで、明るくて、私なんかにも優しくしてくれる、すごく強い人です。
そう、言い返せたらどれほどいいでしょう。
マリー、ごめんなさい。全然言い返せない弱い私で。
どれだけ言い返したって無駄だ、と一緒に暮らしている年月で諦めてしまっている私がいます。私のいうことなんて特に聞いてはくれないでしょうし。
より酷いことを言われるのが目に見えています。
もっと強い人間にならなくてはいけませんね、、、