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 教室に入ると、もう何人かは席に着いたりお話をしたりしていました。そのうちの数名は私の存在に気がついたようですが、特に話し掛けられたりはしません。

 

 いつものことです。


 私の通っている学園は、ほとんどの生徒が貴族です。

 わたしの家も一応子爵という貴族位は与えられていますが、昔から続くあまり裕福ではない子爵家です。そのため、高位の貴族家に広く知られている家ではありません。

 

 ただ、私の家を知っている方々は、私が家族から疎まれていることも知っています。

 全然力もない、小さな子爵家で嫌われている末の妹。そんな私に近づくなんて、百害あって一利なし。


 しょうがないことですよね。悲しいですが、これも慣れてしまいました。


 いつも通り、誰とも話さず、わたしは席に着きました。



 学園は一番早くて12歳から通うことができます。一番遅くても15歳までには入学しなければなりません。そして卒業は18歳です。

 貴族は、その家庭によって様々な事情があり、12歳から通えない方もいらっしゃいます。だから、12歳から15歳の間には入学する、という、少し緩い決まりとなっているようです。

 ただ、学園に12歳から通えなかったとしても、通っていない分の学習は家で行う、ということも決まっています。

 

 私は13歳から通いはじめました。

 最初は家の手伝いをするように、と、12歳から通うことはできなかったのですが、家庭教師をつけて

勉強させる、という方が疎ましく思われたようで、13歳から入学することとなりました。



 もう少しで始業の時間です。

 教科書の準備をしていると、


「エラ!おはよう!」


明るい声が隣の席から聞こえてきました。


「マリー、おはようございます。」



 私のこの学園で唯一のお友達のマリーです。



「今日歴史学の小テストだよね?全然勉強してないよ~どうしよう~!」


「私、テスト範囲をノートにまとめていますよ。見ます?」


「いいの!?休み時間に急いで勉強したい!!」


「どうぞどうぞ」



私がノートを渡すとマリーは輝く笑顔で、ありがとう!と言います。


 

 マリーは貴族ではなく商家の娘です。商家というのは、位で言えば貴族ではなく、平民です。

 この学園では、平民は基本的には通うことができないのですが、マリーのお家のように、裕福であれば特別枠という形で通うことができるようです。


 マリーは私が自分の家族や他の貴族達から敬遠されていることを、知っていて、仲良くしてくれます。


 マリー曰く、他の貴族達はお高く止まりすぎていて、平民である自分とは話もしたくないらしい、とのこと。

 確かにそういう風潮はあるかもしれません。


 あぶれたもの同士、仲良くしよう!なんて、あっけらかんと言います。貴族の平民を軽視する風潮は嫌な気分になりますが、おかげでマリーと仲良くできてちょっと嬉しい、、、


 なんて、言ってはいけませんね。聞かなかったことにしてください。

 


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