秘密の会話
高島家の一室にて。
とある計画を画策する者あり。
「いい? 目標は手を繋ぐ事だよ?」
その者の名、高島皐という。
彼女は自称、恋愛マスター、数々の恋愛を知る者。
彼女はまた恋に悩む者の手助けをする。
「お兄ちゃんは奥手なんだから。しっかり攻めた方がいいと思うの」
今回の相談相手の好きな人は同じクラスの隣の席の人。
相談相手はかなりの奥手。だからどうにかして勇気を出させなければならない。
だが、問題ない。皐は相談相手のやる気が出る魔法の言葉を知っている。
「今までは運が良かっただけだよ。ぼけっとしてたら誰かに取られちゃうかもよ?」
相談相手は前からその人のことが好きだったらしい。それも結構前、小学校の時から。
長年の思いを成就させるのを助けるため、皐は最後にこの言葉をかける。
「とにかく、頑張るんだよ、さゆちゃん」
相談相手は皐の昔からの友達。小学校四年生の時にその子は転校してしまったが、一年前に帰ってきていたみたいで偶然皐と出会い、今では昔のように仲の良い友達に戻っている。
もちろん、皐の兄とも仲が良かった。そして、その友達は兄と同じ高校に入学した。
件の兄はそのことを全く知らないが。