いわゆる一択しかない選択肢
「それでね、あそこのシーンがもう最高なの!!」
「うん、そうだね」
「それからね」
「うん」
今は昼休み。俺と学園の女神様、鹿島沙由里は学校の屋上にいた。
「あとあと、ってほんとにわかってる?」
「も、もちろんだよ!!」
「ならいいんだけど」
何がわかってるのかというともちろんBLのことである。最近は、昼休みが始まると俺たちはこうして屋上に来てこんな話をしている。だが、俺はまったくわからないのでほとんど相槌なのだが鹿島さんは自分の話に夢中なので案外不審に思われることはない。たまにやばい時はあるが。
「ところでさ、今週の土日、高島君空いてるかな?」
「今週? 空いてると思うけど何かあるの?」
「うん。知ってるかもしれないけどリンリンのイベントがあるの。それで一緒に行かないかなって」
「ああ。リンリンのやつね。確か今週だったっけ」
まったく知らなかったよ。
「うん!! どうかな?」
「うん、全然いいよ。一緒に行こうか」
「ほんと!? よかったー」
イベントの内容はアレだが学園の女神様とお出かけ、いわゆるデートができるなら行かないという選択肢はない。