BrothersLove
恭が朔夜の家に押しかけ
同居するようになって
早1ヶ月
意識しないようにすればする程
朔夜の中で恭の存在が
大きく膨らんでいった
離れている間
恭のことを考えない時間が
日々無くなっていき
あの1夜から、彼の葛藤は
深まるばかりだった
(何なんだよ、この気持ち…
アイツのことばっか
考えてるじゃねぇか
しっかりしろよオレ…
相手は「弟」だぞ
しかも 「実の」)
そんなことを考えながら
ある日の昼、外を歩いていた
朔夜の目に
恭が同期生の女子に囲まれて
楽しそうに話している光景が
飛び込んできた
『……』
いたたまれず、足早に
その場を去る朔夜
(アイツは…恭は、昔から
半端なくモテる。
見てくれも悪くはないし
何より世渡り上手というか
話を合わせるのが
腹立つくらい上手い)
何故だか、恭が他の人間と
楽しそうにしている光景を
見るのが朔夜は
心苦しくなっていた
(ヤキモチ…?いやいや
ありえないだろ、弟相手に
別に…好きでも何でもねぇし…)
朔夜は無理をしていた
それは彼自身も
うっすら分かっていたが
だからこそ、相変わらず
認めたくない感情に
葛藤する日々なのだ
家の中で、一緒にいる時間も
視線が合うと、思わず
目を逸らしてしまう朔夜
『兄さん?どうしたの?
最近、オレを見てくれないね?
意識してる?』
いたずらっぽい笑顔で
問いかける恭
朔夜は、ついムキになる
『アホか!
弟意識して、ガン見する奴が
どこの世界にいる。別に良いだろ
見てなくなって』
恭は嬉しそうに
朔夜に顔を寄せ
ニヤニヤしている
『ムキになるところが
ますます怪しいなぁ?』
意地になり、頬を染め
目を合わせようとしない朔夜
『離れろ!寄るなバカ!
何度言ったら分かる!』
近くのクッションを
手当り次第
恭に投げつける朔夜
照れ隠しだった
飛んでくるクッションを
笑顔で交わしたり
指ではじいたりしている恭
『あれ?何してるの?兄さん
もしかして、オレと
遊んでくれてるの?』
『ぐぬぬ……』
悔しくて堪らない様子の朔夜
理由は明確だった
完全に弟に、好意に気付かれ
からかわれているのだ
『ちげーよ!っつか
もうこんなことして
遊ぶ歳でもねぇだろ、オレら』
言いながら照れて俯く朔夜
恭は、そんな兄の顔を
真下から覗き込み、言った
『んー、それもそうだね
じゃあもうちょっと
大人らしい遊びをしようか』
朔夜の顎を摘む恭
警戒し、眉を吊り上げ
睨む朔夜
『な、何をする気だ…!?』
『え〜?言ったでしょ
「大人らしい遊び」って』
言うなり、仰向けに朔夜を
押し倒し、馬乗りになる恭
朔夜は慌てる
『∑わぁバカ!
何すんだ!?どけ!』
ジタバタと抵抗を試みるが
強い力で抑え込まれてしまう
『あーあ。俺もう知〜らない
兄さんが、あんまり可愛く
抵抗するもんだからさ
歯止め聞かなくなっちゃったよ
兄さんの自業自得だからね』
そう言って、突然キスをする恭
そのキスで一気に
全身の力が抜けてしまい
朔夜は赤面する
『な、な、な…
い、いきなし
何しやがんだ…?』
そう聞かれた恭は
哀しそうに微笑んで
朔夜の頭を撫でる
『…ごめんね、兄さん
俺…あまりにも、好きすぎて
兄さんが、愛しくてたまらなくて
今日は結構…意地悪しちゃった』
驚いて、恭を見つめる朔夜
『…恭…お前…』
恭はずっと撫でている
『怖がらせちゃったかな…ごめんね
そんなつもりじゃなかったのに
だって可愛いんだ……』
照れる朔夜
赤面して、一瞬目を逸らし
『別に…っつか…男に可愛い言うな…
く…悔しいけど…み、認める…恭…』
『ん?』
恭を見つめ、頬を染める朔夜
『好き…』
それを聞いた恭は
嬉しそうに目を細め
愛しそうに兄を見た後
覆い被さる形で
そっと兄を抱きしめた
『やっと、言ってくれたね。兄さん
その言葉を待ってたよ。…俺も好き
これで、やっと両想いだね』
赤面し目を瞑る朔夜
『お、おぅ…恭…あの、さ…』
兄を見て話を聞く恭
『ん?何?』
朔夜は照れながら
ポツポツと話す
『あんま…オレ以外の奴と
きゃっきゃ…しないでくれ…辛い…』
嬉しそうに微笑む恭
『兄さん…
ヤキモチ、妬いてくれてたんだ
嬉しい』
そういうと、兄の頭を撫でながら
話を続ける
『分かったよ兄さん
努力はする』
そう言って至近距離で兄を
見つめる恭
朔夜は、軽く口を開いた
『……//』
微笑んで、キスをする恭
朔夜はキスを受け入れて
心地よさそうに目を瞑る
溢れ出した『好き』という感情を
止めることは、もう
2人には出来なくなっていた。
キスの後、抱きしめ合う2人
末永く…お幸せに
〜Fin.