【資料】南大陸中西部の略図
タイトルの通りです、今回もファンタジー風地図作成サービスInkarnateの力をお借りしました。
例によって物語の展開次第で書き換える場合もちょいちょいございます、御了承下さい(震)
本編でも度々触れておりますが、①のタルカシュコーンから南で気候がガラリと変わります、大河川の周りや沿岸部は植生豊かな熱帯モンスーン気候、内陸部は乾季と雨季でメリハリのあるサバンナ気候になります。
そしてこの地図の一番下あたりが赤道です。
さて、これを書いているのは本編第99話前後なのですが……
マリー達の世界は17世紀初頭~前半の現実世界を下敷きにして作っていますので、今回も当時のこの地域の史料を探してみたのですが、悲しいくらいに少ないんです。私のようなずぼらな一般人がちょっと検索したくらいじゃ出てきません。
現在でもこの地域には様々な民族、様々な言語、様々な文化の人々が暮らしています。ですから当時だって様々な国があり様々な町や村があったはずなのですが。いくつかの国の名前と首都があった場所が解るくらいです。
17世紀のこの地方に関わった人々を三つのくくりで乱暴に分けると、元々この地に暮らしていた人々、砂漠を越えてやって来るイスラムの人々、そして新大陸やインド洋にも行ける程急速に航海術を発展させた西欧人です。
イスラム商人はもっとずっと昔からこの地を訪れています。地図で見ると巨大な障壁にしか見えないサハラ砂漠ですが、多くの商品を抱えて通行するには色々と都合が良かったんですね。
彼らと付き合いの深かった王朝もイスラム化し、塩や金を始めとする様々な商品の取り引きで大いに栄えました。地図上の⑩にはその象徴として名高い交易都市トンブクトゥがあります。
Wikipediaには当時の繁栄の様子の記述があるのですが、その中。
◇◇◇
また常時3,000人の騎手を揃え、(中略)さらに多くの医者や裁判官、司祭、学者がおり、彼らは王の財によって手厚く養われている。
(Wikipedia「トンブクトゥ」の項目より抜粋)
◇◇◇
凄くないですか? サハラ砂漠の真ん中に、そんな都があったんですって。
だけどこの都は16世紀半ば頃からは衰退してしまいます。そうです、西欧人が船で直接インド洋とへ行って交易をするようになったんです。それまで砂漠のキャラバンが運んでいたインド洋やアフリカの産物を西欧人が船で運んでしまうんです。
西欧人達は最初はそれ程武力を持っていなかったので、まあまあ公平な取り引きをしたといいます。16世紀半ばには衰退する内陸の王朝に代わり、貿易で力をつけた沿岸近くの王朝が台頭するという事もありました。
しかし力を増した西欧人は次第に沿岸に要塞を建てたり都合の悪い相手を攻撃したりするようになりました。この後にやって来るのが、本当の暗黒時代です。
現実のダカール港の沖にはゴレ島という島があります。この島は17世紀前半にオランダに占領され、以降はイギリスとフランスに奪い合われる奴隷貿易の拠点となります。
だけどマリー達が居るのは別の世界ですから、地球と同じようになるとは限りません。マリーの世界の港、タルカシュコーンは地元の王族が法で治める活力ある国際都市となっています……女性の司法官まで居ました。
この島が負の世界遺産になってしまうのか、長閑な漁師達の島であり続けるのか、それは今回のマリーの冒険とも、少し関係があるのかもしれません。