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【読み物】主人公の一日

 ヴィタリスのマリーの一日(春)


 日の出の少し前に起きる。朝のうちにへっついの横のかめに入れる水を汲みに井戸へ。短時間で掃除洗濯を全部済まさないといけないので、井戸端会議からは逃げざるを得ない。

 昨日煮た麦粥の残りを食す。済んだら急いで山羊追いのバイトへ。夏は山の上まで追うが、春は村外れまででいい。


 山羊追いの合間に隣の牛の放牧地で、牛糞をスコップで採集、桶に入れて大きな農家などに持ち込むと、少々の大麦と換えて貰える。臭くて重いが貴重な仕事。


 戻ったら身支度をして裁縫の下請け仕事を貰いに行く。

 隣の、ヴィタリスより少し大きな町にオクタヴィアン所有の手工業工場がある。

 マリーの夢はこの工場の正式な女工さんになる事。

 出来損ないのリフォームとか急な変更が入った物とか、正従業員にやらせるのが勿体無い仕事が出た時だけマリーに仕事が回って来る。

 無い場合は近所の雑貨問屋などに行き雑巾縫いの仕事を貰う。


 昼食は無し。


 針仕事は工場自体が休みになる日があり、そういう日は村の職人などに頼んで下働きをさせてもらう。鍛冶屋か大工の道具の片付けと手入れ、文筆家の資料整理など。


 途中、暇そうなサロモンを見掛けたら隠れてやり過ごす。見つかるとしばらくつきまとわれ、からかわれる。


 夕方。祖母の墓参りをして帰宅、方々でいただいた食材と、自分で空き地に作った小さな畑で取れた野草で麦粥を作る。豆と干し鱈が貴重な蛋白源。

 針仕事がまだある場合はランプをつけるが、無い場合は日が落ちたらおしまい。

 甕の水の残りを使って体を拭き、眠る。



   ◇◇◇



 フォルコン号船長マリー・パスファインダーの一日(秋)


 当直が無いので適当な時間に起きる。その日は起きたらもう日が出ていた。

 身支度をしお姫マリーに着替えてぼんやりしていると、アイリさんが艦長室まで朝食を持って来てくれる。

 近海の海の幸と新鮮な野菜やチーズを巻いた焼きたてガレットと、貴重な卵を使ったハムエッグ、食後にミントティーなど。


 食後に艦内を一回り。労働者諸君に声を掛けて回るのも船長の大事な仕事である。


 その後皆の食料調達の為と称し、艦尾から釣り糸を垂れる。不精ひげが飛んで来て帆布で日除けをかけてくれるので、ぞんざいな礼を言う。

 折り畳み椅子に寝そべり当たりを待つが、飽きて来ると艦長室に本を取りに行く。一応釣竿の前には戻って来るが、釣りそっちのけで武骨なファルケ人の詩集を読んでクスクス笑っている。


 釣り道具を片付けて(釣果ゼロ)アイリに昼食のメニューを聞きに行く。ベーコンチーズパスタだと言うので、ヒラメとフルーツのパスタに変更して貰う。

 ぶち君にブラシを掛けながら艦尾楼の椅子で待つ。不精ひげが折り畳みテーブルを持って来てくれるので、ぞんざいな礼を言う。

 アイリさんが昼食を持って来てくれる。カイヴァーンに白ワインをとってきてもらう。そのまま船尾楼で食事、昼食の後は午後三時頃まで艦長室で昼寝。


 昼寝から覚めると、会食室で当直の終わったアレクなどとカードゲームをする。その後当直を終えて早く休みたいロイ爺を捕まえチェス勝負を挑むも惨敗。再度挑むも惨敗。早く休みたいロイ爺が三度目はわざと負けて雪辱。


 アイリに夕食のメニューを聞きに行く。昼に使ったヒラメの半身をムニエルにすると言われるが、ヒラメは昼に食べたので肉料理への変更を要求。

 その後一度艦長室に戻り、水夫マリーに着替え甲板に戻って剣術の稽古をする。不精ひげがダミー人形などをセットしてくれるので、ぞんざいな礼を言う。


 再びお姫マリーに着替え会食室に。夕食のポークソテーに一番大きな切れを要望した所で、アイリさんに「今日の船長の所業」を読み上げられる。


 夕食後、水夫マリーに着替え甲板掃除。眠くなるまで。

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