【資料】今やっと作る気になった帆船の部品の名前などの話 ※挿絵18枚
昔、私が夢中で読んだ海洋小説には巻頭に挿絵があり、帆船の形式やその部品の呼び方などの図解が少し載っておりました。わかんないですもんね、船の専門用語なんて。
出来れば解説をつけたいんですが、はっきり言って私もあまりよく解らないんです、私別に海洋学校とか出てないし船乗りだった事もありません。私の認識や記憶が間違っていたら困るし……
それでも、図で見ていただく事で少しは物語が読みやすくなるかもしれないし、ちょっとやってみようかなと思いまして、いつもの3DCGソフトでちょこちょこと作ってみました。皆様に少しだけ、マリーの世界の帆船についてご紹介させていただければと思います。
いつものシップモデルです。私が持っているモデルデータで一番いいのがこれなのでこれを使います……船のタイプとしてはフリゲート艦の小型版、コルベット艦になります。甲板長25mぐらい、大砲は片舷7門くらい、快速で時化にも強いエリート、物語に出て来た奴でいうとフェザント海軍のアキュラ号かレイヴン海軍のグレイウルフ号がこういう感じです(ちなみに本当はもうちょっと後の年代の船です)。
これは、帆を畳んだ状態。
まずはこの部分、船長になる前のマリーが敵の船に突き刺して攻撃する為の角だと思っていた部分、これがバウスプリットです。旗が立ってますね。戦闘旗は本当はここに掲げるんだったかな……?
結構角度があるし意外と細い柱です。だけどここでする作業は結構多く、落下事故も多くて、昔は「未亡人製造機」などとも言われたとか……
スプリットセイルと呼ばれる帆もここにあります。基本的には帆は合計面積が広い程推進力になりますから、急いでる時は開きたいんですが、
この帆は開いてるか閉じてるかで、甲板からの視界がこんなに違ったりします、人間、前が見えないというのはあまり気持ちが良くないですから、急いでる時以外はあまり使わないようにしたりして……
こんな風に、帆船には便利な物と便利じゃない物、便利だけどデメリットもある物がいろいろと混在しております。
舷側、という言葉も良く出て来ます……これ、「船の側面の外壁」の事を示す事もあれば「波除板と手摺り」の事を示す事もあるし単に「船の横のほう」という意味で出て来る事もあります……紛らわしくて申し訳ありません。
大きな公園の帆船を模した遊具などにもよくある、この網状のロープ、これが静索になります、静索というのは動かない索という意味ですね、これはマストを両側から引っ張って支える補強材になっており、水夫がマストに登る為の足場にもなっています。
他にもたくさんのロープがありますね、ロープです、細い木の棒ではありません(震え声)。このうちマストを支える為に張ってある動かない物は支索と言います、シュラウドがマストを左右から支えているのに対し、ステイはマストを前後から支えています。
一方、風を有効に使う為に動かして操作するロープが動索です。ビルの窓のサンシェードなんかにも似たような物がついていると思います。動索には帆の向きを変えるブレースや開きを変えるリフトなどがありますが細かい事は勘弁して下さい(土下座)。
マストの事も書かないといけません、マストは帆柱です、帆船に立っている大きな柱です、木の棒です。
海洋小説に触れる前の私はマストって梯子がついててそれを登るものだと思ってました。
マスト三本の船の場合、一番前をフォアマスト、真ん中をメンマスト、後ろをミズンマストと呼ぶそうです。
帆を開いた所。メンマストとフォアマストの四角い帆はそれぞれ三つに分かれていますね。これが下からコース、トプスル、トガンスルと呼ばれます。メンマストのコース、フォアマストのトプスル、メンマストのトガンスル……そういう感じです。
大砲も見ておきましょう、これは露天甲板にそのまま置いてあるタイプ、ちょっと見え難いけど車輪とロープがついています。大砲にはどうしてもすごい反動があり、甲板に固定したら甲板がぶっ壊れます、ですから撃った反動を吸収する為この車輪で下がらせてやります、それをロープで止めます……そして砲身を掃除して火薬袋を詰めなおして砲弾を詰めて反対側から点火剤を入れて最後に火縄のついた棒を点火口から差し込んでドカーン……ぎゃああ前に押し出し直すの忘れたああ!
気を取り直して見張り台に行きましょう、檣楼とも言いますね、これはマストが複数なら普通は複数あります。この船にもマストごとにありますね。帆を開くと見えなくなっちゃう場所もありますので、実際には見張りは色んな所に居ます。
開く帆の数を減らせば視界は増えますが……船長の判断が問われる所ですね。
ちなみにトプスルの高さの檣楼は広いし手摺りもあるしまあまあ快適なんですが、
トガンスルの高さになりますとただの足場になります。でもまあここまでは静索もありますし熟練の水夫にとっては庭のようなものです。そのさらに上? そこはさすがにお庭と言うにはちょっと……
この絵だと支索が見易いですね、フレデリクがファウストと戦ったのはこんな場所だったのかもしれません。
ですがさすがに魔法でもなければそんな所まで登ってはいけません。マストの高さはだいたい船の全長と同じくらい、この船ですとビルの7階くらいの高さになりますね。
だけど水夫にはこんな高さでする仕事も色々あったのです。この図の横の木の棒が帆桁です、だらりと下がっているように見えるのはフット・ロープ……フット・ロープって何ですかね、こんな所に足を掛けて何をさせようっていうんですかね。
最後に船首楼と船尾楼この船の場合あまり大きくないですが、キャラック船やガレオン船には立派な船尾楼がついている事が多いです。そして船首楼には乗組員の居住区や会食室が、船尾楼には豪華な船長室が……あるのは近海を航行する商船くらいで、軍艦では大砲の隙間や通路にハンモックを吊るし、飲み水の代わりが薄くて不味いビール4リットル(水よりは腐りにくいから)食事はハンマーが無いと割れないコクゾウムシが湧いたパンを(ry
最後に。ここに上げた用語や解釈は地球の17世紀前半のものと必ずしも一致するものではありません、何卒御了承下さい。




