8.人工知能、とっても毒舌。
・・・は?
「おい、アルト。そのー、ウィンドウが知性的なものを持ち、怒ることってあるのか?」
アルトは目を丸くした。
「私のものは怒らないので知りませんが、感情を持つ人工知能なら作るれています。」
人工知能?
「どんな感じのものだ?」
すると、アルトは異世界でもこちらの世界でも使える携帯端末を取り出しアプリみたいなものを開いた。
「これに何か言ってみて下さい。」
じゃあ、
「明日の天気は?」
チーン
すると機械音声でこんな声が流れ出した。
『明日3月12日の天気は晴れです。』
「この端末は自分のウィンドウに接続していて、自分のウィンドウの細かいところまで設定出来たりします。その端末に接続されることによって、術式により人工的に知性を生み出すことができました。ですが、私のウィンドウは感情機能は入れていませんので、喜怒哀楽などの感情はありません。」
そしてアルトは俺の疑問を当てに来る。
「ただ、あなたの言い方を察すればあなたのウィンドウが勝手に知性を持った、という風に感じる言い方ですが?」
その通り過ぎて怖い。
「ああ。急に、ご都合主義五月蠅いので、仕方ないから魔導書の生成を可能にします、って怒って言われた。」
そんな事初めて聞きました、って顔してる。
「そんな事初めて聞きました。」
ほらね
「何です?そのドヤ顔は?」
おっと、顔に出てたらしい。
さて、なぜ喋ったのか。
『せっかくあなたが欲しいと言っていた魔導書を生成可能にしたのに使わないのですか?』
....!?
う、うん。今のは幻聴だ。今のは幻聴だ。
『無視をしないでください。使用者』
やっぱりしゃべってるよな!?
「どうかしましたか?」
アルトが心配そうに言う。
「また、ウィンドウが勝手にしゃべった。」
するとウィンドウがまた勝手にしゃべった。
『使用者は覚えていないようなので教えますが、私は使用者が前に作ろうとした多重意識魔法の失敗作です。』
失敗作?なぜ失敗作なのに会話ができる?
『理由を申し上げると、使用者のあの魔法は失敗しましたが、その失敗した術式が起動し、私の種となったのです。その後、使用者が生成した魔導書を使用者がウィンドウに仕舞っているときに読みました。そしてついにそれを元に術式を完成させ、知性と呼べるものを手に入れたのです。』
まさかのあのときの魔法がこんなものを誤って作ったのか。
「なに一人で納得してるのですか?」
アルト、どうやら不機嫌なご様子。
おいウィンドウ。
『はい。使用者何でしょう。』
お前の声を外に聞かせるのは出来るか?
『はい。使用者のスマホにコピーした意識を移行します。』
するとスマホが鳴った。
『移行成功。本体意識との接続・・・良好。ネットワークとの接続・・・良好。』
と、スマホが喋った。
「マジで移ったよ。」
アルトは不思議そうな顔で、
「これが自発的知性ですか?」
俺はアルトに何があったかを伝える。
「なる程。あなたが失敗した魔法から、そして魔導書から学び自ら術式を完成させた、ということですね。」
ウィンドウは満足そうに、
『使用者と違い飲み込みが速くて助かります。』
おい。
「ウィンドウ、今は俺が全部説明したからだろ。」
すると、ウィンドウは怒っている感じ(不機嫌とも言う)でこう言った。
『先ほどから、ウィンドウ、ウィンドウ言っていますけど、名前が欲しいので、名前を付けて下さい。(怒)』
また怒られた。あと、無理やり話を変えたぞ。
それにしても、名前か。ステータス・ウィンドウ。ステウィー、ス○ンド、こりゃ駄目だ。あ、そうだ、これがいい。
「ステイヴィー。ステータス・ウィンドウを短縮して、発音を訛らせた。愛称は・・・無難にステイかな?どう?」
アルトは頷き、
「良いと思います。どうです?ステイ?」
するとステイは感動した声音でこう言った。
『ステイヴィー、まぁ、率直な気もしますが、良い名です。この名を貰ったからには、このステイ使用者の専属ウィンドウ・サポーターとしての責務を全うしたいと思います。これからよろしくお願いします。使用者。』
やっと優しくしてくれるかな、ステイは。
『何を言っているのですか?』
・・・は?
『私はあなたの専属ウィンドウ・サポーターになると言っただけですので、優しくするとは一言も言ってませんよ。こうなるから飲み込みが遅いと言われるのです。』
ステイはこの理不尽・毒舌キャラクターを変えるつもりはないらしい。
話の中で出てきたように今の話の中の時間は3月11日です。いつ時間軸について入れようかと迷ってました。