11.彼女役、それはまともじゃない天使。
「よし!お前を【対抗リレー】入退場責任者に任命する!」
さっきステイに考えてもらった案を発表したら、こうなった。
この企画会議を仕切る、体育祭実行委員長の熱気竜太はこういった。
「え、っちょ、ちょっと勝手に決め手いいの!?」
この人は暑苦しい人だ。
「この学校の行事企画は生徒主体だ。だから責任者任命も勝手に決められる。」
そういえばそうだった。
「でも俺なんかで良いのか?」
「ああ。こんなものを考えられるんだから、出来るさ!」
『ほら、人を頼るとこうなる。』
お前は人じゃないだろうと、ツッコミたいが黙っておく。
『わざとですか?ぜんぜん聞こえてますよ。あと細かいことは気にしてはいけません。』
こんなことを言われたが、俺がこの体育祭実行委員に入ったのは思い出作りのためだ。俺は覚悟を決める。
「その仕事やらせてもらう。」
「おお、ありがとう!それじゃあ、【クラス対抗・色別対抗リレー】の入退場の隊形も考えておいてくれ!」
・・・え、
というわけで、あれから1ヶ月半。全てのリレー競技の入退場隊形を考え実行するために、外にいる。暑い。
俺が入退場の指揮を俺が執るからだ。
「暑い。」
「知ってる。」
「そうですね。」
俺のつぶやきに答える声が2つ。
「何だ来てたのか、春樹、アルト。」
「何だって何だよ。俺は入退場責任者補佐官なんだから来るのは当たり前だろ。」
何であの委員長は何でも軍隊風の名前にしたがるのかね。
「で、私は充の彼女役として来ただけです。」
アルトが学校に初めて登校したときに、俺と一緒に来たら何か色々な誤解が生まれ、俺とアルトが付き合ってるという噂が立った。そしてアルトはこのネタで俺をいじってる。やはりこの天使はまともじゃねえ。
だがこう言ってる顔が妙に恥ずかしがってる風だがかわいい。
「かわいい彼女がこう言ってるんだ。少し構ってやれ。」
「だから付き合ってねえよ!」
かわいいということは否定しない。
するとアルトが俺の耳に口を寄せ、
「暑いならコールドの魔法でも使えばいいじゃないですか。」
こんなバカなことを言い出す。
「こんな人目があるところで魔法なんて使えるか!」
相手にしか聞こえない声で話す。
「・・・確かに。」
やはりこの天使はまともじゃない。
「魔法が普通に使えるとこからきてるので。テヘ☆」
「そんな言葉どこで覚えた。」
「友が教えてくれた。」
「お、おう。そうか。てか、4ヶ月近くいるんだから、そろそろ馴れろ。」
そんなことを話していると、
「何話してるんだ?俺にも聞かせてくれよ!」
「断る!」
だが、なんてつけない。
するとアルトが息を吸う気配を感じた。
その次の瞬間、
「フゥゥゥ」
「ウヒャァ」
おお、恐ろしい。背筋が寒い。
「どうです?涼しくなりましたか?」
「や、やり方ってもんを考えろ!」ゾクゾク
分かったであろう。この天使はまともじゃあない。