10.入場隊形、特大ブーメランも良いところ。
今回は短いです。
この学校の体育祭での入退場門は2つ作れる。場所は毎年違う。
今年は、トラックの中心の幅の狭いところで向かい合うように、入退場門が設置されることになった。実行委員の代表者で事前に集まり決めたらしい。
「この入場門からどう出るか、そしてどう戻るか。出だしと終わりの印象は大事だからな。」
俺は質問をする。
「今はどのようなものが案として上がってる?」
だが、春樹は焦らすような顔で、
「それは会議が始まってからのお楽しみだ。」
こいつは実行委員の代表者でもあるから、どんなものかは知ってるが、そういうことを教えるのを焦らす癖がある。
「はぁ。わかった。会議が始まるまで待つよ。」
「それじゃあ、他の質問はある?」
「他にか、うーん。」
俺は考える・・・振りをする。そして。
ステイ。
『はい、何でしょう。』
トラックがこの形で、入退場門がある時どんな入退場の仕方が似合うと思う?
『何で私を頼るのですか?自分でも考えてみて下さい。』
ふっふふ、そんな事を言われると思い、原案を考えてきたよ!
『な…何!?頭の回転の遅い使用者が!?』
相変わらずの毒舌だな、おい。
『で、原案とはどんなものですか?』
簡単だ。ーーー
『なる程。使用者の考えることにしては、良くできています。そしてこれをより良くしろと。』
じゃ、よろしく。
「それじゃあ、」
ステイとの会話を終えた俺は、新たに質問する。
「新しい入退場に関する案を出すのは良いのか?」
「おう、大歓迎だ。」
「なら俺の案を出させてもらう。」
すると春樹は、
「どんなんだ?教えてくれ。」
「始まってからのお楽しみ。」
「そりゃないよ。」
特大ブーメランも良いところ。