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第九十八話 誓い

「うぅ~、この飛行機体は呪いが掛かっていたか……」


「酔い止め飲んだんだろ?一人で立てるか?」


「な、なんとか。くっ、こうなるなら私一人で飛んで行けば良かったか」


「本当に飛べるならなー」


 三年生になり、5月に私達は修学旅行で東京に来た。飛行機に酔ってしまったがゆう君が手を貸してくれた。


 ゆう君とはバスの席も班も違っても、ゆう君は出来るだけ一緒にいてくれたし私も出来るだけゆう君といた。そのせいで先生にちょっと怒られてもゆう君は全部自分のせいにしてくれた。



「はぁ~、楽しかった!夢の国最高~。ゆう君~、もう足が動かないよ~」


「このくらいでかよ。けど俺も今日は疲れたな。早くホテルで寝たい」


 私とゆう君は自由行動が終わる時間に他の班の人が集まるまで皆と少し離れて話していた。


「明日で帰るんだよ~?今を楽しまないと!」


「俺は早く家に帰ってゲームしたいんだけどな」


「でも修学旅行終わったらもう高校のこと考えていかないといけないよ?」


「めんどくせ~。えりはどこに行くかもう決めてるのか?」


「うん。稲星高等学校ってとこ」


「偏差値どれくらいなの?」


「う~んと、70くらいだったかな」


「70⁉マジか。流石だな~」


「はっはっは、私にかかればそれくらい余裕なのだ!」


「ならえりと同じ高校入るのは難しそうだな~」


「ゆう君はやれば出来るんだから今から頑張って勉強しようよ!」


「え~?う~ん。じゃあ頑張ってみるか」


「やった!一緒に高校行こうね!今誓ったからね!」


「わかってるよ」



 私がこんなことを言わなければゆう君と別れることはなかったのかな。



「そういえばえりの誕生日って6月の18日だったよな」


「うん、そうだけど?」


「ちょっと早いけど誕生日プレゼント」


 ゆう君は袋から十字架のネックレスを出した。


「い、いいの⁉」


「もちろん。えりに似合うと思ってな」


 私はそのネックレスを受け取って首に掛けた。


「ありがとう!一生大切にする!そう誓うよ!」


「そんなに喜んで貰えて俺も嬉しいよ」


 ゆう君から貰った十字架のネックレスは今までの誕生日プレゼントの中で一番嬉しかった。


 その後ホテルに戻り翌日学校に着いて家に帰った。




 今でもそのネックレスを見ると楽しかったあの日々を思い出す。


 ゆう君とルイナちゃんが戦っているところを見ながら昔を思い出していると隣にミラス団長が来た。


「ここにいたんだね。そろそろ温泉に入るよ」


『はーい』


 二人ともミラス団長の声に気づいて戦いをやめた。


 明日は魔王の幹部との戦いなのに私はなに考えてるんだろう。ゆう君とは一度別れたのに。


 私が今好きなのはミラス団長。ゆう君よりミラス団長の方がイケメンだし優しいし強いんだから。


 でも……。


「アルトきゅん!八岐大蛇の時に言うことなんでも聞くやつあと一回あったよな!」


「ちっ、まだ覚えてやがったか。何かあるのか?」


 確か最初のは『抱き合って寝る』にしたってエレイヤちゃんから聞いたな。


「あぁ!温泉、一緒に入ろうぜ!」


「それは無理」


「なんで⁉前のはあっさりとやってくれたじゃねーか!」


「それとこれとは別だ。そういうの以外にしろ。あとえりも何にするか早く考えろよ」


「あっ、うん」


「ん?どうした?」


「なんでもないよ」


 そういえば騎士団殺人鬼を倒す旅の時に山手線ゲームで遊んで私がゆう君になんでも言うこと聞いてくれる権を貰ったんだっけ。


「ほら温泉入って早く寝るぞ」


「私はアルトの彼女なんだし一緒に温泉入ってもいいわよね⁉」


「いいわけねーよ」



 それを使ってゆう君にルイナちゃんと別れてって言ったら別れてくれるかな……。



 な、なに考えてるの私!そんなのゆう君がするはずないしそれをするメリットもないのに。


 水風呂にでも入って頭冷やそう。





 俺は女風呂に引きずり込もうとするルイナとヨミとエレイヤを押しのけて団長と男風呂にやってきた。


「皆さんはもう入ったんですか?」


「うん。最後になってごめんね」


「大丈夫ですよ」


「あと他の団長も来るんだけど、あまり気を張らないようにね」


「他の団長って今このホテルに来てる第一から第五騎士団の団長ですか⁉」


「うん。でも第四騎士団の団長は女性だから第一と第三と第五騎士団の団長だね」


「騎士団の女性の団長ってどれくらいいるんです?」


「エスタル国騎士団団長の中で女性の人はアルト君も知ってる第八騎士団団長のリーザ団長。あと第六騎士団のドロシー団長。そして第四騎士団のノエル団長だよ」


「三人だけなんですね」


「少ないと思ったかい?でも騎士団の団長に女性が選ばれることはあまり多くないんだ」


「そうなんですか。団長ってどうやって選ばれるんです?」


「国王様が騎士団の団員の中からその人がどれだけ貢献したか、戦場において指揮を執れる能力があるか、戦況を即座に判断できるか、仲間を引っ張っていく能力があるかを判断して選ばれるんだ」


「じゃあミラス団長はその力があったんですね」


「まぁね。最初に僕が団長になったと聞いた時はビックリしたな。僕になんて団長が務まるわけがないと思っていたよ」


「ミラス団長はちゃんと団長を務められていると思いますよ?」


「そう言って貰えるとありがたいよ。けどいつかアルト君が団長になる日が来るかもしれないね」


「俺が団長になったら二日で崩壊しますよ。それに魔王を倒せば騎士団なんて不要になるんですから。ミラス団長は団長のままで、俺は団員のままで解散しますよ」


「だといいけどね」


 俺と団長は服を脱いで温泉に入り体を洗いながら話して湯船に浸かった。


「ミラス団長、一つ質問いいですか?」


「なんだい?」


「このエスタル国以外の国は魔王討伐しないんですか?」


「全部の国がこの国に支援してくれてるけど討伐隊は送ってこないよ。なぜかというと他の国にも凶悪な魔物やドラゴンが存在するからだ。この国に人を送っては自分の国を守れないからね」


「魔物の根源は魔王じゃないんですか?」


「それは違うね。魔物の根源は悪魔だ。悪魔が魔物を生み出して悪魔が魔王を生み出した。だから魔王を倒しても魔物が消え去ることはない。けど魔王が復活してしまえば魔物は活発化する。魔王が復活したら他の国が討伐隊を送ってくるかもしれないね。それも活発になっている魔物から国を守るか、活発化させた根源を絶つか、その国の方針にもよるけどね」


「なるほど。難しい世界ですねー」


「湯に浸かっておるのにそのような気難しいことを考えるでない」


 第一騎士団のマギナ団長が湯船に浸かった。


「す、すみません」


「分かれば良い」


「そういえば足治ったんですね」


 騎士団会議の時は松葉づえを持って眼帯をしていた。


 前に会った時にも治っていたがその時はミカヅキが襲ってきていたのでろくに会話も出来なかった。


「うむ。左目も少しずつ治ってきておる。アルト殿はリーザ団長に折られた腕の調子は大丈夫か?」


「はい。とある人に魔術で治してくれたので結構早く治ってました」


 騎士団殺人鬼のビアンカに治してもらったって言ったら色々言われそうなのでやめておこう。


「それは良かったの。リーザ団長は怖いかもしれんが悪いやつではないので許してやってほしい」


「完全には許してませんがもう気にしてませんよ」


「そうか」


 俺は少し気になっていたことを思い出した。


「マギナ団長。なんであの時ルイナと戦ったんです?」


「……若い白魔導師の腕を見たかっただけじゃ。それよりアルト殿はルイナ殿といつ知り合ったのだ?」


「え~っと去年の7月です」


「意外と最近なんじゃな。それでもう付き合っているとは微笑ましいの」


「ま、まぁ色々とありまして。で、それがどうかしたんですか?」


「なんでもない。二人の恋の進展具合を聞きたかっただけじゃ」


「そうですか。じゃあもう一つ質問してもいいですか?」


「なんじゃ?」


 少し失礼だし違ったら変なやつだと思われそうだけど気になるから踏み込んでみるか。


「ルイナに関して何か隠してますよね」


 それを言った瞬間、マギナ団長とミラス団長の顔が強張った。二人とも沈黙している。


 な、なに?まさか俺禁忌に触れちまった?もしかして『お前は知りすぎた』とか『君のような勘のいいガキは嫌いだよ』とか言われて俺消される?


「温かい湯があるのになんだこの冷たい空気は」


 黒髪と目つきの鋭い黒目と右腕に大きな傷跡を持った男の人がそう言いながら湯船に浸かった。


「あなたは……」


「最近の新人は他の団長もわかんねーのか?」


「彼は第三騎士団のルルフ団長だよ」


「おいミラス。それくらい自分の団員なら教え込んどけ」


「ごめんごめん」


「で、なんの話をしていたんだ?」


 ルルフ団長がそういうとまた沈黙した。


「聞いてんのかよ。おいお前。名前はアルト、で良かったよな」


「は、はい。アルト・アギル・リーヴェです」


「なんの話をしていた?」


「えっと、騎士団がルイナに関してなにか――」


 俺が説明しようとするとマギナ団長が湯船から上がった。


「爺さんもう出るのか?」


「……アルト殿。確かに我らエスタル国騎士団はルイナ殿に隠し事をしている。しかしそれは我らを命がけで救ってくれた者の願い故だ。その願い、その隠している事は決して悪いものではないのだ。もう一つの願いは叶わなかったがな……」


「もう一つの願い?」


「いや、最後のは忘れてくれ」


 マギナ団長は俺の目を見た。


「アルト殿、君はルイナ殿にこれからどんなに厳しい困難に遭っても共に歩むことを誓えるか?」


 俺の目を見るマギナ団長の顔は真剣で何かを試すような表情をしていた。


〔マギナ団長〕


 男 身長 162cm 体重 61kg


【特徴】

・国王様ほどある白い髪と髭としわの多い顔

・白いローブと帽子

・灰色の目。現在は左目に傷を負い視力低下

・蒼く丸い魔石が埋め込まれた杖を使う

・騎士団団長の中で最年長


【性格】

・人の性質を見抜くのが得意

・何事も徹底的にする

・全団長から信頼されている

・植物を育てるのが趣味


【ジョブ】

・光魔導師


【得意属性】

・光


=======

アルト「温泉ではルイナの圧力に負けないでくれて良かったです」

ミラス「さすがにそれは問題だからね」

アルト「次に男女で部屋を決めるときも負けないでくださいね」

ミラス「あの魔物並みの目力に耐えられたらね」

アルト「あいつ相手が団長ってこと忘れてねーか⁉」

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