第八十五話 結ぶ
俺はヨミと二人きりで風呂に入っている。今日は色々とじゃんけんの運が悪い。俺は下半身をタオルで隠しているがヨミは完全裸である。多分子供だから別に問題ないはず。ルイナは機嫌が良いのか特にごちゃごちゃ言われることなく入ることになってしまった。
「アルトお兄ちゃん、どう?幼女の裸は。興奮する?」
「しねーよ。少しは隠そうとしろ」
ヨミは俺の前で両手と両足を開いて立っている。
「お前は恥ずかしくないのかよ」
「恥ずかしいけどアルトお兄ちゃんが喜ぶなら心も身も捧げるよ」
「喜ばないんで早く湯に浸かれ」
ヨミは諦めて俺の隣に座って湯に浸かった。
「はぁ~」
「どうしたんだよ。お前がため息をつくなんで珍しいな」
「アルトお兄ちゃんって酷いよね」
「なんで⁉」
「こんなにアピールして振り向かせようとしてるのに冷たいんだもん」
ヨミは頬を膨らませる。
「そ、そんなこと言ってもお前のアピールの仕方悪いし、俺は子供に恋はしねーよ」
「私が子供だからダメなの?」
「ま、まぁそれ以上にルイナがいるからな」
「つまり私が大人になってルイナお姉ちゃんを超えればいいんだね。わかった!私早く大人になってルイナお姉ちゃんより背もおっぱいも魔力量も大きくする!そうしたら私と結婚してくれるよね」
「な、なんでそうなるんだよ」
「ふふっ、楽しみにしててね」
ヨミは俺の腕に抱き着いた。あ~あ、これはもうダメだな。諦めて将来他の良い男と結婚することを願おう。
「あんまり聞きたくないんだけどヨミは親に会ってみたいとは思わないのか?」
「……ちょっとは会いたい。けどお母さんとお父さんは私のこと嫌いだから」
「そうか」
ヨミの戸籍どうしようかな。俺のは色々と理由付けているが一応ヨミには戸籍があるはず。捨てられたからルイナのとこに養子になった、っていうのも違うか。そもそも捨て子を連れて来て良かったのか?もしかしたら誘拐罪になったりして。
でもゲームやら漫画やら小説では捨て子を拾って育てるっていうのもあるし、そういう時は自分の子供だとか隠し子だとか誤魔化してるからルイナの親の子ってことでルイナの妹にするか?
ルイナの親は騎士団で強くて忙しかったって言ってたから隠し子って言っても色々理由付けて誤魔化せるような気がする。よく考えるとクズみたいな考え事しているような気もしてきた。
あれっ?そういえばルイナの親って強かったんだよな。その割には騎士団でルイナの親の話を聞かないな。ルイナの苗字は第二騎士団の人なら知ってるはず。苗字にあるエイスさんとセレーネさんの名前は一回も聞いたことない。『あの人の娘⁉』っていう反応も見たこともない。
年齢的にマギナ団長はルイナの親は絶対知ってるはず。だからルイナと戦ったのか?マギナ団長とルイナと戦ってる時は観客が多かった。それはエイスさんとセレーネさんの娘だからなのか?
う~ん、わからんが何か隠しているような感じがする。あと俺の部屋、元ルイナの親の部屋のベットの下の床下収納にあった『勇者と魔王』の絵本がなぜあるのかルイナに聞いてなかったな。今日聞いてみるか。
この世界に来て不思議なことが多すぎるな。
「大丈夫?難しい顔してるよ?」
「ん、あぁ。ちょっと悩み事がな。そろそろ体洗うぞ」
「アルトお兄ちゃん頭と背中洗って?なんなら全身隅々まで」
「はいはい、頭と背中だけな」
ヨミは椅子に座って俺は石鹸を泡立てて後ろからヨミの髪を洗い始って背中も洗ったあと温まって風呂を出た。
「上がったぞ~」
俺はヨミに足の上に乗せて腕を持って歩いてきた。
「じゃあ私達も入りましょう、えりかちゃん」
「うん!」
ルイナとえりは着替えを持って風呂場に行った。俺はソファーに座りヨミは俺の上に座ってヨミの髪を風魔法で乾かし始めた。
「髪伸びてきたな。今度切りに行くか?」
「ルイナお姉ちゃんを目指すからこのまま伸ばす」
「一応言っておくけどルイナに似せてもヨミはヨミだからな。俺に好きになってもらいたいならヨミだけの魅力を作れよ」
「わかってる。けどもしかしたら髪伸びれば好きになってくれるかもしれないから可能性を試す」
「んじゃ頑張りな~。髪は結ぶのか?」
「とりあえずエレイヤお姉ちゃんみたいにツインテールを試してみたい。ルイナお姉ちゃんが小学生の頃もツインテールだったらしいし」
「なら今ちょっとやってみるか」
「アルトお兄ちゃん結べるの?」
「昔えりの髪が少し長い時に結ばされたからな」
俺はヨミをどかしてルイナの部屋からヘアゴムを取ってきてヨミの髪を結んだ。
「こんな感じかな」
「どう?可愛い?」
ヨミは目の前にピースする。エレイヤほど毛量は多くないが新鮮味があって可愛いと思う。
「可愛いけど今は結ばない方が良いかな」
「後でルイナお姉ちゃんとえりかお姉ちゃんに見せてみる」
「またえりに抱き着かれるぞ」
「その時は守って」
「わかったよ」
しばらくしてルイナとえりが風呂から上がってヨミはツインテの髪を見せた。二人はヨミを褒めてえりが抱き着こうとしたので俺がヨミを持ち上げて守ってあげた。
アルト「やっぱりヨミがじゃんけん勝ったし」
ヨミ「嬉しかったでしょ?」
アルト「嬉しくねーよ。ルイナも止めてくれればよかったのに」
ルイナ「そしたら私も入るって言ってえりかちゃんも寂しいから入るってなるわよ」
アルト「ヨミが勝って嬉しかったよ」




