第八十三話 珈琲
「疲れた。死ぬ。腕が痛い。もうやだ」
次の日になり俺はソファーの上で横になり全ての力を抜いて目を瞑って死にかけていた。
「元気出してアルトお兄ちゃん。ほら飴だよ」
「ありがとう。今日もヨミは良い子だなー」
「ふふっ、ちなみにその飴私が一回舐めたやつだけどね」
「お前やっぱり悪魔だわ」
まぁヨミと関節キスするのはよくあることなのでもう吐き出さないが。
「幼女の舐めた飴だよ?元気出た?」
「出ねーよ」
「じゃあその飴返して」
俺は飴を噛み砕いて飲み込んだ。
「むぅ~、返してっていったのに」
「残念だったなー」
「疲れてるから皿洗い変わってあげたのにヨミちゃんとイチャイチャしないで!」
皿洗いを終わったルイナがソファーの空いてる場所に座った。
「んじゃ」
「え、な、なにっ?ひぁ!」
俺は体を起こしてルイナに抱き着いて押し倒した。ルイナの頭がちょうど肘掛けに乗った。
「皿洗い変わってくれてありがとな」
俺はルイナの耳元で囁いた。
「ひゃい、どういたしましてぇ」
ルイナの顔が赤くなってるのを見て満足した俺は体を起こして外を見た。雪が勢いよく降っている。この調子だと積もりそうだな。
「あ~、私も団長とイチャイチャしたいよー」
えりがヨミに抱き着いた。
「訓練場に行ったらいるんじゃないか?」
「え~、でもみんなと一緒にいたいし」
「どっちかにしろよ」
「じゃあみんなといる~」
「えりかお姉ちゃんちょっと苦しい」
俺は立ち上がって珈琲をドリップ式で淹れ始めた。
「ルイナとえりもいるか?」
「貰うわ」
「私はココアがいいな~」
「私もココア欲しい」
「わかった」
俺は二人分ずつ珈琲とココアを淹れた。
「出来たぞ」
俺は風魔法を使ってコップを浮かしてみんなの前に持って行った。
「ありがとー」
「んんー、美味しい~」
「熱くて飲めない。アルトお兄ちゃんふーふーして」
「風魔法で冷やせ」
「アルトお兄ちゃんの息でして欲しいの!」
「わかったよ」
俺はヨミのココアに息を何度か吹きかけた。
「これでいいか?」
「うん!ありがとう!」
なんでこんな笑顔なんだよ。可愛いからいいけど。
「ねぇ、ゆう君。今日何の日か知ってる?」
「三年のメリシア先輩の誕生日」
「そうかもしれないけどそうじゃない!クリスマスイブでしょ⁉」
「あ~、そういえばそうだったな」
「忘れてたの~?」
「忘れてないこともないけどメリシア先輩の敬意を払っただけ」
「本人いないからイブのほうが大事!」
「お前酷いこと言うな。メリシア先輩だってクリスマスイブと誕生日が被ってプレゼント一つしか貰えないことに怒ってなぜか俺に詠唱魔法3連続で撃ってくるとかいうことがあったからな」
「それよりなんか私にクリスマスプレゼントないの~?」
「あるかどうかと言えばあるよ」
「あるの⁉」
「みんな分あるよ」
「さっすがゆう君。気が利くなぁ~」
「でもクリスマスイブは夜だから夜渡すよ」
「夜が楽しみだな~。にしてもいつ買ったの?」
「前にルイナとえりが買い物行って時にヨミと一緒に他の町に行って買ってきたんだよ」
「だから私からもみんなのプレゼントあるよ。楽しみにしててね」
「そうなんだ。実は私達も買ってきたんだよね~、みんなへのプレゼント」
「そうそう。アルトのためにしっかり選んだんだから」
「へぇ~、じゃあ俺も楽しみにしとくよ」
この世界にもクリスマスもいるしサンタもいるとされているがヨミは現実を知っていたので一緒に買った。
エレイヤはクリスマスイブくらい帰っておけと言って昨日帰らせておいた。エレイヤにもクリスマスプレゼントはあるので今度来た時に渡すことにしよう。
「ルイナお姉ちゃん、もうお菓子食べてもいい?」
「いいわよ」
ルイナは棚の上から箱を氷魔法で飲み込んでそのまま床に移動させて開けた。
「あっ!」
「どうかしたか~?」
俺はルイナの前にある箱の中を見ると空っぽになっている。
「そういえば昨日買って帰ろうと思ってたのに忘れてた」
「あ~、俺が居残りでやってたからなぁ~」
「アルトお兄ちゃん買って来て?」
「なんで俺が」
「お願い」
ヨミはうるうるした目で見てくる。
「はぁ~、わかりましたよ。でもヨミも付いて来いよ?」
「なんで?」
「お前のために買うんだからな」
「お外寒いもん」
「お前、俺とデート出来るならどこでもって言ってたよな。そのくらい勢いなら寒さなんか屁じゃないだろ」
「それは時と場合による」
「ったくしょうがねーなー。じゃあルイナ、えり、じゃんけんだ」
アルト「なんかじゃんけんで誰が負けるかわかるんだけど」
ルイナ「え~?私かもしれないしえりかちゃんかもしれないじゃない」
えり「そうそう。答えがわかるまで希望を捨てちゃダメだよ?」
アルト「そ、そうだな。まだわかんないもんな」




