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第八十一話 朝の空気

 目を開けると見慣れない天井が見えた。ここは城の客室。俺はソファーに寝ておりベットにルイナとヨミとエレイヤとえりとミスリアが寝て、床にシアン先輩が寝ている。

 客室と人数が合わないので出来るだけ人を部屋に入れていた。


 カーテンから少しだけ漏れる太陽の光を見た。


 もう朝か。


 昨日のことを思い出した。ミカヅキに襲われて舞踏会に来ていた研究部員以外の騎士団ほぼ全員が倒された。重症を負った人がいなかったのは良かったものの、たった一人の少女にやられるなんて自信も失い騎士団としてのプライドもずたずたにされたかもしれない。ミカヅキ達の騎士団殺人鬼の目的は騎士団の崩壊なのだろうか。


 そう思いながら部屋を出て庭が見えるバルコニーまで来た。城や地面や結界が直っていた。仕事が早いもんだ。


 俺は深呼吸をして朝の空気を吸った。冬の透き通った空気だ。吐く息が白く見える。


「早起きだね、アルト君」


 ミラス団長がやってきた。


「団長も早いですね」


「自分の力不足を痛感してあんまり眠れなくてね」


「俺は疲れて早く寝たので早く起きちゃいました。お腹のほう大丈夫でしたか?」


「肋骨に少しひびが入っていたけど治してもらったから大丈夫だよ」


「なら良かったです。ミカヅキめっちゃ強かったですね」


「あそこまで強いとは予想だにしなかったよ」


「これからどうなるんでしょう。こんなことになってもみんな騎士団でいてくれますかね?」


「第二騎士団の人はもう抜けることはなさそうだけど他の騎士団の人はどうだろうね」


「そうですよねー。はぁ、不安しかないです」


「アルト君のバリス刀も新しいのを作らないとね。前のはどこで作ってもらったんだい?」


「町で買ったやつですよ」


「町で売ってあるものであそこまで力を出せるなんてアルト君はやっぱり強いね。もう抜かれてそうだよ」


「そんなことないですよ。あの力なしでは団長に勝るものなんて反射神経以外ありません」


「でもあの力を出せるのはアルト君が強いからだと思うよ。普通の人なら出来ないしね。しかもあの力がなかったらミカヅキを退けられなかったよ」


「なんなんでしょうね、この力。ミカヅキでさえ知らなかった感じでしたし」


「いつかわかると信じよう。今はもっと鍛えないとね」


「そうですね」


「そういえばアルト君達は今日学校なんじゃなかったっけ?」


「はい、今日終業式があります。月曜なのにめんどくさいですよ。どうせなら金曜日にやればいいのにって思います」


 本当の予定なら金曜日から冬休みだったのだがこうなったのは俺達が学校で戦ったりパーティーをしたりしたからである。でも全部俺達のせいではなく戦いに来たやつや、旅をしないといけなくさせたやつのせいだ。


「アルト君よ」


「こ、国王様⁉︎」


 いつの間にか後ろに国王様がいた。


「君はこれだけのことがあっても騎士団にいたいと思うか?」


「は、はい。魔王を倒すまでは騎士団にいようと思っております」


「そうか。もしかしたらわしが特別に騎士団に入らせたから脱退しにくいと思ってるのではないかと思ってな」


「そんなことはございません」


「ならば良かった。それと君にプレゼントをしよう」


 国王様は手の平を上に向け、魔法陣を出すとそこからバリス刀が出てきた。


「本当はクリスマスの時に渡したかったのだが刀がないと急な襲撃でも戦えないだろう」


 国王様は刀を俺に差し出した。


「いいんですか⁉」


「もちろん良いとも。前々から強い武器を上げようと思っていたのだが遅れてすまぬな」


「とんでもありません。ありがたく頂戴いたします」


 俺は刀を受け取った。前の刀と同じで目貫が赤く、柄巻が黒い刀だ。朱で染められた鞘から刀を抜いた。銀色の刃から上質な素材を使ったのがわかる。前の刀より少し重いが問題なさそうだ。


 カッコよくて心が躍る。


「ありがとうございます!使わせていただきます!」


「うむ。良い笑顔じゃ。それでは、頑張るのじゃぞ」


 そう言って国王様は一瞬で消えていった。転移魔術か。


「凄いね。国王様直々に物を与えられるなんて」


「国王様には本当に感謝です。ちゃんと俺に合わせて刀を作ってくれていますし」


「刀に見惚れるのはいいけど、もうそろそろご飯を食べて学校を行かないといけないんじゃないかい?」


「そうですね。団長も色々ありがとうございます。これからもよろしくお願いします」


「うん。僕もアルト君に色々助けられてるよ。ありがとう。そしてよろしく」


 俺と団長は握手をして、俺は新しい刀を持って部屋に戻っていった。


「若い子達に負けていられないな、僕も頑張らないと。クレスもあれを制御出来ればいいんだけど」





「不謹慎かもしれませんが私、アルト先輩と一緒に登校出来て嬉しいです」


「そうか?こんなで喜んでもらえるならいつでも一緒に登校するよ」


 俺達は町に戻り、飛んで学校に向かっている。


「ごめんねミスリアちゃん。アルトは私の荷物持ちでもあるからいつでもは無理なのよ。ねぇアルト?」


「そ、そうだな。たまになら」


「ありがとうございますアルト先輩。ルイナ先輩も」


「ヨミはお腹痛くないか?」


「うん。もう痛くないよ」


「えりとエレイヤは火傷してたけど治ったのか?」


「私はバッチリ」


「俺もだ!騎士団のプリーストって凄いな!」


「朝から元気だなー、お前は」


「私の心配は?」


「ルイナは昨日一緒に治療するときに一緒に見てたからもう大丈夫ってわかってるよ」


「だからって少しくらい心配っていうか確認してくれてもいいじゃない」


 ルイナは膨れた顔をする。可愛い。


「じゃあ今度からはもっと気にかけるよ」


 学校に着き、ルイナとミスリアとシアン先輩は教室へ行った。俺とヨミとエレイヤとえりは道場に行ったがヘルサ先生はいなかった。終業式だからだろう。


「さてと、ヘルサ先生はいないし何しようかなー」


「じゃあちょっと的になってよ!」


「またレールガンか?」


「今日は二丁拳銃を使ってみたいから」


 えりはヒップホルスターから拳銃を出した。この拳銃は元の世界にはない銃だ。マグナム弾を使い、オートマチック式である。


「当たったらこえーな~」


「ゆう君なら避けれるでしょ?」


「とりあえずやってみるよ」


 ヨミとエレイヤは端に座り、俺とえりは少し離れて立った。


「いくよ~」


 えりは壁を蹴って飛ぶと別の壁に着地してまた飛んだ。それを繰り返して速度がどんどん上がっていき、えりの姿を捉えることが難しくなった。


 大きな音とともに弾丸が顔に飛んできたが横に傾けて避けた。その後も色んな方向から銃弾が飛んできたが全て避けた。


「まだやるのか~?」


 えりは怒ったのかさっきまで点々と撃っていたが今度は休む暇もなく撃ってきた。


「ちょ、ちょっと早くない?」


「退屈なんでしょ?じゃあ楽しませてあげるよぉ!」


 えりがヘルサ先生と化した。なんとか避けていたが右腕に当たってしまった。


「いってぇ......逆流させてもいい?」


「まぁどうしてもって言うならいいけど?」


「ならしようっと」


 俺は即、炎と闇の合体魔法を逆流させて飲み込んだ。


「プライドないの⁉」


「だって痛いし怖いから」


 体の動きが速くなって銃弾が避けやすくなった。


「ふぅ~!よゆ~」


「こんのぉ~!」


 えりの動きも少し速くなったが近づいてくる銃弾さえ見切れれば意味もない。


「ほ~らほ~ら当ててみろよ~」


 調子に乗っているといつの間にか後ろにえりがいて背中に銃を突きつけられていた。


「銃弾は見切れるのに人はわかんないんだね~?」


 俺は両手を挙げて振り向こうとすると後頭部に銃を突き付けられた。


「調子に乗ってごめんなさいは?」


 こんなことでえりに謝るなんてこればっかりは俺のプライドが許さない。


「そうだえり、今度美味しいお菓子が売ってる店教えてあげるぞ」


「謝ってから聞くよ」


 えりは銃をもっと押し付けた。


「えりの昨日着てたドレス超似合ってたよ?」


「それはどうもありがとう。で、ごめんなさいは?」


「えりも強くなったよな~。雷魔法カッコいいしな~」


「ありがと~。で?」


 クソが。こいつどうしても謝らせたのか。仕方ないな~。


「わかったよ」


「はいどうぞ?」


 俺は謝ると見せかけてえりの後ろに回り、腕を後ろに組ませた。


「なっ⁉ちょっとぉ~!」


「調子に乗ってごめんなさいは?」


「ぐぬぬ。絶対に言わないから!」


「美味しいお菓子の店教えてあげないよ?」


「そ、それくらいで言うもんか!」


 俺は腕を少し上げた。


「痛い痛い!女の子には優しくしろ~!」


「ほら謝らないとずっと痛いままだぞ?」


「くっ。ちょ、調子に乗ってごめ――」


 えりが謝ったと思ったら道場の入り口にヘルサ先生がいた。


「その魔力はっ!」


「ヘ、ヘルサ先生」


 ヘルサ先生は一瞬で俺をえりから離し両腕を掴んだ。


「あの力が制御出来るようになったのか⁉」


「き、気のせいですよ」


 俺はすぐに力を解いた。


「あと腕撃たれて痛いんで離してください」


「いや、今のは絶対に力を扱えていた!これでもっと激しい訓練が出来るな!」


 さらにヘルサ先生の腕を掴む力が強くなる。


「あ、あの、終業式は?」


「あぁ、そうだったな。アルト君も終業式に出て欲しいのだ」


 ヘルサ先生はやっと手を離してくれた。


「俺?なんでですか」


「君も学校の生徒みたいなものだからな」


「先生の話を長々と聞くの面倒ですよ~」


「そうか。君がいると女子の元気が出ると思ったのだがな」


「そのためですか。けどルイナに元気になって欲しいから出ますよ」


「良かった。では5分後に体育館に来てくれ」


「わかりましたー」


 ヘルサ先生は戻っていった。


「あ~あ。せっかくえりをいじめられると思ったのに」


「ふっふっふ。残念だったね~」


「アルトお兄ちゃんってやっぱりSなんだね。勉強になった」


「お前は変なことだけ学ぶよな~」


アルト「けど俺はどっちかと言うとSだな」

ヨミ「えりかお姉ちゃんもSだしルイナお姉ちゃんSだよね」

えり「私はSとかじゃない!ゆう君にだけSになるの!」

ルイナ「私もよ!アルトが生意気だから従えるのが面白いだけ!」

アルト「うわっキモぐはぁ!」

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