表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームに飽きたから異世界に行ってみた。  作者: イル
第一章 異世界生活
8/130

第七話 お別れとあいさつ

 皿を洗いながら窓を見てみると外は真っ暗だった。


「そういえばこの世界にも季節ってあるの?」


 ソファーに寝っ転がって魔法で遊んでるルイナに聞いた。


「あるわよ。今は夏」


 日本と一緒だな。


「あとこの世界って24時間?」


「そうわよー。そこに時計があるでしょ?」


 ルイナが指を指したところにはよくあるデジタル時計がタンスの上にあった。魔力のメーターも表示されている。


 ここは日本のようなところなのかも知れないな。


 全ての皿を洗ったが乾かす場所がない。


「おーいルイナ、これってどうすればいいんだ?」


「あ、アルトは魔法まだ使えないもんね」


 そういうとルイナは風魔法で一気に皿を乾かした。


「おー、さっすが」


「アルトも早くこれくらい出来るようになりなさいよ」


「もちろんだよ」


 そうしてそのまま食器棚に戻していった。


「これでオッケーね」


「終わった終わったー」


「お風呂入れるけどどっちが先に入る?」


「俺からのほうがいいじゃない?」


「なんで?」


「だってお前が入った後の風呂入るって」


「あぁー、その点は大丈夫。風呂のお湯入れ替えるから。炎と水魔法を混ぜ合わせればすぐ沸くからね」


「そうか」


「まぁアルトが私の入った残り湯にどうしても入りたい変態さんなら入れ替えないけど~」


「なわけあるか」


「本当かしら?」


「で、どっちが先に入るの?」


「私から入るわ。今日の疲れを早く癒したいし」


「わかった」


 ルイナは風呂場に行き、俺はソファーに座った。



「暇だな」


 暇なときはゲームするか、アニメを見るか、模造刀を持って厨二病妄想をするかしてたからな。こうもなにもすることがないっていうのも久しぶりだな。


「魔法の練習でもしてみるか」


 俺は食器棚からスプーンを取り出し机に置いた。


「えっと、下から風で押す感じ~」


 するとハンカチを浮かせたときのようにスプーンが浮き、また俺の肩くらいまで上げた。


「おっ、できた!」


 そういえば俺の得意属性は炎と闇だったな。炎はまだ慣れてないから室内ではやめておくか。闇は使い方がわからないな。二つとも明日試してみよう。


「とりあえず今は風魔法を練習するか」


 俺はスプーンを遠くにしたり上にやったり、回転させたりした。


 しばらく練習しているとパジャマ姿のルイナが来た。パジャマ姿のルイナもまた可愛い、ような。


「ふぃ~、お風呂あがったわよー。何してるの~?」


「風魔法の練習だよ」


「ふーん、結構できてんじゃない」


「ふっふっふ、俺の才能はすごいだろ」


「普通よ!ふ・つ・う!いいからお風呂入ってきなさいよ!」


「はいはい」


 俺はスプーンを食器棚に戻して部屋から今日買った下着とパジャマを持って風呂場に向かった。



「本当に入れ替えたんだろうな」


 そんな疑問を持ちながらも風呂に浸かった。


「ふぅ~」


 少し熱いが気持ちいい。今日の疲れがとれる。


 ネットを見ていただけで異世界に行くなんてな。というかあっちの世界は今どうなっているんだろう。元の世界に帰れるのか?そう思うがこの世界も結構楽しい。厨二病の俺には魔法も剣も使えるなんて夢みたいだ。


「魔法剣士、か」


 そう言って俺は体を洗い流しもう一度風呂に浸かって体を温めて出た。そして下着とパジャマを着てリビングに戻った。


「おかえり~」


「お~う」


 ただ風呂に入っただけだけど。


「湯加減どうだった?」


「いい感じだったよ」


「そう。ならこれを飲むわよ」


「ん?なにこれ、ジュース?って酒⁉」


「そうよ」


「でも未成年は飲んじゃいけないんじゃ?」


「大丈夫よ、未成年でも飲めるお酒だから。ちなみに16歳からだけど」


 確かに『16歳以上』と書いてある。


「なら飲んでみるけど」


「うんうん!」


「あとこれって酔うの?」


 聞くのが遅かったのかルイナは缶をあけ、ぐびぐび飲んでいた。


「っは~、ん?らにぃ~?」


「お、お前まさか、酔ったのか⁉」


「みゃーしゅこしらけね~」


 完全に酔ってやがる。酒の詳細を見てみるとアルコール3%と書いてある。



「お前お酒弱いんだな」


「んにゃわけにゃいでしょぉ~」


 今めっちゃ酔ってるぞ。


「まぁいいや、俺も飲んでみよ」


 缶をあけ一口飲んでみると


「んっ!おいしい」


「そーでしょそーでしょ」



 それから俺は2缶を少しずつ飲んでいったが、ルイナは一人で一気に6缶飲んだ。


「すごいなこいつ、こんなに飲んで吐かないって」


「私くらいににゃればこぉのくらいらくしぉー……」


 そういうと缶を握ったまま寝てしまった。


「ちょ、おい」


 体を揺さぶっても起きない。仕方ないベットまで運ぶか。


「おーい、ベットまでおぶって運ぶから背中に乗ってくれ」


 すると無言で俺の背中に乗った。少しだけ起きてるようだ。


「よっこいしょ」


 俺はルイナをおんぶしてベットまで歩いた。


「重たいな」


 本人が聞いたら怒りそうだが、今はそれどころじゃない。ルイナの豊満な胸が背中に当たっているのがわかる。


「くっ、恥ずかしいことをさせるな!」


 俺は急ぎ足でルイナの部屋のベットで寝かせた。


「まだまだ飲めるぅ~……」


「こんな恥ずかしい思いをしたってのにこいつは」


 俺はルイナのおでこにデコピンをした。本当は殴りたかったけど。


「今日はこのくらいで許してやるよ」


 俺はルイナに毛布を被せた。


 リビングに戻ると机の上に酒の缶が散らばっていた。それをゴミ箱にいれ、電気を切って自分の部屋のベットに横になった。


「おやすみ」


 それは元の世界のお別れと新しい世界へのあいさつの気持ちがこもっていた。

〔16歳お酒〕


・その名のとうり16歳以上から飲める酒

・アルコール度数は5%以下になっている

・大人になってもこれを飲み続ける人もいる

・普通の酒が飲めない人でもこれは飲めるらしい。ただし他の人からバカにされることが多い


=======

ルイナ「アルトぉ~~」

アルト「そんなに飲んで大丈夫か?」

ルイナ「なにがぁ~?」

アルト「はぁ~、こんなに飲むからあんな短気なんだな」

ルイナ「あぁ?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ