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ゲームに飽きたから異世界に行ってみた。  作者: イル
第四章 騎士団殺人鬼
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第六十話 目覚め

 俺が目を覚ましたときはみんなの声と竜車の音が聞こえた。


「ん、んぁ~?」


「アルト⁉目を覚ましたのね!」


 目を開けると目の前にルイナの顔が見える。竜車が止まった。


「ルイ、ナ?」


 俺は眠る前の記憶を鮮明に思い出した。


「ルイナ!お前!」


 起き上がると竜車の中でルイナ、ヨミ、エレイヤ、えり、ガルア、団長、副団長が俺のほうを見ていた。


「い、今どういう状況?」


 状況が全く理解出来なかった。


「安心して。あの魔物はもういないわ」


 そういうとルイナが俺に抱き着いてきた。


「アルト!」


「アルトお兄ちゃん!」


「アルトきゅん!」


「ゆう君!」


「アルト君!」


 ヨミとエレイヤとえりと副団長までもが俺を囲んで抱き着いた。腕が筋肉痛になっていて少し痛い。


「え、えっと一から説明してもらいたいんですけど」


 俺がそういうと皆離れた。


「アルト君が気を失ったあとあの魔物は再生することもなく死にました。そのあとアルト君とルイナちゃんとヨミちゃん、そして団長を町まで運んで治療しました。人質に取られていた子供も私があのダンジョンから見つけました」


「どこにいたんです?」


「エレベーターで2階下の部屋の奥に隠し部屋があってそこにいました」


「あぁ、あの汚い部屋か」


「それにしてもアルト君、強引な方法で魔石を壊したんですね」


「パスワードがわかんなかったのでそうするしかないかと思いまして。それでなんでみんな竜車に?」


「今は次の町へ向かってます。アルト君が中々目覚めないのでとりあえず次の町に行くことになりました」


「な、なるほど。俺どれくらい眠ってたんです?」


「時間で言えば42時間くらいでしょうか?」


「42時間⁉そんなに寝てたんですね」


「はい。みんなずっと心配してたんですよ」


 副団長の説明でやっと状況が掴めた。一日以上寝てたのか。


「アルト君、今回は本当に助かった。ありがとう」


 そういうと団長と副団長は頭を下げた。


「あ、え⁉えっと俺が倒したんでしたよね」


「ええ。アルト君が謎の魔力を纏って魔物を切り刻みました。あれは一体なんなんです?」


「俺もわかりません。けど魔力が俺の飲み込もうとしてたので逆に飲み込んでやろうとしたらああなりました」


「う~ん。あんなの見たことありません」


「まぁまぁ、わからないことは置いておいてアルト君はみんなのこと気になるんじゃないかい?」


「そうだ。ルイナ!ヨミ!大丈夫か?」


「私はバッチリよ。まだ体がヒリヒリするけど」


「私も元気」


「良かった。エレイヤとえりもよくやってくれた」


「にひひー、ちゃんと言うこと二つ聞けよ~」


「私もあとで褒め称えてね~」


「あぁ、お前らが無事で良かった」


 話している間に竜車は動き始めた。


「アルトは体大丈夫?」


「ちょっと痛いけどこれくらい余裕だ」


「もう心配かけすぎなんだから」


 そういうとルイナはまた抱き着いてきた。


「お前が生きていてくれて良かった。一時はもう俺の心が死ぬかと思ったよ」


「アルトの早とちりでしょ。けど私の好きなところ言ってくれて良かったわ」


「はぁ~、変な事しちゃったな~」


「アルトお兄ちゃん、私頑張ったよ」


 ヨミが食い気味に俺にすがりつく。


「よくやってくれた。凄いよ」


 俺はヨミの頭を撫でた。


「ふふっ、頑張った甲斐があった」


 ヨミにもっと魔力があればもっと凄かったけど。


 結局あの力は何だったんだろう。合体魔法の魔力を飲み込むって意味わかんないしな~。副団長でも知らない力も持ってしまったのか?ちょっとカッコいい感じがするけど怖いな。


「おいアルト。お前、魔法は出せるか?」


 ガルアが急に聞いてきた。


「魔法?」


 俺は手の平を上にして水魔法を出そうとしたが出なかった。


「あ、あれ⁉」


「やっぱりか。一時的な魔力回路ショートだ。次の町に着いたら薬を買って飲め」


「わ、わかった」


 なんかガルア意外に物知りなんだなと思った。って魔法が使えないってマジか。魔力封じの結界で不便って感じたのに、また不便にならないといけないのか。


「そういえばお腹減ったんだけど」


「次の町まで我慢しなさい」


「えぇ~、死にそう」


「じゃあネイノス町の人から貰ったジュースでも飲んで空腹を紛らわしなさい」


 そういうとルイナはバスケットの中からペットボトルのリンゴジュースを取り出した。


「まぁいいか。団長、次の町までどれくらいかかるんです?」


「あと2時間半くらいだね」


「2時間半⁉2時間半も空腹から耐えろと⁉」


「む、無理だろうね。だからこの先の町で一旦アルト君に朝ご飯を食べさせよう。何が食べたい?」


「じゃあラーメンで」


「体に悪いわよ」


「野菜が入っていてスープをあんまり飲まなければ大丈夫って昔どっかの書物に書いてあったよ」


 どっかの書物=ネットで調べた。あとラーメンはこっちの世界でも『ラーメン』だった。


「本当かしら?」


「まぁまぁ、アルト君も頑張ったし好きなものを食べさせてあげよう」


 竜車は近くの町へ向かっていった。




「はぁ~、もうお腹いっぱい」


 俺は竜車に座った。


「まさか2杯も食べるなんて。凄い食欲ね」


「それくらい腹減ってたんだよ。ガルアとエレイヤも朝食ってるのによく一杯食べれたな」


「アルトきゅんの食べっぷりを見てるとお腹減っちゃってな!」


「俺はネイノス町の飯が不味くて全然食べれなかったから腹が減ってただけだ」


「アルト君これ飲んでね」


 団長が中に緑色の錠剤が入った小さい瓶を渡してきた。


「これを飲んだら魔力回路が治るんですか?」


「うん。でも二日くらいはかかるかな」


「二日もですか。さすがにこの状態で戦闘をするのは厳しいか~」


「今度こそはアルト君には戦わせないよ。僕が団長としてしっかり戦って見せるさ」


「出来るだけ協力はさせてもらいますよ。治ったらですけど」


 竜車は進み始めて町を出るところで副団長が乗った。


 なんで副団長はいつも町を出るときは町を出るところで竜車に乗るんだろう。何か理由があるんだろうが、なぜだが聞きにくい感じがする。いつか団長にでも聞いてみよう。


 そう思いながら俺は錠剤を1錠飲んだ。


「団長、次の町ってどこの町なんです?」


「次は第五騎士団の団長が襲われたあのアスノ町だよ」


 あのってことは有名なのか?


 俺はルイナのほうを見る。


「アスノ町はこのエスタル国の首都。すっごい都会で私も中学の修学旅行で一回行ったことがあるくらいよ」


 ルイナは耳元で囁いた。


「へぇ~、首都か~」


「今まで行った町なんか比べものにならないくらい都会よ」


「ビアンカからは何か情報は?」


「『何も知らない』って言っていた」


「何も知らないかー。せめて性別と歳くらい教えてほしかったんだけどな~」


「今回は簡単に見つかりそうにないね。言ってなかったけど騎士団殺人鬼の情報がはっきりしてる町から順に来たんだ」


 そういえば俺と団長を襲ったあの子は最後なのか。全然情報がないのだろうか。


「団長は町に着いたらまた聞き込みですか?」


「うん。みんなは遊んでていいからね」


「みんなで聞き込みしたほうがいいと思いますけど」


「大人数で聞き込みしてたら怪しまれるからね。僕一人で十分だよ」


「ならわかりました。町を楽しみながらも周りの人の声も聞くようにします」



 それから2時間ほど竜車は止まることなく進み続けた。


「あっち向いてホイ」


「あっ!も~!」


「お前じゃんけんは強いのにあっち向いてホイは弱いんだな」


「なんでなの~⁉」


 ルイナ達とあっち向いてホイをして遊んでいると急に竜車の揺れがなくなった。


 違和感を感じて前を見てみるとコンクリートと思わしき地面を走っていた。


「もうすぐ着くよ」


「やっとですか。待ちくたびれました、よ。って!」


 団長のほうに近づき、町を見た。そこには高いビル、空を飛ぶ車、映像を映し出している飛行船が見えた。


「な、なんだここ~!」


〔魔力回路ショート〕


・一時的に魔力が出せなくなる

・慣れていないのに一気に魔力を使ったり、無理やり魔力を出そうとするとなる症状

・薬を飲めば三日、飲まなければ二週間くらいで治る。


=======

アルト「はぁ、主人公は死なないって言ってたけどお前が死にそうだったな」

ルイナ「私も死なないわよ。このルイナ様死ぬなんてないわよ。ヒロインも死ぬわけないし」

アルト「は?ルイナが?ヒロイン?え?」

ルイナ「ヒロインでしょ!」

ヨミ「一番のヒロインは私。キラッ☆」

アルト「ほら、ヨミのほうが可愛い」

ルイナ「わ、私だって。キララン☆」

アルト「きm、ぐはぁ」

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