第五話 得意属性
俺たちは会計すませて店の外に出た。
「むぅ~、せっかくの買い物なのに楽しくない」
「なんで?」
「なんででしょうね⁉」
「あははははは」
「笑うなぁ~!」
「痛ててて」
ルイナは俺の耳を引っ張った。だが荷物で両手がふさがった俺はどうすることもできずしりもちをついた。
「あらあら、しりもちついちゃって可愛いわね」
「うるっさいなー」
俺は立ち上がった。
「んで、他に行くところは?」
「もうないけど、なんかいるものとかある?」
「うーん、特にないけど。そういえばさっき聞きたかったんだけど、得意属性ってどうやったらわかるの?」
「その人の得意属性がわかる機械っていうのがあってそれがあるところに行かないとわからないのよ」
「ならそれがあるところに行きたい」
「こっから近いのは役所かな?」
そうして俺たちは役所に行った。
「この機械?」
「そう、ここに手を置いて」
「ほい」
「そして深呼吸してー」
少し時間が経つと
「あ、これで完了ね」
機械の画面に結果が出てきた。
「えーと、アルトの得意属性は、炎と闇!」
「おおぉー!」
俺の理想のような属性だ。
「すごいわよ、二つ得意属性があるって。しかも闇属性なんて」
「闇属性がどうかしたの?」
「得意属性が闇っていうのは結構稀で、闇魔法は使いずらいけどすごい力があるの。光魔法も同等にね。でも闇魔法ってそんなに好まない人が多いの」
「なんで?」
「闇魔法を使う人って悪い人とかが多いの。だから評判が悪くて得意属性が闇っていうのを隠してる人もいるわ」
「そうなのか。普通にカッコよさそうだけどなー」
「すごい運がいいわねー」
そして俺はまたルイナに向かってドヤ顔をした。するとルイナは笑顔で耳を引っ張るジェスチャーをした。
「ごめんなさい」
「わかればいいのよ」
「ん?なら、初めて風魔法を使ってハンカチを浮かせたのは俺が風魔法が得意というわけじゃなかったのか」
「そうなるわね」
「俺の実力?」
「多分そうね」
俺は褒められるとドヤ顔する癖があるのかまたドヤ顔をしてしまった。
「あっ、ごめ—――」
「もう遅いぃ~!」
「痛ってぇ~!」
耳が千切れるかと思った。
〔得意属性〕
・普通より魔力を少なく消費して魔法にできる
・途中で変わったり、増えたりはしないそうだ
・基本は4属性が得意の人が多い
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アルト「炎と闇ってめっちゃカッコいいんだけど~!」
ルイナ「はいは~い。すご~い。カッコいい~」
アルト「この良さがわからないのか⁉」
ルイナ「だって闇ってちょっと怖いじゃない」
アルト「ったくわかってねーな~。闇っていうのはな!光さえも届かぬ暗黒、それは深淵なる深い闇となり(以後省略)」
ルイナ「(喉を凍らせたほうがいいかしら)」