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ゲームに飽きたから異世界に行ってみた。  作者: イル
第四章 騎士団殺人鬼
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第五十七話 肉体強化

 また広い部屋に出た。


「よく来れたねぇ~。ここまでほぼ無傷で来られた人はあんただけなんだよね~、あっはっは~」


 部屋の上の壁のほうでガラス越しに女が椅子に座っている。口調通り、キラキラしたものを沢山付けていて金髪の髪をいじっているいわゆる黒ギャルがいる。


 何が面白くて笑ってんだ。


「んで早くお前をぶっ倒したいんだけど」

「ノリわる~」

「お前のノリに乗ってる場合じゃないんだよ」

「そういえばあんた騎士団なんでしょ?」

「そうだけど何?」

「じゃあ楽しめるかな~?」


 そう言って指を鳴らすと、左の壁にあった檻が壊れた。


 中からライオンの頭と山羊の身体と蛇の尻尾を持った魔物が出てきた。


「えっと、確かキマイラっていう魔物だったっけな。というよりなんか様子がおかしいような」


 血走った目、荒い鼻息とぽたぽたと落ちる唾液。こんな魔物は見たことがない。


「そいつね~、知り合いが魔石で肉体強化してくれたんだ~。最初は抵抗してたけどすっかり堕ちちゃってかなり強化されてると思うよ~。頑張ってぇ~」

「なんてことしてんだ。可哀そうに」


 ってより魔物を心配してる場合じゃねーや。


 キマイラは唾を飛ばしながら叫び、俺に飛び掛かってきた。


「おっと」


 俺は横に転がって避けるとキマイラはすぐ向きを変え再び飛び掛かる。


 これはガチでやったほうがいいな。


「ふッ!」


 俺は右一回転しながらキマイラの横顔を右足の踵で蹴った。キマイラは一瞬で右に吹っ飛んでいき壁にぶつかった。壁はがらがらと崩れていく。


「はぁ⁉今お前何した!」

「そんな驚くことじゃねーだろ?ただ蹴っただけだ」

「蹴っただけであのキマイラをっ!くっそ、立て!キマイラ!」


 キマイラは崩れた瓦礫を掃い立ち上がり再び荒い息をあげる。


「そうだ!あのムカつくガキを食い殺せ!」

「残念だけどみんな俺の帰りを待ってるしお前を倒さないといけないから――」


 俺は一瞬でキマイラの前まで走り顎を蹴り上げた。


「食い殺されるわけにはいかねーんだよ!」


 キマイラは悲鳴をあげ前足は浮き、腹を見せた。


「はぁっ!」


 そこを全力で殴った。


 キマイラは血を吐き、俺の体に血がかかる。だが俺は手を離さずずっと腹を拳で押し続けて、キマイラはジタバタと脚を動かす。


「キマイラ!早く距離をとれ!」

「距離をとりたいならそうしてやるよっ!」


 俺は蛇の尻尾を掴み後ろに投げた。キマイラは地面に叩きつけられてゴロゴロを転がり時々悲鳴を微かにあげる。


「早く立て!汚い獣がぁ!せっかく強化してやったんだぞ!」


 高みの見物をしている黒ギャルさんは喉がガラガラになるほど叫んだ。


「これで終わりだ」


 俺は横たわっているキマイラに向かって走り高くジャンプしてキマイラの腹に拳をぶつけた。


 するとキマイラの腹から大量の血が出てきた。キマイラの体は痙攣し、びくびくと動く。


「もう立ち上がれそうにないけど一応念のためにっと」


 俺は顔を5発ほど殴り、目を潰し顔の骨を折って、尻尾を踏み潰した。


 今気づいたがキマイラの血は少し紫、ピンク色がかっていた。これも肉体強化のせいだろうか。


「あんたガキのくせにはずいぶんと惨いことするじゃん。しかも肉体強化したキマイラ倒すとか笑。ちょっと気に入った」


 そういうとガラスが開いて黒ギャルさんが飛び降りてきた。


「さっきまで叫んでたけど喉は大丈夫か?」

「私の喉の心配するとかちょ~ウケる~。今から死ぬ自分の心配しなよ。あっははは~」

「そういえばドラクのときは聞けなかったけど、お前ら騎士団殺人鬼はなんなんだ?」

「なんであんたに言わなきゃいけないの~?」

「気に入ってくれたなら教えてくれてもいいでしょ?」

「気に入ったけどそれは教えらんないわ~」

「じゃあなんでこの洞窟に一ヵ月に一回強い人を入れようとするんだ?あと人質の女の子はどこだ」

「それは秘密~。で人質の子はちゃ~んといるよ。今は寝てるけど。って聞き逃しそうになったけどドラクのおっさん倒したの?」

「あ~、言いにくいんだけどもうこの世にはいないというかその~」

「え⁉殺したの⁉あっはっは~、ちょ~ウケる~」

「怒ったりしないのか?」

「なんで?むしろありがたいんだけど~。あの変態ジジイちょ~キモかったもん」

「へ~、騎士団殺人鬼の人達はやっぱり面識があるんだな」

「まぁ滅多に会わないけどね。じゃあおしゃべりはここまで~」


 黒ギャルさんは両手を横に広げると後ろにたくさんの魔法陣が現れた。


「あんたが喋ってくれるおかげで準備が整ったよ。この結界内で魔力を使えるのは私だけ。あっはは、私の名前はジェリカ。よろしく、そしてさようなら!」


 俺は身構え、作戦を考えようとしたとき――。


 バンッと何かを突き破る音がすると右の壁にあった檻が壊れて中から何かが勢いよく出てきた。


「なんだ⁉」

「ちょ、なんでお前がッ!」


 それは一瞬でジェリカに飛び掛かって押し倒し、首を食い千切り、そして心臓を食い千切った。魔法陣は消えていった。


 ヤ、ヤバい。こいつは見ただけでわかる。さっきのキマイラとこいつの戦闘力を測ったらもう桁が違うと思う。キマイラと同じ目をしている。


 俺は命の危険を感じ気づかれる前に急いで来た道を戻った。


 俺が部屋を出るときにはそいつ、その魔物はジェリカを3つある顔で食べ、最後には丸飲みした。


 3つずつあった頭と尾からさらに5つも増え、8つの頭と8本の尻尾の魔物が出来上がった。





「ゆう君大丈夫かな~?」


 ゆう君が洞窟に入ってから30分か40分ほど経った。


「やっぱりえりかちゃんも心配なのね」

「そりゃそうだよ!大切な、友達だし」

「ふ~ん。えりかちゃんはアルトのどこを好きになったの?」


 ルイナちゃんは肩を寄せてきた。


「えぇえ⁉それは、その、多分ルイナちゃんと同じような理由だと思うけど」

「本当~?ねぇ、旅が終わったら二人で買い物に行かない?アルトの昔の話も聞きたいし」

「いいよ~。私もゆう君がこの世界に来てからどんな風にしてたのか聞きたい」

「決まりね。楽しみね~」


 急にミラス団長とガルアさんが洞窟のほうを目を見開いて見た。


「こ、これは」

「ちっ、やっぱりか」

「今度はどうしたんです?」


 二人の顔がこわばっている。


「かなり強い魔力を感じる。しかもどんどん強くなってる」

「アルトのやつ、早く逃げやがれ」

「えっ⁉」


 確かに洞窟のほうから何か圧を感じる。と思っていると地面が揺れ始めた。


「わわっ、なにこれ」

「来るぞ」


 ガルアさんがそういうとここから一キロほど離れた山の斜面から何かが勢いよく出てきた。木や岩が吹っ飛んでいる。


「なんだあの魔物は」


 すると今度は洞窟のほうから何かが壊れた音がしたと思うとゆう君が猛スピードで出てきた。


「アルト!」

「みんな!」

「アルト君!一体あれは……」

「あいつ、外に出てきたのか!あの魔物は肉体強化をされ、騎士団殺人鬼を食べてさらに強くなってます」


 魔物は山の斜面を滑っていっている。


「あれがミラス団長が言ってた、人や魔物を食べ、魔力を吸収し自分の魔力にして力にする魔物、なんですか?」


 自分でも声が震えているのがわかる。


「そ、そうだろう。しかしこれはマズいね。このままだと町の人達が食べられてしまう」

「くっそ、どうやったらあいつを止められるんだ」


 ゆう君は頭を悩ませている。


「団長!この結界はどうやったら消えるんですか⁉」

「え、ええと、これだけ大きく高度の結界だと魔石で展開してるはず。だからどこかに大きな魔石があってそれを壊せば結界を消せると思うよ」

「どこにあるかはわかります?」

「多分この洞窟の中だと思う」

「わかりました。俺が壊してきます。だから団長とガルアは時間稼ぎをお願いします!ルイナ達は隠れていてくれ!いつでもあいつを狙えるようにな!」


 そう言い残すとゆう君は再び猛スピードで洞窟に向かっていった。


「アルト君の作戦通りにいこう。行くよ、ガルアさん!」

「おう!」

「私達はもう少し近づきましょう!」


 それぞれがゆう君の言うとおりに行動し、私はルイナちゃんについていった。


〔キマイラ〕


・ライオンの頭と山羊の身体と蛇の尻尾を持つ魔物

・ひっそりとした山に生息している

・縄張りに入らない限りは攻撃はしてこない


=======

アルト「前回の後書きで俺がMだとか言ってただろ」

ルイナ「なんのことかしら?」

アルト「とぼけるんじゃねーよ!俺はMじゃない!そして強い人と戦いたいのは男として当たり前だ!」

ルイナ「へ~?」

アルト「し、信じてないな。ていうかこんなヤバい話のときに変なこと言ってんだよ」

ルイナ「大丈夫よ。主人公は死なないから」

アルト「またそれかよ」

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