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ゲームに飽きたから異世界に行ってみた。  作者: イル
第四章 騎士団殺人鬼
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第五十二話 豪華客船

 エレベーターを使って一番上のデッキに来た。そこには副団長もいる。


「三人とも無事に入れたのね」

「はい、そろそろ離してほしいところですけど」


 えりはスッと俺から離れた。


「お前も離れろ。ここからは別行動だろ」

「わかってるわよ」


 ルイナも俺から離れた。


「あとは団長だけだけど」


 数分経ったが団長は全然来ない。すると船が動き出してしまった。


「ま、まさか団長、乗れなかったんじゃ」

「団長のことだからそうかもしれないわね。でも作戦は続いてます。これから別行動で騎士団殺人鬼を探しましょう」

『わかりました』


 俺達はそれぞれ違うデッキに行った。


 結局乗れたのは俺とルイナとえりと副団長だけか。そしてヨミだが、今はこの船の上空にいる。何か俺達に手に負えないことになったとき、ヨミにこの船を破壊してもらうつもりだ。人だと怪しまやないように、そしてあまり姿を見られないように色んな距離で飛んでいる。



「えっと、このデッキはレストランとかバーとかプールがあるのか。すごいもんだな」


 俺はレストランに来た。女の人がゆったりとしたピアノを弾いている。外の眺めもいい。金持ちっぽい人がたくさんいるな~。


 殺人鬼らしき人は見当たらない。まぁビアンカも見た目だけだと殺人鬼なんて思わなかったし。


 バーに行こうとすると


「ア、アルト、先輩?」


 後ろから聞き覚えのある声がした。振り向くとそこにはミスリアがいた。


「や、やっぱりアルト先輩だ。見間違いじゃなかった」


 酒を飲んでいるのか少し顔が赤い。


「なんでミスリアがここに?」

「それはこっちのセリフです。旅に出るって言ってましたよね?」

「え、えっとそれは……」

「おやおや、アルト君ではないか」

「くそ雑魚、じゃなくてシアン先輩もいらっしゃったんですね」

「なぜここに?君は旅に出ていると聞いたのだが」

「それはですね……」

「ア、アルト君なのか?」


 次は誰だと思ったらまさかのヘルサ先生だった。


「ヘルサ先生⁉なんでここに⁉」

「それはこっちのセリフだ。君は旅に出ているはず」


 話が全く進まないのでミスリア達の個室に来た。


「ミスリアとシアン先輩には詳しくは言えませんが、ここで重要な任務をしているところなんです」

「あのことか」

「はい」


 ヘルサ先生はちゃんとわかっているようだ。


「そうだったんですね」

「君も大変なのだな」

「それで、ミスリアとシアン先輩は金持ちだから招待されたってことなんだろうと思いますけど、ヘルサ先生は?」

「わ、私は」

「私とお兄様が誘ったんです。アルト先輩が旅に出てからヘルサ先生元気なかったものですから」

「お、おい!それを言うな!」

「す、すみません!」

「へぇ~、ヘルサ先生、俺がいなくて寂しかったんですねぇ~」

「そそ、そんなことはない!」

「強がらなくていいんですよ~。久しぶりに息子に会えたんですから」


 俺はヘルサ先生の頭を軽く撫でる。


「息子?」

「なんでもないよ」

「くっ、旅から帰ったらキツく訓練してやるからな!」

「そーですね~」

「こ、このっ!」

「それより、この船で何か変なこととかなかったですか?」


 ヘルサ先生に殴られる前に話を変えた。


「変なことですか」

「怪しいこととか。何かないでしょうか?」

「特にはないと思いますけど。お兄様はなにかありました?」

「ふむ、私も特にはないな。ヘルサ先生は?」

「私もない」

「何か気になったことでもいいんです」

「う~ん。あ、気になることと言えば」

「お、なになに?」

「え、えっと!」


 俺は無意識にミスリアに顔を近づけた。


「このパーティーの主催者さんのパーティーに行くのはこれで5回目なんですが、その主催者さんを見たことがないんです」

「それは怪しいな」

「いや主催者は基本カジノにいるからな。ミスリアはカジノに行ったことがないから見たことがないのだろう」

「そ、そうだったのですね……」


 ミスリアは顔を赤くして俯いた。


 やっぱりビアンカみたいに情報は出回ってないか。


「それじゃ、俺はまた調査を再開します。俺が何か調べてることは内密にお願いします」


 ってこの部屋に盗聴器でもあったら最悪だが。


「わかっている。頑張ってくれ」

「何があろうとこの学校で一番強い私がいれば無敵だ」

「アルト先輩、お気をつけて」

「は~い」


 俺は部屋を出た。


 カジノもあるのか。じゃあちょっと行ってみようかな。


 俺はエレベーターで一番下のデッキのカジノへ降りた。


「うわ~、金持ちとバニーガールがたくさんだな」


 静かに勝負してる人もいれば大笑いしている人もいる。この中に怪しそうな人は……いないか?正直誰が怪しいかわかんねーや。


 全員に攻撃してガードされたやつが騎士団殺人鬼かもしれねーけど攻撃するわけにもいかないか。それか俺の速さについてこれるやつ。


 このカジノを思いっきり走って俺が見えた人は結構な手練れとなるわけだが金持ちでも鍛えてる人はいるかもしれない。まぁやってみるか。


 俺は部屋の端っこから走って約100メートル先の反対側まで来た。ここまで一秒くらいか。


 今ので少し風が吹いて気にしている人もいるが俺が通ったことには気づいていないか。左右を見ながら来たがみんな勝負に集中していた。


「う~ん、ここにはいないか?」


 他のデッキに移動しようとしたとき、俺の隣にあったドアが開いて中から誰か出てくると歓声が沸いた。


「皆さん、今回のパーティーにお越しいただきありがとうございます。ごゆっくりご堪能下さい」


 ドアから出てきた野太い声をしたおっさんが一礼する。今の言動的にこの人が主催者なのか。


「おや、君は見ない顔だね」


 その主催者と思わしき人が俺に気づいた。


「は、はい。お金持ちの友達に一緒に行こうと言われて初めて来たんです」

「そうでしたか。この船には色々あるから見て回ってくださいね。それでは私は一勝負しますかな」


 そう言うとどこかへ言ってしまった。


 あー良かった、招待客じゃないとバレなくて。ヘルサ先生がミスリア達に誘われて乗れるんだったら俺も誘われた風にしよう。


 俺は他のデッキを見て回った。




 一時間後、俺達は再び一番上のデッキに集まった。


「何か情報はありましたか?」

「ありませんでした」

「私もです」

「俺もないです。ってえりは何飲んでんだ」

「ん?メロンソーダだよ。飲む?」

「いらねーよ。なに重要な任務中に呑気に飲んでんだ」

「怪しまれないように楽しんでる感を出してるんだよ」

「やっぱり前回のように簡単に見つかりませんね」

「これからどうします?」

「とりあえずもうすぐお昼ですし、何かご飯を食べましょう」


 俺はミスリア達がいたレストランに来た。メニューには英語の料理名とその写真が載ってある。


「うわ~、高いからこそ美味そうだな~。これが世の理か」

「今のなんかカッコいい」


 前にいるえりの目が輝いている。


「はいはい。で、どれ頼もうかな~」

「私はこのなんとかかんとかステーキとシーザーサラダでいいわ」

「なんとかかんとかって」

「な、長いし私英語得意じゃないからいいでしょ。メニューに指させばわかってくれるわよ」

「じゃあ俺もそれでいい」

「なら私も」

「みんな決まったわね。それじゃ注文しましょうか」


 副団長は店員さんを呼んでオーダーをした。少しすると料理が運ばれてきた。


「わぁ~、いい匂い」


 俺はさっそくナイフとフォークを手に取り、ステーキを切って口に運んだ。


「んん、さすが値段が高いだけあるな」

「ほっぺが落ちそう~」

「幸せ~」

「三人とも、あんまり気を抜いちゃダメよ」

「副団長はなんていう料理を頼んだんでしたっけ?」

「私は『プリンセスラビット』よ」

「プリンセスラビット?」

「アルト君知らないの?プリンセスラビットっていうのはね、兎型の魔物で、すばしっこくて危険察知能力に長けていて捕まえるのに一苦労だけどプリンセスラビットのお肉はとっても美味しいのよ」

「いいな~、副団長は」


ルイナが羨ましそうに見ている。


「ルイナも頼べば良かったんじゃないか?」


 俺がそういうとルイナは耳元で


「魔物の肉は二十歳からじゃないと食べちゃいけないのよ」


 と言った。


 そうなのか。


 プリンセスラビットを食べている副団長はすごく笑顔で幸せそうだ。団長もいたら良かったのに。


〔プリンセスラビット〕


・兎型の魔物

・すばしっこく危険察知能力に長けている

・一般の罠は無意味となる

・捕まえるには相当頭を使わないといけない


=======

ルイナ「これも美味しそう。注文しましょう」

えり「私もこれ頼もう」

副団長「私も食べてみましょ~」

アルト「なんで女子は美味しい物があると次々と注文するんだ。だから太るんだよ」

ル・え・副『はぁ?』

アルト「な、なんでもありません」

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