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ゲームに飽きたから異世界に行ってみた。  作者: イル
第四章 騎士団殺人鬼
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第五十一話 お金持ち

「アルトお兄ちゃん、起きて」

「ん~、あぁ?どーした、ヨミ」


 俺は一緒のベットで寝ていたヨミに揺すぶられて目を覚ました。


「喉乾いた」

「昨日泣いたからだろ。そこの冷蔵庫にお茶があるから勝手に飲んでくれ」

「起きたくない」

「は~、わかったよ」


 俺は起き上がって冷蔵庫からお茶を出して紙コップに注いだ。


「ルイナとえりもいるか?」

「ちょーだい」

「私も」


 やっぱり起きてたか。俺はヨミとルイナとえりにお茶を渡した。皆、座っているがまだ目をつぶっている。


「えり、髪ぼさぼさだぞ」

「ん~?直して~」

「はいはい」


 俺はえりの隣に座って髪を手で直せるだけ直した。


「こことここだけすげーはねてる」


 俺は、はねてるところを手で軽く叩いた。


「ねぇ~私のも直して~」

「お前はほどんどはねてないだろ。エレイヤは、まだ寝てんのか」

「おーいエレイヤちゃーん、朝だよ~」


 えりが呼び掛けてもまだ寝ている。


「俺に任せろ」


 俺は立ち上がってエレイヤのベットの横に行き、俺はこう囁いた。


「ずっと寝てると、襲うよ?」

「うわぁ~はぁ~⁉」


 エレイヤは飛び起きた。


「おはようエレイヤ。どうした?顔が赤いけど」

「はぁ、ふぇ?ちょ、な、えぇ?」


 すごい動揺している。状況が把握できないみたいだな。


「朝だ。着替えてご飯食べるぞ」

「あ、あぁ、そうか」


 俺だけ風呂場に行って着替えた。



「さぁ、一人目の騎士団殺人鬼は倒したから次の町にいくよ」


 俺達は竜車預かり所に来た。


「次はどこの町です?」

「第九騎士団の団長が襲われたリードルード町だよ」

「なんかすごい名前。そういえば副団長はどこです?」

「先に町の出入り口のところにいるよ。早く行こう」


 俺達は竜車に乗って町を出るところで副団長も乗った。なぜあそこにいたのだろうか。まぁいいか。


「そのリードルード町までどのくらいかかります?」

「また一時間くらいかかると思うよ」

「わかりました」

「なぁ、アルトきゅん」

「なんだ?」


 隣にいるエレイヤが小声で話しかけてきた。


「へ、変なこと聞くんだけどさ、朝、襲うとかなんとか言わなかったか?」


 エレイヤは顔を少し赤くしながら聞いてきた。


「なに言ってんだ?夢でも見たんじゃないのか?」

「そ、そうだよな、夢だよな!は~良かった良かった」


 胸をなでおろすエレイヤに俺は耳元でこう言った。


「今度は襲ってあげるよ」

「なっ⁉なななななな」


 エレイヤの顔が真っ赤になった。


「なに話してるのアルト。そんな楽しそうな顔して」

「エレイヤは面白いな~と思ってさ。なぁ?エレイヤ」


 俺はエレイヤの頭を撫でた。


「わ、わた、俺に近づくんじゃね~!」


 エレイヤは俺から離れた。


「竜車から落ちるぞ。ほら座れって」


 俺はエレイヤの手を握って元の位置の座らせた。


「うぐぅ~。お前、後で覚えてろよ」


 エレイヤは俺を睨んだ。


「恥ずかしがってるエレイヤも可愛いよ」

「うわぁ~!」


 さらに耳元で囁くとエレイヤは顔を髪で隠した。


「どうしたのエレイヤちゃん?」

「いや~、エレイヤはルイナと同じ素質を持ってるよ」

「なんの話よ」



 しばらくすると竜車が止まった。


「どうしたんです?」

「忘れていたよ。ここは魔物が出やすい道だということを」


 見てみるとトラの顔の人型の武装をした魔物に囲まれていた。


「タイガーナイトと呼ばれる魔物です。ここは私に任せてください」


 副団長は竜車から降りた。タイガーナイトはトラの鳴き声で威嚇した。副団長は弓を出すと


「レーゲンシュトラール!」


と言うと上に光線の矢を撃つと、矢が分かれてタイガーナイトの脳天に雨のように矢が降り注いだ。


「す、すごい。一瞬で」

「全員排除しました」

「お疲れ様」


 副団長は竜車に乗ると竜車は再び走り出した。


「レーゲンシュトラールってなんですか?」


 俺はさっそく副団長に聞いた。


「ただの技名よ」

「えっと……」


 俺はルイナのほうを見た。


「アルトは詠唱魔法じゃないの?って思ってると思うけど今のは詠唱魔法じゃなくてただの技よ。大げさに言えば必殺技みたいなものね。控えめに言えば小技」

「なるほど。技名は言わないといけないのか?」

「えっ」

「ちょ、ちょっとこっち来なさい」


 俺はルイナに引っ張られて竜車の後ろまで来た。


「な、なんだよ」

「さっきの質問に一応答えるけど詠唱魔法じゃないから声に出せなくてもいいのよ」

「じゃあなんでさっき副団長は」

「だから言い方悪いけどカッコつけたってことよ。良く言えば気合を入れたってこと!」

「あっ……ふ、副団長!さっきの技カッコよかったですよ!」

「そ、そう。ありがとう」


 気まずい空気が流れた。


 少し言ってはいけないこと言ってしまった。カッコよかったのは本当なんだが。


「ルイナも技はあるのか?」

「もちろん。声に出すことはないけど名前はあるわ。例えばこれ」


ルイナは少し竜車から身を乗り出して地面のほうに手のひらを向けた。少し経つと


「アイシクルスキュゥーア!」


 と言った。するとさっきまで走っていた道にギザギザした氷ができた。


「おぉ!」

「こんな感じよ」

「すっごいカッコいいよ!ルイナちゃん!」


 えりは目を輝かせている。


「ありがとう」


 ルイナがそういうと氷は消えていった。


「へ~、技名か。いいな~。俺も今度考えてみよ」

「私も考える!ゆう君、一緒に考えよ」

「旅が終わったらな」

「うん!」


 その後も魔物が出たりしたが難なく倒しリードルード町についた。


「それで、また団長は聞き込みですか?」

「ううん、もうここにいる騎士団殺人鬼の情報は知ってるからね」

「えぇ⁉そうなんですか?」

「うん。あのビアンカが話してくれたからね」

「罠とかじゃないんでしょか」

「罠であっても何かわかるはずだよ」

「それで騎士団殺人鬼がどこにいるかとかわかるんです?」

「今はわかんないけど明日ならね」


 詳しく聞くと明日、この町で金持ちを集めた船上パーティーがあるらしい。そこに騎士団殺人鬼の一人が必ずいるとビアンカから聞いたとのこと。それが本当かわからないがビアンカは騎士団殺人鬼なんてマジでどうでもいいらしい。信じてみることにしよう。


「とりあえず今日は宿に泊まって町を楽しもう」

『はい』


 俺達はこの町の商店街に来た。


「海産物が多いんですね」

「海が近いからね」

「うわ~団長見てくださいあれ。すごい大きい蟹」

「美味しそうだね。でもクレス、はしゃぎすぎてはいけないよ」

「わかってますよ~。あっ!美味しそうな魚!」


 本当にこの二人はカップルみたいだな。副団長も団長といたほうが楽しそうだ。それに対してこの退屈そうにしているガルアったらありゃしない。


「お前はもっとわいわい出来ないのか」

「知らねぇよ。こっちは早く誰かと戦いたくてうずうずしてんだ」

「それは俺だって知らねーよ。戦えるときが来たら相手をぶっつぶしたらいいだろ」

「いつ来るんだ」

「さぁな。戦いは突然に来るから」

「はぁ~」


 深いため息をつきながらもガルアは俺達に付いてきた。




 そして翌日。


「ガルア、お前お留守番だってよ」

「あぁ⁉」

「ごめんガルアさん。今回はお金持ちだけのパーティーだからガルアさんみたいな人だと……その」

「お前は不潔だし見た目怖いからダメだってよ」

「ちっ、団長の命令なら仕方ねぇな」

「ごめんね」

「あ、エレイヤも留守番だからな」

「え~」


 作戦はこうだ。


 まず船に乗るには招待状がいる。しかし俺達は持っていない。だが招待状確認をする受付の人は雰囲気で読み取って招待状を見せなくても入らせることがあるらしい。つまり顔パスならぬ雰囲気パスということだ。


 船に乗れたらその場に溶け込みながら騎士団殺人鬼を探すという作戦だ。こんな簡単に作戦通りにいけばいいが。


「金持ちの雰囲気ってどんな感じだろ」

「やっぱり金持ち特有の余裕感とか、身だしなみとかだろ」


 ということで俺とルイナとえりと団長と副団長はパーティーの格好をした。


 ルイナは白いマキシワンピース、えりは黄色いオーガンジーフレアワンピース、副団長は黒いドットチュールワンピースを着た。みんな良く似合って化粧もして大人の女って感じだ。


 俺と団長は普通にスーツを着た。てかこの世界にもちゃんとファッション重視の服もあったんだな。


「もっと余裕感出してみなさいよ」


 そう言ってルイナに少し胸元を開けられた。


「ただのヤンキーみたいになってない?」

「そんなことないわ。すっごくカッコいいわよ」


 ヨミとエレイヤが頷いた。


「じゃあこれで行ってみるよ」



 そうして俺達は港の近くまで来た。


「おぉ~」


 港には巨大な豪華客船が泊まっていた。


「こ、ここに潜入するのか」

「全員怪しまれずに入れたら一番いいけど」


 陸と船を繋ぐタラップの手前に黒ずくめの受付の人がいる。既に何十人か船の中に入っていっている。武器を持っている人もいるので刀は持っていこう。


「よしいくよ」

「はい」


 まず最初に副団長が行った。コツコツとヒールの音を立たせながら受付のところまで行く。


 すると受付の人は一礼しながら船のほうに『どうぞ』と言うように手を向けた。副団長は何事もなく船に入っていった。


「成功したようだね」

「めっちゃドキドキしたー」

「次は三人同時に行ってみようか」

「えぇ⁉大丈夫なんですか?」

「アルト君の格好は少しチャラい感じだからアルト君にルイナちゃんとえりかちゃんがくっ付いていれば金持ちの息子感があっていいと思うよ」

「た、確かにそんな気がする」

「じゃあ行きましょうアルト!」


 ルイナはすかさず俺の腕を掴んだ。


「行くか~。ほらえり」

「は、恥ずかしいな~」


 えりも俺の腕を掴んだ。


「えりかちゃんもっとギュッと掴まないと!」

「こ、こう?」

「そうそう!」

「アルトお兄ちゃん、ルイナお姉ちゃん、えりかお姉ちゃん、頑張って」

「お前も退屈かもしれないけど頑張れ」


 俺とルイナとえりはそれっぽい話をしながら受付のところまで行った。


 受付の人は副団長よりも早く一礼して船のほうに手を向けた。そのまま船に入っていった。


 多分怪しまれずに入れた。遠目で金持ちの息子ってわかったんだろうな。本当は違うけど。


〔リードルード町〕


・海が近い

・美味しい海産物がある


=======

アルト「てかお前金持ちなのに招待されないのか?」

ルイナ「そんな『私はお金持ちです』なんて公表してないからよ」

アルト「じゃあ公表すればこういうところに普通に行けるのか」

ルイナ「嫌よ!親の金で『お金持ち』なんて言われるのは!私は自分の稼いだ金で『お金持ち』って言われたたいのよ!バーカ!アホ!」

アルト「ちょ、親のこと思い出させたからって八つ当たりするなっ、ぐはぁ!」

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