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ゲームに飽きたから異世界に行ってみた。  作者: イル
第四章 騎士団殺人鬼
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第五十話 始まりの恋

『うっ、さすがアルトの元カノね』


 そういえば私、ゆう君と付き合ってたんだよな~。初めてゆう君と会ったときは小学校だったな。


 小学5年生まで話さないといけない時以外は話すこともなかった。小学5年生の5月の初め、席替えでゆう君と隣になった。




 私の席は、っと。


 帰りの会の前に黒板に張り出された席替え表を背伸びして見てみる。


 窓側の左の列の4番目か。隣は……。


「ゆう君、俺と近いじゃん!」

「うわ~、俺二人と遠いし一番前とかふざけんなよ~」

「近いっても、二個前だけどね。んで隣は、南本さんか」

「おっ、結構いいじゃん」

「俺なんか隣あの水谷だぞ。死んだわ。ゆう君俺と変わってくれよ~」

「運命に逆らうなって」


 ゆう、君か。あんまり話したことないな~。仲良く話せるかな?


 皆、すぐに席替え表の通りに席を移動させた。


 見慣れない景色だから落ち着かないな。


「それではみんな、いい席に座れたか?」

「全然で~す」

「まぁまぁそういうな。じゃあ帰りの会を始めます。日直!」


 帰りの会が終わり、皆、ランドセルを持ってきて教科書などを入れていく。


「えりちゃん、窓側でいいな~」


 私の友達が今さっきロッカーから出した空っぽのランドセルを持って話しかけてきた。


「意外と眩しいからやだよ~」

「でも涼しいでしょ?」

「ちょっとはね」


 ゆう君も友達から話しかけられていた。


「ゆう君、速く帰ってベルギアしよー!」

「わかんないところあるから早く教えて!」

「はいはい」

「お?ゆう君らもベルギアやってるの?」


 私の友達がゆう君達に話しかけた。


「やってるよ」

「へ~、意外と人気なんだ。そういえばえりちゃんもベルギアやってたよね?」

「う、うん。今、ボスが倒せないところ」

「ゆう君に聞けばなんでも教えてくれるぞ!」

「そんなことないけど大体はわかるよ」

「じゃあ俺んちにみんな集まってやろ~!」

「いいね。えりちゃんは?」

「お邪魔じゃないなら」

「よし、そうと決まれば早く帰ってゲーム持ってこい!」

「えりちゃん、また後で」


 ゆう君の友達は走って下駄箱に行った。私の友達もランドセルに教科書などを入れて行ってしまった。


「えっと、南本さん、あいつの家わかる?」

「な、なんとなく」

「そう。じゃあまた後でね」


 ゆう君も小走りで下駄箱へ行った。


 これがゆう君と仲良くなったきっかけだったな。



「ここのボスなんだけど」

「あぁ、ここか。えっと装備見せて」

「はい」

「んーと、これね、効果が重複しないだよ」

「どういうこと?」

「一つ無駄になってるってこと。だからこれを……お、これ持ってるじゃん。これに変えて行ってみて」


「凄い!倒せた!」

「でしょ。んで、この次の敵の技がまためんどくさいんだよね~」


 ゆう君は本当になんでも教えてくれた。お菓子には目もくれず私に教えてくれた。この日だけでゲームがすごく楽に進んだ。アドバイスもしてくれた。ゆう君といると楽しかった。


 それからはゲームの話をするようになって仲良くなった。二ヵ月後には席替えがあってゆう君とは席が少し離れてしまったけど、休憩時間は私のところまで来て話しかけてくれた。



「せっかくの夏休みなのにあいつ風邪だってよ」

「え、じゃあどこで遊ぶ?」

「う~ん、今日遊べるのは俺と南本さんだけか~。俺んち来る?」

「いいの?いっつも家で遊べないって」

「あいつらだと物壊しそうで怖いからさ~。南本さんなら大丈夫でしょ」


「お邪魔しまーす」

「どうぞ入って~」


 ゆう君の部屋は黒色の物と赤色の物が多かった。漫画やゲーム、アニメのDVDや、エアガン、サッカー用品などあった。


「ちょっと汚くてごめんね」

「ううん。ゆう君の部屋、なんかすごいね」

「そう?」

「家族の人は?」

「今はいないよ。昼になったらお兄ちゃんが部活から帰ってくると思うけど。とりあえず座ってゲームしよ。ここにあるゲームでもいいよ」


 ゆう君はどんなゲームでも強かった。そしてやっぱりゆう君といると楽しかった。


「ねぇ~も~、強すぎ~」

「初めてにしてはいいほうだと思うけどね~」

「手加減してよ~」

「え~」

「おねが~いゆう君」

「はぁ~、わかったよ。じゃあ5秒だけ動かないでやるよ。まぁそれでも勝てないと思うけどね~」

「言ったな~!絶対勝ってやるんだから」


 それから夏休みはゆう君の家にほとんど毎日行った。もちろん友達の家にも行くことはあったけどゆう君がサッカーの練習や試合がない日は大体はゆう君の家で遊んだ。

 ゆう君は夏休みの宿題をやろうとしないので一緒に宿題をやってゲームをしていた。




 約2年が経ち、中学生になった。そこで先輩達が付き合っているのを見た。本気で恋をしているのを見た。そのときから恋というものを意識し始めた。


「ねぇ、ゆう君」

「なに?部活遅れるよ?サッカー部の先輩、遅刻とかには厳しいんだからな」

「ゆう君って好きな人とかいるの?」

「な、なんでそんなこと聞くんだ」

「いや、中学になって誰か好きな人でもできたりしたのかな~って。いるの?」

「い、一応」

「え⁉誰々⁉」

「っ!もう行くよ!南本さんも早く美術室いけ」

「あ、待ってよ~」



 そしてさらに一年が経った。


 私は筆箱を忘れたので部活が終わったあと教室に来た。


「机の上に堂々とあるのになんで忘れちゃうのかな~」


 私は自分の机にある筆箱を取った。教室の窓は開いており、オレンジ色の太陽の光が差し込んでいる。


「ん?南本さん?」

「ゆう君?なんでいるの?」


 ゆう君はサッカーの練習着を着てシューズを履いていない状態で教室のドアに前にいた。


「日直なの忘れてて黒板も消してないし窓も締めてないから片付け終わった瞬間に呼び出されたんだよ」

「そうなんだ」

「なんで日直だからってこんなことしないといけないんだろーな~」

「そういう担任に当たったのが悪いんだよ。だから運命に逆らっちゃダメ」

「運命じゃなくてあのくそ教師に逆らいたいよ」


 今、この教室には私とゆう君しかいない。今しかないと思った。


「ゆう君!」

「なに?」

「大事な話なんだけどさ」

「どした?」

「あ、あの、えっと……す、好きです!付き合ってください!」


 この言葉を言った瞬間頭が真っ白になって、恥ずかしさだけが頭を駆け巡った。


「えっ……それ、本気?」

「ほ、本気!」

「えっと、えーっと……俺も好きです。付き合わせていただきます。な、なんかおかしくなっちゃったし」


 そのとき私は嬉しすぎて泣いてしまった。告白が成功したこと。ゆう君も私のことが好きだったこと。とっても嬉しかった。


 そこからは普通のカップルのように過ごして同じ学年の人からは面白おかしくだが色々言われた。そしてゆう君と私は一緒に遊ぶごとにどんどん厨二病になっていった。


 今思えばこんな風に付き合い始めたんだったな――。


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