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第三十六話 図書室

 光がなくなるとやっぱり広いサッカーコートがあり試合をしていた。

 ちょうどFWがシュートを打つところだった。ゴール前でボールを持ってる人がボールを上にあげて、後ろにいる人が飛んでそれを蹴った。ボールは猛スピードでゴールに向かっていったがゴールキーパーがしっかりキャッチした。


「なにあれ超次元サッカーじゃん」

「ホントだ~。すご~い!」

「お、アルト君、体験かい?」


 声のほうを見るとルイナの担任のライア先生がいた。


「はい。ライア先生はサッカーの顧問なんですか?」

「うん。試合に入ってみる?」

「ま、まぁ、手加減していただけるなら」


 先生は笛を吹いて試合を一旦止めた。


「アルト君が入るから少しだけ手加減してやってね」

「よろしくお願いします」

「アルト一点くらい入れてきなさい!」

「アルトお兄ちゃん頑張れ」

「ゆう君中学のときみたいにガツンと強いシュートかましちゃいな!」

「アルトきゅんなら10点くらい入れれるよな!」

「それは無理だ」


 チームの人と話し合ってFWになった。


「人と人の距離が遠すぎる……」


 笛が鳴ってこちらからのボールで試合が始まった。


「みんな手加減してると思うからゴールまで行ってシュートしてみて」


 もう一人のFWの先輩がそういって俺にパスをした。


 言われたとうりドリブルをすると相手は緩い感じで抜かしてくれる。余裕でゴール前に来た。ここまでかなり遠かったが今の俺なら10秒ぐらいでこれた。


「はっ!」


 俺は足に力を込めてシュートを打った。元の世界でのシュートより比べものにならないくらい速い。

 シュートは決まりネットから数秒して地面に落ちた。


「ほんとに超次元サッカーかよ」

「いや待って、普通に上手い」


 相手のキーパーが苦笑しながら言った。周りでは『大丈夫かよ~』と笑いが起きる。


 その後は相手も少しだけ本気を出してきた。自分のゴール手前に来たときは白熱していて、ボールが色んなところに行き、FWなので遠くから見ていたが人もボールも早すぎて今どっちのボールなのかよくわからかった。



「それじゃあまた」

「あ~、終わった~。騎士団訓練より疲れた」

「たった15分くらいだったじゃない」

「模擬魔物レースでもそんなに走らないからな」

「で、また部活体験するの?」

「いや、もう疲れたからいい。どうせ全部速くて強いんだろうし」

「まぁアルトから見るとそうかもね」

「そろそろお昼だしなんか食べようよ!」

「私もお腹空いた」

「俺もちょっとだけ」

「じゃあそうしよう」


 俺たちは校庭でお昼ご飯を買って食べた。



「あぁ~食べた食べた」

「次どこいく?」

「どこがあるかしら。う~ん。あ、図書室いく?」

「図書室?なにかあるのか?」

「普通に本があるだけだけど、アルトって本とか読まないからどうかなって」

「まぁこの世界の昔話とか童話があったら見てみたいし行ってみる」

「じゃあ付いてきて。っていってもまたテレポートだけど」

「そんなに広い図書室なのか?」

「多分広いんじゃないかしら」



 またテレポートの部屋に来てルイナが


『図書室』


 と言った。光に包まれ引くと急に体が軽くなった。見ると体が地面から少し離れている。


「なんだこれ⁉」

「ああ、そっか、言ってなかったわね。図書室は重力が弱いのよ」

「わ~!すご~い!」


 えりが楽しいそうに空中でくるくると回っている。俺もつま先で地面を蹴った。詠唱魔法で浮くよりも体が楽だ。


 ルイナの長い髪がふわふわと揺れている。なんか可愛く見える……のは気のせいか。気のせいだ。


「好きに見てみたら?私もちょっと見たいものがあるから」

「わかった」


 よく見るとこの図書室は見た感じ卵のような形になって一番上からは太陽の光が差し込んでくる。壁には棚がぎっしりで、手すりがある足場もたくさんあり、空中にも一定間隔で棚がある。


「へぇ~、面白そう。見てみるか」

「私たちはここで遊んでる~」

「あんまり大きい声だしたり棚にぶつかったりするなよ」

『は~い』



 俺は色褪せている本があるところに来た。


「なんか面白そうなものは~っと。これは?」


 『魔法とは』というタイトルの本を取り手すりに腰掛けた。


 一通り軽く読んでみたが内容をまとめるとこうだ。


 魔法を魔力でできている。魔力がなぜ魔法になるかは今だ解明していない。

 魔力は人間や生物が持っている。その魔力がなぜ生まれるのかも解明できていない。

 生物が生まれたときから魔力は持っている。生まれたときの魔力量それぞれは違う。稀に生まれたばかりの生物が大人並みの魔力量を持つことがある。魔物ならばそいつが群れを率いることになる親玉となる。人間などの種族がそのような子が生まれることは滅多にない。親の遺伝も関係ないらしい。


「なるほどねぇ~」


 魔法陣の説明もあったがそこだけで数百ページもあるし難しいので読まなかった。


「他には~っと」


 本を戻して他の本を見ていると一つだけ他のより色褪せてボロボロの本を見つけた。


「これに宝の隠し場所があったりして」


 興味本位で手を取ってまた手すりに腰を掛けた。


「ほ、ほとんど文字が消えてなんて書いてあるかわからね~」


 読めるような場所を探していると『魔王』と書かれているページがあった。そこには



『魔王   には    が                             の 15   力                ない 』



 と書いてある。


「15?力?どういうことなんだ?なんとかして全部読めるようにならねーかな~」

「ア~ルト、なに読んでるの?」


 悩んでいるとルイナが抱き着いていた。


「苦しいから離れろ。この本もっと読めるように出来ないの?」

「どれどれ~?そんな小汚いもの読んでるの~?」

「こういうのに今後役立つようなものが書いてあるかもしれないからな」

「ふ~ん。でも無理よ。水に塗れたとかならまだしも、時間によってこんな風になったならどうすることも出来ないわ。時を戻すことは魔法だろうと機械だろうと無理よ」

「そうか。仕方ないな」


 俺は本を元の場所に戻した。


「っていつまでくっついてんだ」

「えへへ~。今なら誰もいないからねぇ~」

「なら早くあの三人のところに戻らないとな」

「最近二人っきりの時間ないんだからいいじゃない」

「いつか時間があったら二人っきりにしてやるよ」


 俺とルイナはずっと遊んでいる三人のところに戻って図書室を出た。


〔図書室〕


・重力を弱くする機械がある

・本の数は何万冊もある

・学校の男子が遊んで怒られることが多い

・本の管理は基本的にフィアーナ先生がやっている


=======

アルト「その重力を弱くする機械が故障して学校全体の重力が強くなるとかなったりしそうで怖いな」

ルイナ「なるわけないわよ。あの機械に重力を重くする機能なんて付いてないんだから」

エレイヤ「じゃあ試してみようぜ!おりゃ!」

アルト「あっ」

ルイナ「あっ」

えり「あっ」


ヨミ「こうして重力暴走事件は学校始まって以来の大事件となったがそれはまた別のお話。ちゃんちゃん」

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