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第三十二話 厨二病


「ただいま~」

「よし、ルイナはご飯作って。ヨミも手伝ってな。俺は屋根裏部屋の整理してくる」

「わかったわ」

「私頑張るよ」

「いい子だ。えりは整理手伝うか?」

「もちろん。私の寝るところになるからね」


 皆、手を洗った。このくらいの時期になると水も少し冷たくなってくるな。


 俺とえりは梯子を上り屋根裏部屋に来た。夕焼けの光が窓から差し込んでいる。ここには風魔法が回っているのでほこりが溜まらない。便利なもんだ。


「まずはここにある本を脇に寄せるか」

「おっけー」


 ここにある本は昔ルイナが読んでいた本らしい。分厚い本だな。

 他にはルイナの親の物などが散らかっている。指輪や宝石、古い剣や古い魔導書まである。本当にすごい騎士だったのがよくわかる。ルイナは価値がなさそうな物は捨てたと言っていた。そこまで親が嫌いだったのか。


「そういえばえり、ここに来るとき空から落ちて来ただろ」

「うん。怖かった」

「大気圏に突入したときお前も本能で防御魔法使ったのか?」

「え?私大気圏に入ってないよ?そこまで高いところから落ちてない」

「そ、そうなのか?」

「うん」


 なんで俺のときだけあんな高い場所から?なにか意味があるのか?思えばなんであんないいタイミングでえりが俺たちの上に落ちてきたんだ?

 これは、誰かが仕組んで意図的に俺とえりをこの世界に呼び寄せたのか?そうだとしたらなんで……。

 仕組める人物でいえばルイナが考えられるが、そんなはずがない。と思いたい。いやでも本当にルイナだったら。う~ん……う~ん。


「どうしたの?」

「あ、いやなんでもない」

「ゆう君はどうやってこの世界に来たの?」

「俺は、ゲームに飽き始めていて『異世界に行きたいな』とか言ってたらパソコンに吸い込まれた。で、ここに来た」

「ゲームに飽きたから異世界に行ってみた、と?」

「そんな軽い感じじゃないけどそういうことだな」

「なんでパソコンに吸い込まれたんだろう」

「さぁな~」


 俺たちは整理に集中した。


「ふぃ~、終わった。念のため床を」


 俺は水魔法で丸い水を出し床につけて、指を回してそれを回転させて床を拭いた。そして風魔法と炎魔法を調節して乾かした。


「すごーい。一瞬で床が綺麗になった!」

「だいぶ魔法を使いこなせるそうにはなったな~。そろそろご飯出来たと思うし降りるぞ」

「うん」


 俺とえりは梯子を下りてキッチンに来ると


「ちょうど呼ぼうと思ってたところなの」

「ぴったりだな」


 俺たちは座って合掌をし食べ始めた。


「ん~!美味しい~。これルイナちゃんが作ったんだよね!」

「そうよ」

「すっごく美味しい!」

「ふふ、ありがと」

「私なんか料理出来ないのに。ゆう君が惚れる理由もわかるわ」

「まぁな」

「いや~、照れちゃうな~、えへへ~」

「お前は黙ってろ」


 さっき考えていたことを思い出した。

 ルイナが黒幕ではないこと祈りたい。とか言って結局黒幕でしたなんてことがありそうだし。他に可能性がありそうなのは……俺のときはルイナ以外いなかったと思うしな~。でもルイナの姿を見える前に気絶したから、本当は何人か人いた展開もあらゆるし。う~ん。最近誰かに見られてるような気がしなくもないしな~。


 頭がこんがらがってきた。


 まぁいいや。ルイナを信じよう。って言ってフラグになって――


「アルトどうしたの?ぼーっとして。美味しくなかった?」

「ん、いや美味しいよ。ちょっと考え事をね」

「そう?ならいいけど」


 俺はキリがないので考えるのをやめた。


「美味しかった~。でもごめんね。ただでこんな物食べさせていただいて」

「ううん。いいのよ。お金ならいっぱいあるし」

「えりは奴隷にしないのか~?」

「奴隷⁉」

「失礼ね、お手伝いよ!えりかちゃんはいいの!」

「そういうと思った。まぁ俺もえりに働かせたくないからな」

「私も出来ることがあったら手伝うよ!」

「ありがとう。アルトとは違っていい人ね~」

「おい、俺はちゃんと忠実に手伝いをこなしてるぞ」

「態度が違うのよ」

「俺は執事ではないからな」

「そういうところなのよ」

「執事が欲しいなら雇え」

「アルトはね!この家の執事であり、私の彼氏であり、私の物なのよ!」

「そして私の飼い主」

「二人とも黙れ。食べることに集中しろ」

『は~い』

「ごめんな、えり。仲間外れみたいになって」

「いやいや、こうやって見てるのも楽しいよ」

「じゃあもっと話しましょう!」

「座れ」


 俺は身を乗りだしたルイナにデコピンした。


「いたっ、威力が強いわよ~」

「いいから食べろ」


 俺たちはご飯を食べ終わった。


「お風呂~」

「ゆう君、入ってこないでよ~」

「ああ、絶対に入らねーよ」

「そういうとこも変わってないね」

「ここまで来ると本当に男なのか不安よね」

「俺は健全な高校2年生の男だ」

「まぁいいわ。さぁ入りましょ~」


 ルイナとえりは楽しそうに風呂場に行った。女子だけでなにか話したいのか?ヨミも俺に手を振って風呂場に行った。


「さて、アニメでよくあるような風呂場の声が聞こえてくるとかがないように部屋に行こ~」


 俺はベットに横になった。そこまで眠たくはないが目をつぶった。


 今、元の世界では俺は行方不明になってたのか。ということは元の世界の時間も進んでいる。元の世界に帰れても警察に事情調査をされる毎日な気がするな~。親も心配してるだろうし。でも帰る気はあんまりないんだが。


「これで…あとは……」


 ん?今誰かの声が聞こえたような。

 起き上がって部屋を見ても誰もいない。気のせいか?


 風呂から3人が上がってきた。俺は下着とパジャマを持ってリビングに出た。


「ゆう君このパジャマすごいね!動きやすくてまるで何も着てないみたい」

「ふ~ん」

「女の子のパジャマ姿なんて滅多に見られないんだからよく目に焼き付けておくようにね!」

「残念ながらルイナとヨミのパジャマ姿を毎日見てるから大丈夫だ」

「あ、そっか。ゆう君は幸せ者だな~」

「そうなのかもな~」


 俺は適当に言って風呂場に行った。服を脱ぎ、湯に浸かろうとすると髪の毛が浮いていた。


「この長くて水色と白色の髪は……」


 他にも茶色い髪や真っ白な髪が浮いている。


「あいつ入れ替えるの忘れてるじゃねーかよ」


 俺が替えるか。そろそろ自分で出来そうだし。


 風呂の栓を抜くと結構早く流れていった。


 えっと、水魔法で水を出しながら炎魔法を調整してお湯にするっと。よし出来た。


「湯加減もバッチリだな」


 俺は湯に浸かって体を洗いしばらくして出た。


「おーい。ルイナお前湯入れ替えるの忘れて、って」

「ん~、にゃに~?」

「ルイナお姉ちゃんの酔い度MAX」

「これ美味しいね~」

「飲むの早いな。えりも飲んだのか」


 机には5本酒の缶がある。ルイナとえりが一本ずつ持っている。


「あんまり一気に飲むなよ」

「わかってるって」

「アルトお兄ちゃん、はい」


 ヨミが缶を持って俺の渡した。


「ありがとう」


 俺はヨミの頭を優しく撫でた。


「あ~も~。ヨミちゃんばっかりずるいぃ~」

「お前はこれな」


 俺は机の缶をルイナに渡した。


「ったくもぉ~!」


 ルイナは缶を受け取ると開けてごくごくと飲んだ。


「ルイナちゃんよくそんなに飲めるね」

「これで二日酔いなしだからな」

「そうなの⁉すごいね~」

「こんなものよゆ~よ~」

「騎士団訓練があるんだからあんまり飲むなよ」

「は~い」

「そっか、日曜は訓練があるって言ってたね」

「ああ。でも明日は休んでえりに魔法教えようかな~」

「休んでいいの?」

「高校の行事のときとか、用があるときは休んでもいいって言ってたから」

「へ~、じゃあ教えてよ!」

「そうするか」

「じゃあ今日はもう一本追加していいぃ~?」

「ダメだ」

「ったくケチなんだからぁ~」



 全部飲み終わるとヨミは俺の膝の上で胸にもたれかかって、うとうととしていた。


「ヨミ、もう寝るか?」

「……ぅん」


 ルイナも机で眠ろうとしている。


「えり、ヨミをルイナのベットに寝かしてきてくれ。俺はルイナを運ぶ」

「わかった~。ヨミちゃんいこ~」


 えりはヨミを抱っこして、俺はルイナをおんぶした。


「ア~ル~ト~。ふへ~えへへ~」

「耳を舐めるな、気持ち悪い」

「キスしよーよ~。こっち向いてぇ~」

「しないっての」

「二人はラブラブなんだね」

「いやこいつだけだ」

「……私も、そんなことしたかったな」

「ん?何か言った?」

「ううん!何でもないよ!」

「そうか?」


 俺とえりは二人をベットに寝かして部屋を出た。


「よし、布団敷くの手伝うよ」

「うん」


 屋根裏部屋に上って電気をつけてルイナの家にあった布団を敷いた。


「ちょっと寒いから炎属性の魔力を張っておくな」

「ありがとう……ねぇ少し話そ」

「ん?いいけど」


 俺とえりは布団の上に座った。


「あのさ、中学の時、私ゆう君と別れたじゃん?」

「そう、だな」

「ご、ごめんね。あんな変なことで怒って別れちゃって……」

「いや、謝るのは俺のほうだ。すぐ諦めて、ごめん。でも俺は高校に入って以来、諦めないようにしてきたんだ。えりがいないと寂しくってさ。後悔したよ」

「そうなんだ……私たち、友達くらいまでには戻れないかな?」

「戻りたい。戻ろう、仲がいい友達として」


 俺は手を差し出した。えりは笑顔になって


「うん!」


 そう答えて手を握った。


「はぁ~、よかった~。ぶっちゃけ、えりに会えてすごい嬉しいよ」

「私もすごい嬉しい。異世界でゆう君とまた会えるなんて」

「あと最後質問いい?」

「なに?」

「お前ってまだ厨二病?」


 少しずっと気になっていたことだ。


「ふふ、私にはまだ力が残っている!」

「やっぱりそうなのか」


 こいつは気を許す人には厨二病を全開放するやつだった。


「私に貴様の力を久しぶりに見せてくれないか?」

「え~、恥ずかしいな」


 俺は目をつぶって深呼吸をして開いた。


「実に久しいな、我が友よ。またこうして会えたことに嬉しく思うぞ」


 久しぶりにやるとすっごい恥ずかしい……。


「私もだ。しかし驚きだな。私が見ぬ間にこれほどの力を得ているとは」

「今の我ならばこの世界を黒き炎の世界に染めること可能だ」

「私はその瞬間を、いつか見てみたいものだ……」

「ってもういい⁉」

「うん!楽しいね、厨二病は!」

「ま、まぁな。恥ずかしいから封印してるけど時々出てくるんだよな~」

「私もさすがに人前ではあんまりやらなくなったよ。でもゆう君の前では恥ずかしくもなんともない。本当の自分を出せてる気がする」

「俺もだよ」


 しばらく沈黙が続いた。


「俺もう寝るね」

「う、うん。ありがとう話聞いてくれて」

「当たり前だろ。大事な友達なんだから。じゃ、おやすみ。また明日」

「ふふっ、おやすみなさい」


 俺は降りて自分の部屋に行きベットで眠った。





「はぁ、はぁ、ぐっ!」


 うす暗い夜の町の中、路地裏で血まみれの一人の男は誰かが戦いながら逃げていた。


 マズい。あいつはなんなんだ。強すぎる。もしかしたら魔王の幹部より強いかもしれない。

 と、とりあえず今は逃げることを


「まだ逃がしてあげないよ」

「い、いつの間に」


 その男の前に現れた人間は黒いフードを被っていて顔が見えず、両手には三日月の光の反射で光るナイフがある。


「君はなぜこんなことをするんだ!」

「なぜ、か。僕にもよくわからない。強いて言えば使命だから、かな」

「どういうことだ。それをして一体何に――」

「そろそろ黙ろうか」


 姿が消えたと思うと後ろから腰を刺された。男は倒れた。


「このくらいでいいか。任務達成っと」


 男は揺らぐ視界の中、その人間が屋根に飛んでどこかに消えていくのが見えた。


「早く、クレスに、騎士団に、伝え、ない、と……」


〔南本えりか〕


 17歳 女 6月18日生まれ 身長 166.5cm 体重 秘密


【特徴】

・茶髪のショートヘア

・十字架のネックレス

・ポケットがいくつかある黒いトップス

・黄色と黒の縦線が入ったミニスカ

・黒い長ソックス


【性格】

・厨二病

・勉強が得意

・銃が好き

・いつも楽しそう


【ジョブ】

・銃士


【得意属性】

・闇 雷


=======

アルト「厨二病の言葉を言うのもなんであんなにすらすら出てくるのか自分でもわからないな~」

えり「それは厨二病だからだよ!」

アルト「そうですね~」

えり「適当~!」

ルイナ「その対応って私だけじゃなかったのね。安心した」

アルト「そうですね~」

ヨミ「えりかお姉ちゃんに変な気を起こしちゃダメだよ」

アルト「そうですね~」

ルイナ「アルトが壊れた⁉」

アルト「そうじゃない!」

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