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第三十一話 元カノ


 次の土曜日。


 俺とルイナとヨミは買い物をするために商店街に歩いて向かっている途中だ。


「今日の晩御飯はサラダと(きす)のフライにしましょう。だから私たちはキスをしましょう!」

「……別れようかな」

「ごめんなさい。なんでもないです」

「わかったらならいいけど」

「私、スケッチブックが欲しい」

「ん?絵でも描くのか?」

「うん。クレヨンか色鉛筆も」

「わかった。文房具屋にも寄ろう」


 ヨミも暇な時が多いからな。いいやつを買ってあげよう。


「そういえばアルト、前にシアン先輩と戦ったんだって?」

「あぁ、あのくそ雑魚ナメクジ有毒先輩か」

「なにそのあだ名⁉確かに弱いけど有毒って⁉」

「だってシアンって有毒の気体だし」

「そ、そうだけどシアンブルーとかあるじゃない」

「で、そのシアン先輩がどうかしたの?」

「いやどうもしないけど、最近ずっとお腹さすってたから」

「ちょっと蹴っただけなんだけどな」

「あんまり痛めつけるとなんか言われるわよ。あそこの家お金持ちのところだから」

「無駄にキラキラな剣持ってたな。今度戦うときは手加減するよ」


 いつもと変わらずルイナとつまならい話をしながら空を見上げた。今日は雲一つない晴天だ。


「俺がここに来た時も雲がない晴れ日だったような」


 落ちている時には雲がなかった気がする。


「空を見たら人が落ちてるのが見えたのよね~。懐かしいわ。そうそうあんな感じで……って!」

「あれって!」


 空から女の子のような人が落ちてくるのが見えた。


「と、とりあえず助けよう!」

「そ、そうね」


 かなり気が動転しているが、俺は高く飛んでその子に手を向けて風魔法を撃ち、女の子を落ちる速度が下がって俺はそのままお姫様抱っこで受け止めた。


「よいしょっと」

「私の出番なかったわね。それよりこの人は」

「怪我はなさそうだが気絶して……る」

「どうしたの?」


 俺はこの女の子をよく知っている。顔を見ただけてすぐにわかった。元の世界の服を着て、茶髪の髪に首に十字架のネックレスをかけている。


 この人は……


「なんでもない。まずは家でこの子を寝かそう」

「そうね」

「ヨミ、ごめんけどスケッチブックはまた今度にしてくれないか?」

「いいよ。それよりこの人が優先」

「ああ」


 俺たちは来た道を戻って家に帰った。ルイナのベットに寝かした。




 俺は一人で椅子に座り、ルイナのベットで寝ている女の子を顔を見ている。


 この子は多分だが、元の世界にいた南本(みなもと)えりかという女であり、中学の同期であり、俺の元カノだ。


 まさかこんなところで会うとは夢にも思わなかった。顔も変わってない。

 でもすぐに諦めてしまう俺の性格の理由で別れた人だ。今更どんな顔をしたらいいのかわからない。首にかけている十字架のネックレスは俺があげたやつだ。まだ持っていてくれてたんだな。


「まだ、起きてないの?」


 ヨミが部屋に入ってきた。


「うん」


 ヨミは俺の膝に座った。


「この人なんで空から降って来たんだろうね」

「なんでだろうな」

「……元気ないね」

「そうかもな」


 色々と考えてしまって返す言葉も適当になってしまっている。


「ん、んん?」


 目が覚めたようだ。


「ここは……」


 南本えりかと思われる女は俺のほうを見た。


「ゆう、君?ゆう君!」


 俺の元の世界のニックネームを呼ぶと俺に飛びついていた。ヨミは少し離れた。


「ゆう君!ゆう君だよね!」

「えり、なのか」

「うん!私だよ!覚えてる?」

「もちろん、だけど」


 南本えりか、えりは俺から離れた。


「ご、ごめんね。いきなり飛びついて。これって夢?天国?」

「夢でも天国でもないよ。ちゃんとした現実だ」

「そうなんだ。で、ここどこ」

「多分異世界」

「い、異世界⁉ホントに言ってる、それ」

「本当の本当だ」

「私確か、ダメ元でゆう君に電話しようと思ったら、そうパソコンに吸い込まれた」

「お前もなのか」

「ゆう君行方不明って聞いて心配したんだよ」

「そうだろうな。でもお前、俺のこと嫌いなんじゃ」

「最初はそう思ってた。けど高校入ってどれだけゆう君が心の支えになってたか気づいたの。また会いたいって思って……」

「そう、か」


 異世界で会うとはな。


「アルトお兄ちゃんこの人知ってるの?」

「ああごめん。まぁ詳しくは言えないが一応な」

「この子は?」

「ヨミっていう子」

「すごい、白い髪と紫の目」

「こっちではそんな感じの人ばっかりだよ」

「へ~」


 ルイナが話し声に気づいて入ってきた。


「起きたのね」

「ゆう君この人は?」

「ルイナっていって今住ませてもらってるんだ」

「そうなんだ。こ、こんにちは、南本えりかです」

「こんにちは。ルイナ・エイス・セレーネです。アルトこの人と知り合い?」

「ああ。俺の元の世界の人だ」

「ええ⁉そうなの⁉」

「そうらしい、ですね」


 元カノと今の彼女。危険な感じしかしない。


「それでなんだが、えりもこの家に――」

「寝るところがないわよ」

「だよな。ん~、屋根裏部屋で使えないか?」

「まぁ布団は敷けると思うけど」

「じゃあそこに寝てもらうしかないか」

「あ、ありがとう」

「でもえり、俺たちはもう元の世界には戻れないかもしれないんだ」

「えっ」

「俺はそれでも良かったんだけど、お前は……」

「私はちょっと寂しいけどゆう君が一緒なら、大丈夫」

「そうか。いつかは帰れる方法を見つけるさ」

「うん」

「とりあえず立ち上がれるか?」


 えりはベットから出て立ち上がった。


「これからここに過ごすことになるから、服を買いにいこう」

「わ、わかった。ゆう君カッコいい服着てるね」

「まぁな。ここでのことは行きながら話すよ。ってことでルイナ服屋にいくぞ」

「了解~」



 俺たちは歩いて服屋に向かった。その間にえりに魔法のことやジョブのこと、騎士団のこと、ルイナのこと、ここでの生活のことを話した。ルイナと付き合っていることは話さなかった。


「ゆう君すごいね!その刀も、得意属性が闇と炎っていうのもカッコいい!ルイナちゃんもすごい!ヨミちゃんもすごい!」

「ふふ、ありがとう~」

「私にも得意属性あるのかな?」

「あるだろ」

「ジョブも決めれるんだよね!」

「ああ」

「私は銃士になりたい!」

「ならスタミナをつけたほうがいいわね」

「くぅ~、楽しみ~。ていうか、ゆう君ってゲームの名前で呼ばれてるんだね」

「せっかくの異世界だからな」

「私はゲームでもえりかだからな~」

「お前はそのままでいいだろ」

「ねぇアルト、ちょっといい?」

「ん?」


 俺とルイナは少し後ろに下がって歩くと


「アルトとえりかちゃんってどういう関係?」

「え~っと」


 どうしよう。元カノって言ったほうがいいのか?


「どうなのよ」

「え~っと~……元カノ」

「それって前に言ってた?」

「う、うん」

「なるほどね。なら私と付き合ってるって言ったほうがよくない?」

「そ、そうかもな」


 早く言ったほうがなにかといいと思うし。


 俺はヨミと話しているえりに近づいて


「あのさ、えり」

「なに~?」

「今言うことではないかもしれないけど、俺とルイナ付き合ってるんだ」

「そうなんだ~」

「え、なんか思わないの?」

「ちょっと複雑な気持ちだけど全然気にしないよ~」

「良かった」



 そのまま俺たちは服屋に着いた。


「ここに来るのも久しぶりな気がする~」

「まぁ服屋なんてそうそう行かないもんだし。最初来たときはルイナ怒ってたな~」

「だから怒ってないって!」

「はいはい」

「まったくもう~」

「俺はここにいるから選んできて」

「来ないの?」

「女の服だからな~」

「そういえばそうね。じゃあ3人行きましょう~」

「うん!」


 服選ぶときの女子ってなんであんなにはしゃいでるんだろう。しかも選ぶ時間長いし。

 俺は近くのベンチに座った。


 一時間くらいしてやっとで出てきた。


「じゃじゃ~ん」


 えりはポケットがいくつかある黒いトップスと黄色と黒の縦線が入ったミニスカと黒い長ソックスを着ていた。


「どう?」

「いいと思う」

「やった~」

「アルト達の世界の人は黒が好きなの?」

「別にそういうわけじゃないと思うが」


 こいつはまだ厨二病なのだろうか?


「私も新しいの買ってもらった」


 ヨミの服が変わっていた。白いフリルのブラウスに黒いハイウエストスカートだ。なんか前に友達が見てた童〇を殺す服に似てるな。前に着ていた服はルイナが持っている。


「可愛い?」

「可愛いし似合ってるよ」

「ふふっ、ありがとう」

 ヨミは俺の足に抱き付いた。俺はヨミの頭を撫でた。


「ヨミちゃんてゆう君にすごくなついてるよね~。なんで?」

「子供には優しくしてるからな」

「アルトお兄ちゃんは超優しいから大好き」

「私だってアルトのこと大好きだからね!」

「わかってるって。いちいち張り合わなくていい」

「モテモテだね、ゆう君~」

「恥ずかしいからやめてほしい限りだけどな」

「次はどこにいくの?」

「ん~、じゃあえりの得意属性を調べにいくか」

「やった~!」


 俺たちは役所に向かった。



「手を置いて」

「はい」


 得意属性を調べる機械に手を当ててしばらく経つと結果が出た。


「え~っとえりかちゃんの得意属性は……闇と雷⁉」

「えっ!マジで⁉やった!ってなんかすごいの?」

「得意属性が闇の人も少ないけど雷も少ないんじゃないか?しかも二つ得意属性が二つあることも」

「こんなすごいこと見たことないわ」


 ルイナの開いた口が閉じない。


「やったじゃん、えり」

「うん!なんかわかんないけどやった!」

「羨ましいな~、二人とも二つ得意属性があって」

「ルイナの氷属性もすごいよ。ヨミの星属性もな」

「ゆう君も闇属性が得意だったよね」

「そうだけど?」

「お揃いだね!」

「ま、まぁそうゆうことになるのか、な?」

「一旦ここを出ましょう。大声だして迷惑になってそうだから」

「ああそうだな」


 俺たちは役所を出た。


「ねぇ魔法ってどうやって使うの?」

「えっと、まずは風魔法からがいいか」

「そうね」


 ルイナはハンカチを地面に置いた。


「手を向けて風が下からハンカチを押す感じをイメージするんだよ」

「おっけおっけ」


 えりは手をハンカチに向けた。

 するとハンカチが浮いた。


「おぉ!見て!すごい!浮いてる!」


 大はしゃぎだな。


「俺も最初はこのくらいだったな」

「魔法すごいね!」

「もういいだろ」


 俺は浮いているハンカチを取りルイナに返した。


「ゆう君とルイナちゃんとヨミちゃんの魔法見せて!」

「あー別にいいけど」


 ルイナとヨミをほうを見ると頷いた。


「はぁっ」


 俺は上に手を向けてバランスボールくらいの大きさの闇魔法を出し撃った。


「ほぉっ」


 ルイナはそれに氷魔法を当てて凍らせた。


「やぁっ」


 ヨミは手の前に魔法陣を出し隕石を飛ばしてそれを壊した。


「おぉ~!」

「こんな感じ」


 よくわかんない掛け声も一緒だったが。


「みんなカッコいい魔法!私も早く使いたいな~」

「俺の場合夏休み中だったからルイナに教えられる時間はあったけど、今はそんな時間ないしな~」

「じゃあアルトが教えてあげたら?」

「ええ⁉俺まだ魔法は中途半端だし」

「そんなことないわよ。基本はみっちり教えてあげたんだから大丈夫よ」

「う~ん。じゃあそうするか」

「ゆう君が教えてくれるの?やった~!」

「教えるのはルイナのほうが上手いんだけどな~」

「時々ルイナちゃんに教えてもらお~っと」

「まぁ、今は晩御飯の買い物して帰るか」

「そうね」

「アルトお兄ちゃん、おんぶ」

「はいはい」


〔シアン(くそ雑魚ナメクジ有毒先輩)〕


 18歳 男 8月1日生まれ 身長 172cm 体重 53kg


【特徴】

・黒髪

・水色の目

・金ぴかの剣を持っている

・初期装備のような服


【性格】

・家の自慢が好き

・礼儀正しい。が常識を知らないところがある

・自分が強いと思っている

・頭だけいい


【ジョブ】

・剣士


【得意属性】

・土


=======

ルイナ「ねぇ、えりかちゃんと昔どこまでいったの?」

アルト「え?えっと、別に手を繋いだくらいだし、基本的には家デートが多かったかな?」

ルイナ「よし勝った!」

アルト「なんでそう思うんだよ」

ルイナ「私は一緒に暮らしてるから!」

ヨミ「なら私はルイナお姉ちゃんに勝った」

ルイナ「どうして⁉」

ヨミ「私は一緒に寝た!」

ルイナ「よし、今日はアルトと一緒に寝る!」

ヨミ「私だって!」

アルト「野宿してくる。またな」

ルイナ・ヨミ『ごめんなさい』

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