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第二十九話 衝撃波


「アルトはまたうちの教室で見学するの?」

「う~ん。次は3年生がやるらしいからここで見ていたいんだけど。ヨミ、いいかな?」

「お勉強見てるのつまんないからいいよ」

「ありがとう」

「ただ女の子を見たいだけじゃないでしょうね」

「ちげーよ。剣術のほうを見るから」

「そう。なら4時間目も頑張ってくるね」


 ルイナは友達と手を振って教室に戻っていった。


 俺はヨミと一緒にヘルサ先生のところに行くと


「見学は楽しいか?」

「まぁまぁです」

「そうかそうか。次は3年生の授業だが、見るか?」

「はい」

「わかった。もう少ししたら来るだろう」


 少しすると3年生が出てきた。男子がこちらにぞろぞろと来る。すると一人の男子が先生の前にやってきた。


「お久ぶりです先生」

「ああ」

「また今日からよろしくお願いします」

「ああ」


 なんだろう。先生の対応が適当だ。


「ん?君は確かアルト君、だったかな?」

「あ、はい」

「私は3年のシアンという。よろしく」

「よろしくお願いします」

「ガルアとの戦い、実に見事だったぞ。だが私には到底敵わないな」

「先輩は強いんですか?」

「ふっふっふ、私はこの学校の中で一番強いのだ。しかも学校一番の天才」

「前にルイナが『学校でも1,2位を争うくらい』優等生って言ってましたけど、その争ってる人なんですかね?」

「ルイナ君か。彼女も中々の腕前だが私には敵わん」

「そうなんですか」


 こんなウザい人が学校一強いとか面倒だろうな。


「ふむ、試しに戦ってみるかな?」

「俺はいいですけど」

「やってもいいぞ」


 先生はどこか遠いところを見ながら言った。


「よし、刀を抜くがよい」

「はい」


 ヨミを先生のところにやって、俺は炎属性の魔力を付与した。シアン先輩も剣を抜いた。眩しいほどに金色に輝く剣。すごい金がかかってそうだ。


「ではこちらから行くぞ!」


 先輩は俺に剣を振る。俺は刀でガードする。


「ふん、どうだ。私の攻撃に手も足も出まい」


 いや足だけ後ろにも前にも出ない。足を動かさずに俺はずっと片手で刀を持ってガードしている。


 この人、弱い。いやくそ弱い。


「はっ!とぉ!やぁ!」

「先生、この人」

「学校で一番弱い」

「ですよね」

「喋ってる暇があるか!やぁ!」


 俺は先輩の剣をするりとかわし、横腹を蹴った。先輩は一瞬浮き、地面に転がった。


「ぐはぁ~!はぁ、はぁ、死ぬ~」

「彼は勉強だけは出来るのだが、剣の才能も力も全くない」

「頭だけ使える人ですか」

「ふ、ふむ。君も中々やるようだね」


 先輩は腹を押さえて立ち上がった。


「やっぱり先輩は強いですね!一発与えるのがやっとでしたよ」

「そうだろうそうだろう。また機会があれば戦おうではないか。先生、私は体調が悪いので保健室に行ってきます」

「わかった」

「で、では。いたたたた」


 先輩は腹を押さえたまま保健室に向かった。


「あいつのことは忘れろ」

「はい……」


 チャイムが鳴り先ほどと同じように男子が並び、10分間竹を斬って、二人一組を組んで戦い始めた。


 剣と剣の戦いを見ていると俺の厨二心が疼いてくる。3年生なのでやっぱり上手い人もいる。カッコいいな~。


「アルト君、今のうちに訓練するぞ」

「今ですか⁉まぁいいですけど」


 ヨミを少し遠くにやって授業が終わるまで先生と戦った。俺だけ休憩なしで。


 その後弁当を食べ、5,6時間目は訓練をした。



「今日はこれで終わりだな」

「は~、終わった終わった」

「私は用事があるので職員室に行ってくる」

「わかりました~」

「アルトお兄ちゃんお疲れ様」

「ああ」


 俺は横になりヨミは隣に座った。


「ルイナお姉ちゃん早く終わらないかな」

「そうだな~」


 空を見ると曇っている。昼から少し雲行きが怪しいな。

 ルイナを待っていたそのとき


『おい!誰か出てこい!』


 外から学校全体に伝わるくらいの大きな声が聞こえた。


 これはデジャブなのか。女の声だったが誰が来たんだ?


 渡り廊下に出てみると校門に一人女の子がいた。見た感じ中学生だろうか。

 ボディが大きく赤いエレキギターを持ってヘッドホンを首にかけている。薄い赤桃色の目に、ピンク髪の肩くらいの長さのツインテール、とアホ毛がある子だ。


 また学校の窓には生徒が群がっている。


「ここに氷魔導士と闇属性バリス刀魔法剣士はいないか?」

「あ~、俺とルイナしかいねーよな~」


 俺はヨミを後ろに連れて前に出た。


「その闇属性バリス刀魔法剣士は俺で~す。それで」

「氷魔導士は私」


 ルイナも窓から飛び降りた。


「そーだ、そんな感じの服だったな」


 その女の子の前に俺とルイナは来た。


「で、なんのよう?」

「お前ら二人どっちか俺と戦え!」

『え?』

「いや『え?』じゃなくてお前らどっちか俺と戦え!」

「それはわかってるけどなんで急に俺たちと戦かうんだ?」

「それはだな!お前らが騎士団だからだ!」

『は?』

「いや『は?』じゃなくてお前らが――」

「それはもういい。俺たちが騎士団だったらなんで戦うことになるんだ」

「強そうだからだ!」

「はぁ~……とりあえず俺たちどっちかと戦いたいと」

「そうだ!」

「中学生っぽいけど学校は?」

「サボった!」


 こいつ頭悪そうだし、口悪いし、声デカいし、クズだな。


「じゃあ少し強さを見せてくれない~?」


 ルイナが少しイラつきながら言った。


「仕方ねぇーな~。特別だぞ!」


 腹立つな。


 女の子はエレキギターを弾く準備をした。


「この子もしかして――」

「よっしゃーいくぜ!」


 女の子がエレキギターを弾くとうるさい音が地面に響き、衝撃波のようなものがギターから出てきた。


「なんだこれ!」

「多分この子の得意属性は音」

「マジか!」


 俺とルイナは軽く耳を塞ぎながら話す。ヨミも後ろで耳を塞いでいる。

 しばらく経つと


「ふぅ~、これでいいか?」

「ああ、よくわかった」

「よし戦おうじゃないの」

「ホントか!よっしゃ~!早起きして来た甲斐があったもんだぜ!」

「ルイナ珍しくやる気じゃん」

「だってここでアルトに戦わせたら一年の女子が絶対騒ぐんだから。あと音の力も知りたいしね」

「なるほどな。じゃあルイナに任せるよ」

「ありがとう。それで、あなたなんて言うの?」

「俺か?俺はな!ミノル町のエレイヤ・サウド・ラスクだ!よろしくな!」

「私はルイナ・エイス・セレーネよ。よろしく」


 ルイナとエレイヤは握手をして校庭の真ん中くらいに立った。


「私は忙しいのだがまぁいい」


 今回もヘルサ先生が進行してくれた。


「ルイナ頑張れよ」

「ルイナお姉ちゃん頑張って」

「うん。ねぇアルト、勝ったらなんかご褒美頂戴」

「え~……仕方ない、わかったよ」

「やった!約束だからね!」

「はいはい」


 俺はヨミをお姫様抱っこして上に詠唱魔法で飛んだ。


「これよりルイナ君とエレイヤ君の勝負を始める。二人とも準備はいいか?」


 二人とも手を挙げる。


「よーい」


 ルイナは手を前に向け、エレイヤは弦に手を添えた。


「スタート!」


 開始の合図と同時にヘルサ先生は空に飛び、俺の隣に来た。


「いくぜぇ相棒!」


 エレイヤはエレキギターでテンポの速い曲を鳴らした。


「そんなもの!はぁ!」


 ルイナは少し大きい氷を出して飛ばした。だがエレイヤの周りで砕けた。


「なっ!」

「そんなもの俺には聞かねぇぜ!」


 テンポがまた速くなった。衝撃波も強くなりエレイヤの周りの土が少しへこむ。


「くっ、近づけない」

「オラオラどうしたネエちゃん!そんなもんかぁ!」

「うるっさいわね!」


 ルイナは両手をエレイヤに向けて


「我を怒らす愚か者よ、全てを凍らす絶対零度の氷に飲み込まれ、華やかに散りゆくがよい!」


 さっそく詠唱魔法使うのか。


「零凍氷華!」


 ルイナの両手から撃たれた詠唱魔法は地面を凍らせながらエレイヤに向かっていく。

 エレイヤの周りで勢いは少し止まったが進み続けてる。


「お?中々やるじゃねーか!でもなぁ!」


 エレイヤは弾いたままエレキギターの大きいボディでルイナの詠唱魔法を叩き割った。


「そ、そんなことも出来るの⁉」

「今度はこっちも番だ!」


 そういうと曲が変わりエレイヤの指がどんどん速くなってテンポもどんどん速くなっていく。

 ルイナは何が来るかわからないのでとりあえず氷で周りを囲った。


「む、マズいな。アルト君」

「どうしました?」

「魔力はあるか?」

「多分もう全回復してますけど」

「なら闇魔法で学校の生徒がいる面を覆ってくれ。今すぐ」

「え、俺まだそこまでの調節は」

「早く!」

「わ、わかりました」


 ここまで焦った顔してるヘルサ先生は初めてだな。


 俺はヨミを先生に預けて、十秒ほどで何とか学校の一面を闇属性の魔力で覆って魔法にした。学校の窓にいる生徒は外が急に真っ暗になって騒いでいる。そして何人かが魔法と気づいて皆を落ち着かせているの聞こえる。


「すまないな」


 先生は俺にヨミを返した。


「いえ。でもなんでこんなことを?」

「後で説明する」


 エレイヤのエレキギターが鳴らす音の速さは最高に達した。するとエレイヤの指が止まり一瞬だけ静かになったと思うと、エレイヤはエレキギターを上からじゃららんと鳴らした。


 その瞬間物凄い衝撃波と温かい強風が押し寄せてきた。上にいる俺たちにも届き、俺はヨミを守るように背中を前にした。


「ぐっ、これが音の力かっ」


 砂が舞い、木々は揺れ、ルイナは周りの氷が砕け散り、吹き飛んでコンクリートの壁にぶつかった。


「ルイナ!」


 衝撃波と強風が収まるとエレイヤは腕を下ろした。


「思い知ったか!これが俺の力だぜ!」


〈エレイヤ・サウド・ラスク〉


 14歳 女 5月25日生まれ 身長 156cm 体重 48kg


【特徴】

・ピンクの髪。肩上までのツインデール

・薄い赤桃色の目

・黄色いパーカー

・水色のダメージミニズボン

・黒いブーツ

・ボディが赤く大きいエレキギター

・黒と赤のヘッドホン


【性格】

・強そうなやつととりあえず戦いたい

・大雑把

・音楽を聴くのが趣味

・誰であっても同じ口調


【ジョブ】

・音奏術師


【得意属性】

・音


=======

ルイナ「うわ~、絶妙な終わり方~」

アルト「次回が気になる感じでいいんじゃない?」

ルイナ「そんなことしなくて私は絶対勝つに決まってるんだから」

アルト「それフラグ」

ルイナ「あっ……どっちが勝つかわからないこの戦い!次回はどうなるのかしら!」

アルト「勝ったらまた一緒に酒飲もうな……」

ルイナ「フラグやめてぇ~!!」

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