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第百二十四話 魔術

「アルト君、そんなに怪我して大丈夫ですか?」


「副団長、これくらい大丈夫ですよ。浅いですし、もう慣れましたので」


 魔物の襲撃から6日後、俺は騎士団訓練場で何人かの騎士と戦ったあと休憩所にきて回復してもらおうとしていると副団長に心配された。


「本当ですか?アルト君は最近頑張りすぎですよ」


「自分の体調管理はちゃんとできてますよ。頑張りすぎて体がダメになるなんてことはないです」


「それならいいんですけど」


「副団長こそ大丈夫ですか?他人の心配ばかりで自分の体調管理はできてますか?」


「私は大丈夫です」


「そうだ。今度みんなでどこか行きませんか。団長も一緒に」


「それはいいですね!予定が合えばどこかゆっくりできるところに行きましょう」


 副団長はみんなとどこか出かける約束をして休憩所を出ていった。入れ替わるようにルイナが来た。


「うわっ、アルト傷だらけじゃない」


「そういうルイナだって頬に傷負ってるじゃねーか。ちょっとカッコいいけど可愛い顔に傷が付くのは良くないぞ」


「その攻撃にはもう慣れたわよ。アルトこそカッコいい体に傷が付くのは良くないわよ」


「お気遣いどーも。内心ドキドキしてる癖に慣れたなんてよく言うなぁ」


「それはこっちのセリフでもあるわよ」


 ルイナは俺の心臓に向かってポンポンッと手で2回軽く叩いた。


『ぷっ、あははははっ』


 俺とルイナは笑い合った。


「それより、さっさと回復してもらわないとだな」


「えぇ、そうね」


 俺とルイナはハイプリーストに回復してもらった。


「はぁ~、この一週間はミスリアちゃんの攻撃が凄かったわね~」


「攻撃って言うな。まぁ前よりはアタックが強くなったな。可愛くて嬉しかったけどルイナの目が痛すぎた」


「アルトはミスリアちゃんの攻撃は受け入れ過ぎなのよ。でも今日と明日は会わないと思うしこれで敵に会わなくて済むわね!」


「敵って言うな。どんな人が俺にアタックしてきても最後に選ぶのはルイナなんだからいいだろ?」


「分かってるけど、最後じゃなくてずっと私がいいんですけど~」


「まぁまぁ最後が良ければ全て良しだろ」


「なんでアルトは他のことは分かってこれは分かってくれないのよ~」


「ルイナが俺を理解して多少は許してくれてるからだよ。いつも辛い気持ちにさせてごめんな。あとありがとう」


「ま、まぁ感謝の気持ちがあるならいいわよ」


 ルイナは俺の腕に抱き着いた。ちょろいな。まぁ俺の感謝は本当だが。


 俺とルイナは休憩所を出た。すると、前にミスリアが出てきた。


「げっ、ミスリアちゃん……」


「げっって言うな。よう、ミスリア」


「こんにちは。アルト先輩、ルイナ先輩」


「どうしたんだ?」


「今日はお客様をお連れしました」


 ミスリアの後ろからロビン団長が出てきた。


「ど、どうも、俺っス」


「ロビン団長。俺達に何か用ですか?」


「えっと、前に魔術を教えて欲しいって言われたんで教えに来たんですけど迷惑だったっスかね」


「いえ!迷惑なんかじゃないです!ぜひ教えてもらいたいです!」


「なら良かったっス」


 俺達は周りに人がいないところに来た。


「今日教えるのは基本的な魔法の強化っス」


「よろしくお願いします!」


「アルトはやる気満々ね~。で、ミスリアちゃんも教わるの?」


「はい!魔術は知ってて損はないと思うので!アルト先輩やルイナ先輩のお手伝いも出来ると思いますし!」


「そ、そうね。それはありがたいわね……」


「まずは詠唱を覚えるところからっスね。Strengthen the magic there. これを覚えましょうっス」


 俺達は詠唱の言葉を覚えた。


「次は詠唱しながら手を前に出して魔力を流してみてくださいっス」


 俺は言われた通りに詠唱していくと魔法陣が出来上がっていく。


「おぉ!」


「そこに魔法を撃つと魔法が強化されるっス」


 俺達は魔法を撃ってみた。魔法陣を通ると魔法は少しだけ魔力を増した。


「おおおぉ!」


「うるさいわね」


「今はちょっとしか威力上がらないっスけどこれからさらに頑張ればもっと威力が上がるっスよ」


「はい!頑張ります!」


「わ、私ももっと頑張ります!」


「私だって頑張るわよ」


「三人ともやる気満々っスね。じゃあ次はもう少し強く強化してみますか」


 それから俺達はロビン団長に魔術を教えてもらった。





 私は次に誰と訓練しようかと思って飛んでいた。


 そういえば今日はゆう君とルイナちゃん見ないな。まさか二人だけで抜け出してどこか行ってるのかな……。そりゃ二人は付き合ってるんだもんね、それくらいあってもおかしくないよね。


 ――憎い。


 なんで?憎む理由がない。憎いわけがない。


 私は自分の考えに悩みながら飛び続けてると人がいないところまで来た。戻ろうとして振り返ろうとするとゆう君の姿を見つけた。


「ゆうく――」


 姿を見て私は一瞬喜んだが隣にルイナちゃんとミスリアちゃんを見て笑顔が消えた。


 ロビン団長に魔術を教えてもらってる……。私には何も言わずに、三人だけで……。


 いや、ゆう君はあとで私にも教えてくれるだろうし、教えてもらうかどうかはあの三人の自由だもん。ロビン団長がゆう君に魔術を教えに来て、あの二人が偶々そこにいたんだろう。


 別に私だけが省かれたわけじゃないよね。


「お~い、えり~!」


 ゆう君が私に気づいて呼んでくれた。


 ゆう君は優しい。私が一人でいるといつも声をかけてくれる。



『逃げるの?そうやって無意味無意味って!』



 あぁもう、なんで私あんなこと言ったんだろ。この世界に来るまでずっとずっと寂しかった。けどまた会えて私の心は満たされた。なのにまだ足りないような気持ちはなんなんだろう……。


「えりも魔術教えて貰おうぜ~!」


「う、うん!」


 大丈夫、私は今のままで幸せだ。





「今日はこれくらいっスかね」


「ありがとうございました!」


「意外とアルトは魔術苦手そうだったわね」


「うっ。だって詠唱暗記しないといけないし、魔力の流し方も難しいからさ……」


「アルト君は勉強苦手なタイプなんスね。それに対してルイナさんはセンスが良かったっスね」


「私は簡単でしたね」


「やっぱりルイナは天才だなぁ~」


「私も天才じゃないので難しかったです。はぁ~」


「じゃあアルトのアシストは私にお任せね!」


「ま、まだ私も頑張りますから!」


 ルイナとミスリアは地味に張り合っている。


「えりはどうだった?」


「私も難しかったな~。私には魔力の調整が難しいみたい」


「お前の運動音痴はそこにも影響するみたいだな」


「うぅ~、銃撃つことはすぐ出来たのにそれ以外はめっちゃ努力しないといけないの辛いよ~」


「でも努力したら出来るのを見るとお前も天才だよな~」


「ルイナちゃんには負けるよ」


「そんなことないわよ。元気出してえりかちゃん」


「うん。頑張ってみる」


 そうして俺達は帰ろうとテレポートする場所の手前まで来た。するとミラス団長とヨミとエレイヤがやってきた。


「おぉ!ミスリンがいるじゃねーか!」


「ふふっ、実はお昼頃から来ていました」


「ロビン団長、魔術を教えてくれてたみたいですね。ありがとうございました」


「いえいえ。未来を担う若者のためならこれくらい当たり前っスよ。それより何か用事があってきたんじゃ?」


「そうだ。アルト君達に次に倒す魔王の幹部のことを伝えておこうと思ってね」


「そういえばもう決まってたっスね」


「次に倒すのはテュポーンだ」


「テュポーン、か」


「アルトまた何か知ってるの?」


「テュポーンは腿から上は人間と同じだけど、腿から下は巨大な毒蛇がとぐろを巻いた形をしてて、脚は疲れることがないとか。あと体がめっちゃ大きいとか」


「テュポーンの情報通りだね。流石アルト君」


「弱点とかわかるんスか?」


「ハッキリ言いますけどないです。まずテュポーンはかなり強くて不死の体を持っているので殺すことはできません」


「そ、そんな!じゃあどうすればいいの?」


「封印するしかないな」


「封印か。出来なくはないと思うけど対策しないとだね」


「今回もアルト君達行くんスか?」


「もちろんです!」


「頑張るっスね。みんな心配してるっスよ」


「今日副団長にも言われましたね。でも大丈夫ですよ。体調管理は出来てます」


「なら良いっスけど」


「倒しにいくのは6週間後だ」


 6週間後ってことはもう4月の始まりか。この世界でも桜を見れたりするのかな?


「了解です。またテュポーンについて何か思い出したら話します。ではお先に失礼します」


 そして俺達はミラス団長とロビン団長に手を振って町に帰ったのだった。

ミスリア「今日も楽しかったです!」

ルイナ「そうね~。それで、ミスリアちゃん?毎週来たりしないわよね?」

ミスリア「時間があればお邪魔させていただこうと思います!」

ルイナ「あっ……そう」

アルト「絶望したような、まだ希望あるような顔するな」


=======

3週間ほど休んですみませんでした。イルです。

リアルとゲームのイベントなどが忙しいのと、細かいストーリーが中々思いつかないので小説書けませんでした。


今回はロビン団長に魔術を教わりましたね。次回はどうなるかまだ未定です~。


ではまた来週~。

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