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第百二十一話 興味

 俺達は近くの町に竜車に乗って帰ってきた。脚はルイナに治してもらった。


「今回は誰も死なずに済んで良かった~」


「そうね。もう絶対不安にさせないでね!」


「わかってるよ」


「まぁ誰かさんが怒ってこなければこんなことなかっただろうけど」


 竜車に乗ってる間ルイナはずっとガルアに怒っていて、ヨミはずっと俺の手を握っていた。


「謝ってるんだからもう許してやれよ」


「いやよ!絶対許さないから!」


「ガルアのおかげで俺ら付き合えたってところもあるんだからよ」


「物は言いようね」


「ルイナって嫌いな人はとことん嫌うよな」


「別にいいでしょ、嫌いなんだから。そんなことより今日はアルトとずっと一緒にいたいの」


「それはいいけど、修学旅行から帰った時みたいにずっと俺に触れてるみたいなのはやめろよ」


「えぇ~、いいじゃないの~」


「ダメだ。でも一緒にいたいのは俺も同じだから」


「ん~、やっぱりアルト好き!」


「はいはい。ほら飯食べるぞ」


 俺達はホテルに入って食堂に行き食べ放題なので料理を取って席に座った。すると団長達が俺の前にやってきた。


「団長、お疲れ様でした。どうしたんです?」


「今回はアルト君のおかげでヒュドラーを討伐できました。ありがとうございました」


 ドロシー団長、ゼクア団長、リーザ団長、レオ団長、ロビン団長は頭を下げた。


「えぇ⁉ちょ、ちょっと頭を上げてください!ヒュドラーを倒せたのは俺だけの力じゃありませんので!」


「それでも大きな決定打はあなたの力です」


 周りの騎士も『そうそう!』と言う。


「だから今日は勝利とアルトの貢献を祝って飲むぞ~!」


『おおぉ~!』


「みんな酒を持て!勝利とアルトに!乾杯!」


『乾杯~!』


 ゼクア団長の声で急に宴が始まった。まだ昼なのに大丈夫なのかこの人達は。


 色んな騎士が俺とグラスを合わせにくる。俺が持ってるのはただの水だけど。


「人気者ね」


「まぁ俺の力が強過ぎたからな」


「ウザいわね。なんで私のときだけ自信満々なのよ」


「はははっ。ルイナはちゃんと貢献できたのか?」


「ヒュドラーの動きを止められてたしできたと思うわよ。ヨミちゃんも頑張ったわよね~」


「うん、湖から出る魔物を一掃した」


「おぉ~、よくやったな」


 俺はヨミの頭を撫でると、ヨミは微笑んだ。


「えへへ。もっと撫でて」


「よしよし」


「私も頑張ったから頭撫でて!」


「お前は帰ってからな」


「やった~!」


 ルイナは手を挙げて喜んだ。


「私は、ゆう君が心配で何もできなかったな……」


 えりが申し訳なさそうに肩をすくめる。


「それは悪かったな。次は活躍しようぜ。な?」


「ゆう君。そうだね、次はもっと頑張るよ!」


「それでこそえりだ。けど俺がお前の分も活躍しちゃうけどな」


「ゆう君が活躍する前に私が本気出して倒しちゃうから問題ないもん!」


「だといいな。よし、今日は飲むぞ~!」


 俺達は昼から飲んで宴を楽しんだ。





「う、あぁ。頭痛いしあっつ」


 ヒュドラー討伐から次の日、二日酔いの頭の痛さと一緒に寝ているルイナとヨミ囲まれた暑さのせいで良い目覚めではなかった。


 第八騎士団の女性の方も次々と起き始めている。ルイナはまだ眠っているが暑そうにしている。


 暑がりなんだからくっつくなよな。可愛いけど。


 今日は帰るまで間あるしまだ起こさなくてもいいか。ヨミもえりも寝てるな。汗かいてるし温泉にでも入るか。


 俺は起き上がり、二日酔いと眠気でふらふらしながら男湯に入った。壁に寄りかかりながら服を脱いで腰にバスタオルを巻いて扉を開けた。


 するとそこには、バスタオルを手で持って前だけ隠したリーザさんがいた。


「え?」


「なっ!」


「ご、ごめんなさ――」


 俺が謝り終わる前に顔を真っ赤にしたリーザさんの拳が向かってきた。なんとか手のひらで受けたが俺の体は後ろに飛んで壁にぶつかったのだった。


「わ、わざとじゃ、ないんです。がくっ」



 それから俺とリーザさんは服を着て、温泉の前で俺はリーザさんの前で正座させられた。


「お前は、女湯に入った。それは紛れもない事実だな」


「は、はい……」


「そしてお前は私の裸を見たな」


「はい……」


「そんなに私の体が見たかったのか?」


「違います。むしろリーザさん体ごときに興味ありません」


「あぁ⁉」


 リーザさんに胸ぐらを掴まれた。


「な、なんですか。俺に興味持ってほしかったんですか」


「本当にお前は息をするように煽るな」


「ミカヅキにも言われました。似てるんですかね」


「誰でもそう思うだけだ。あんなやつと一緒にするな」


「すみませんでした。じゃあ俺はもう部屋に帰りますね」


「おい。そんなのでお前が女湯に入ったことは忘れないぞ」


「いやほんとわざとじゃないんです。確かに男湯に入ったはずなんですけど」


 ふとリーザさんの後ろを見ると第八騎士団の女性達が隠れながらニヤニヤしながらこちらを見ていた。絶対あの人達のせいだろ。


「ふんっ。どうだかな」


「俺がこんなことする人だと思いますか?」


「お前もそういう年頃だからな。可能性はある」


「えぇ~。じゃあリーザさんも俺くらいの歳の時はこういうことしたんですか?」


 そういうと更に胸ぐらを強く掴まれた。


「貴様は許してほしいという気が全くないようだな」


「だってわざとじゃないんですから。多分誰かに仕組まれましたよ」


「もういい。ヒュドラー討伐の貢献に免じて許してやる」


「ありがとうございます。頑張った甲斐がありました」


「本当にふざけた人間だなお前は」


「照れます」


「褒めてない!」


 リーザさんは怒りながら部屋に戻っていった。すると第八騎士団の女性がやってきて肩を組まれた。


「どうよ、団長の体良かったっしょ」


「やっぱり皆さんのせいですよね」


「ヒュドラー討伐頑張ったご褒美に急遽団長の裸をプレゼントしようと思ってね」


「俺より酷い性格してますよ」


「そんなこと言わずに~。でも団長の体良かったでしょ。スタイルめっちゃ良いし」


「確かにスタイルは良かった気がします。ルイナには負けますけど」


「フゥー!やっぱり彼女が一番だよね~」


「リーザさんの体は興味ないのでもうしないでくださいねー」


「わかったわ。ごめんね~!」


 第八騎士団の女性達は部屋に戻っていった。やっぱり団員は団長に似て頭おかしい人が多いんダナー。


 あと多分リーザさんの胸、ヘルサ先生よりあったなー。それをヘルサ先生に言ったら怒られそうだなー。


「まぁいいや。今度こそ温泉入るか」


 俺はちゃんと男湯に入った。あーあ、変な目にあったな。おかげで眠気も二日酔いも吹き飛んだけど。


 服を脱いで腰にバスタオルを巻いて扉を開けた。


 するとそこには体にタオルを巻いたドロシー団長がいた。


「えっ⁉」


「きゃー、アルト君のえっちー」


 棒読みで言いながらドロシー団長は体を隠そうとする。


「あ、あのここ男湯なんですけど。まさかあの人達が男湯と女湯を逆にしてる間に入ったんじゃ」


「いえ、ちゃんと男湯と知って入りましたよ」


「じゃあなんで入ったんです⁉」


「アルト君が先ほどリーザ団長の体に興味はないと言っていたので私の体はどうかと思いまして」


「いやドロシー団長でも興味ないですよ。バカなんですか」


「むっ、バカとは心外です。アルト君が喜ぶように体を張ったのに」


「とりあえず汗流したいので出てもらっていいですか」


「どうせなら一緒に入りませんか」


「遠慮します」


「……そうですか。ではアルト君が女湯に入ったことをそこら中に言いまくります」


 この人はほんと寂しがりだな。


「それでも団長ですか……話したいならここじゃなくてもいいんじゃないですか?」


「裸の付き合いというものがあるでしょう」


「はぁ~、そこまで言うなら一緒に入りますよ。でも誰かが入ってきたらどうするんですか?」


「大丈夫です。誰かが入ってきたらテレポートで逃げます」


「こんなことに魔力使わないでください」


 俺は体を洗ってドロシー団長と一緒に湯船に浸かった。


「改めて昨日はありがとうございました」


「いえいえ」


「アルト君はヒュドラーの最初の攻撃で穴に落ちたと聞きましたが大丈夫でしたか?」


「脚を少し怪我しましたけど大丈夫でした。一応帰ったら報告書も書いておきますよ」


 ガルアと喧嘩してたことは書かないでおこう。


「ドロシー団長達の活躍も見たかったんですけどね」


「またいつか見ることができますよ」


「その日を楽しみにしてます」


「そういえばアルト君の周りには女の子がたくさんいますが好きなのはルイナちゃんだけなのですか?」


「そうですけど」


「そうですか……」


「露骨につまらなそうな顔しないでください。それに一人以上の人と付き合ったらダメですよ」


「確かに内緒で付き合ったらただの浮気ですが同意があれば何人と付き合っても良いのですよ。結婚していいのは一人だけですよ」


「そうなんですね。でも付き合うのも結婚するのもルイナだけですよ」


「ふふっ、本当にラブラブなんですね」


「ドロシー団長は好きな人とかいないんですか?」


「今のところいません。しかし――」


 ドロシー団長は俺に寄ってくる。


「強いていえばアルト君、ですかね」


 耳元で囁かれた。


「ドロシー団長、俺じゃなかったらドキドキしてのぼせてますよ」


「遠回しにアルト君はドキドキしてないと言われると傷つきます」


「俺が釣れなかったからって傷つかないでください」


「私だって女の子ですので自分に魅力があるのか気になるものです」


「俺は彼女もいますしちょっと特別だと思うのでもっと普通の人にしてください」


「彼女もいてちょっと特別だからこそ試してみたのですよ。結果は残念でしたが」


「照れたフリでもすれば良かったですね」


「そういうこと言われるともっと傷つきます」


「はははっ」


「アルト君、もしかして性格悪いですね」


「よくわかりましたね。でもドロシー団長はちゃんと魅力ありますので自信持っていいですよ。可愛いですし」


「可愛い、ですか?」


「可愛いですよ」


「アルト君が出会った女性の中で何番目ですか?」


「何番目と言われましても……」


「何番目ですか?」


 ドロシー団長は攻め寄ってくる。タオル1枚だけだからはだけそうで危ないな。


「う~ん、強いて言えば7番目から11番目くらいですかね」


「低いですね……」


「まぁ他に可愛いところを知ってる人は多いので。もっとドロシー団長と仲良くなって可愛いところがさらに見つかれば順位上がりますよ」


「アルト君はストレートに言いますね」


「失礼だと思われたなら申し訳ありません」


「いいえ、正直な気持ちを聞かせてもらったので良かったです。いつか2番目にはなります」


「いや俺の可愛いランキング2位になっても何も変わらないですよ」


「多少は意味があるでしょう。ではもっと仲良くなるために体を寄せ合いましょうか」


「さてと、そろそろ出ますか」


 俺は湯船から上がった。


「アルト君、よくつまらないと言われませんか?」


「どうでしょうね」


「そうですか。私の話の付き合ってくれてありがとうございました。私はお先に」


 ドロシー団長はテレポートでどこかへ消えた。あの人意外とメイ先生みたいな性格なんだな。あの二人を同時に相手したくないな。日常会話でも戦闘でも。

〔ゼクア団長〕


 男 身長 170cm 体重 69kg


【特徴】

・茶髪と茶色の目

・白いシャツに赤いジャケット

・黒いズボン

・うるさい


【性格】

・本気で殴り合うことが好き

・戦うことが好き

・強くなることが好き

・強いやつが好き


=======

もう6月も終わりですね。イルです。

蚊やコバエが飛んで鬱陶しいです。コロナと一緒に消えてほしい…


今回はリーザさんに誤解されたり、ドロシー団長と話したりしました。ドロシー団長の可愛い一面が出たと思います。不思議な人なのは変わらないですが。


ではまた来週~。

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