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第百十九話 暗闇

 目を開けると真っ暗な場所にいた。


「ん、んん?」


 うつ伏せになってる体を起こそうとすると背中に何か乗っているようで重かった。


 これは砂か。そういえば俺は穴に落ちたんだっけな。柔らかい砂のおかげで軽傷で済んだか。ガルアも一緒に落ちたはずだけど。


 俺は炎魔法で手のひらに小さな火を灯した。


「ガルアー!生きてるかー?」


「生きてるに決まってるだろ」


 ガルアが暗闇から出てきた。


「無事で何よりだな」


 皮肉気味に言ってやった。


「チッ」


 ガルアは火を出して歩き出した。


「おい!どこに行くんだよ」


「さぁな」


 こんな状況なのにまだ怒ってるのかよ。仕方ない、ついていくか。


 ガルアについていき、3分ほど経った。視界はずっと変わっていない。


「このまま地上に上がれないってことないよな」


「……」


「なぁ、何か当てがあって歩いてるのか?」


「……」


「なんでお前怒ってるんだよ」


「……」


 何を言ってもガルアは無視をする。


「おい、聞こえてんだろ⁉」


 俺はガルアの腕を掴んだ。するとその腕が俺の方に向かってきたが俺はしゃがんで避けた。


「危ねーな。なんなんだよ!俺に文句でもあるんなら言いやがれ!」


「じゃあ言ってやるよ。失敗を知らないクソガキが。自分なら何でも出来ると思い軽率に魔物と戦ってるやつがこんなところに来るんじゃねーよ!意味の分からない力を手に入れて色んなやつに気に入られ何の苦悩もしてない野郎が!」


「……ガルア」


 俺はガルアの後ろを見る。


「んだよ!言い返すなら目を見て話せ!」


「危ない!」





「全騎士団が戦闘位置に着きました」


「了解しました。リーザ団長!予定通りに!」


「あぁ!」


 リーザ団長は魔法陣から剣を出してヒュドラーに向かって走った。ヒュドラーは魔法を撃つがリーザ団長は全て避けていく。するとヒュドラーは首で薙ぎ払おうとした。リーザ団長は横から向かってくる首を一瞬で斬った。


「はぁっ!」


 しかし斬った首はぐちゅぐちゅと音を立てて再生しようとしていた。


「我が剣よ、悪を滅し炎で敵を殲滅せよ!」


 リーザ団長は詠唱をし、剣に炎が渦巻いていく。


悪滅炎渦(あっきえんか)


 リーザ団長が剣を振ると炎がヒュドラーの首に向かって飛び、首を焼いていく。炎を消えていくと首は焦げて再生できなくなっていた。


「あいつの情報は正しかったようだな。無事だといいが。そんなことを考えてる暇はないな」


「残り8本の首を斬って焼くことを優先!」


『了解!』


「これは……湖から魔物が現れます!」


「魔法を撃ちますか?」


「いえその必要はないようですね」


 上空に星の力を持ちし少女が飛んでいる。その少女の目が赤くなり気迫を出している。


「汚れし魔物ども、無垢なる流星に破壊され、宇宙の塵となれ」


 巨大な魔法陣が空に浮かんだ。


魔破壊(デストリュクシオン)流星(メテオ)


 その魔法陣から巨大な隕石が出てきて湖にぶつかった。湖の水は周りに飛び散り、魔物は湖から上がる前に死んでいった。


「我を怒らす愚か者よ、全てを凍らす絶対零度の氷に飲み込まれ、華やかに散りゆくがよい!」


 後ろから詠唱する声と冷気を感じる。


零凍氷華(れいとうひょうか)!」


 純白の氷姫は凍てつく氷の詠唱魔法を撃ちヒュドラーの足元を凍らせながら体を氷で貫いた。ヒュドラーは悲鳴をあげる。


「お二人とも流石ですね。ヒュドラーの動きが止まっている今のうちです!」





「ぐああっ!」


「お、お前!」


 俺はガルアを突き飛ばすと何かに脚を噛まれた。


「痛ってえな!」


 一心斬絶を抜いて闇魔法の魔力を付与して斬った。何かは下に落ちて倒れた。俺は座って壁にもたれかかった。


「くそっ、いい牙してやがるなこいつ」


「お前、俺を庇ったのか?」


「それ以外にこうする意味ないだろ」


「な、なんでだ」


「なんでってお前は仲間だからだよ」


「俺は、さっきお前に怒ってたんだぞ」


「そうだけどそれとこれとは別だろ。俺が庇わなかったら今の俺より酷い怪我してただろうし」


 俺は自分で最近教えてもらった回復魔法をかけた。けどまだ上手く出来ずに中々回復しない。


「全然回復しないな。お前は回復魔法使えるのか?」


「お前よりかはな。手をどけろ」


 ガルアは俺の脚に回復魔法をかけた。


「まぁお前の言いたいことはわかったよ。前からそう思ってる人は一人や二人いると思ってたし」


「お前は怒らないのか?」


「確かにイラっとしたけどそれくらいで怒るほど俺の器は小さくねーよ」


「そうか……悪かったな」


「なんで謝るんだよ」


「俺は、お前に嫉妬していた」


「それはさっきの聞いてわかってるよ。最初からちゃんと言ってくれればよかったのに。俺も褒められてばっかりだから批判の言葉も欲しかったんだよ」


「お前は思ったより大人だったんだな」


「いやいや、お前の言った通りクソガキだよ。けど失敗を知らないわけじゃないし、何でも出来るとも思ってないし、俺なりに色んな苦悩もしてるよ」


「お前は凄いな」


「なんだよさっきから気持ち悪いな」


「……人が褒めてるのにそういうこと言うんじゃねーよ」


「はははっ。ま、俺のことを批判したいなら俺ももっと知ってから言うんだな」


「そうだったな。俺はただお前の一部を見ていただけだった」


「じゃあ俺と友達になってもっと俺を知るんだな」


「友達、か」


「自分より年下のやつで生意気なやつと友達になるのは嫌か?」


「いや、お前とならいいかもな」


「じゃあ今から俺とお前は友達だ」


「あぁ」


 俺とガルアは拳を合わせた。


 ガルアとは今までただの腐れ縁だったがもっと仲良くなれてよかったな。その代償がずきずきと痛むが。


「これ以上は俺も治せないな」


「けど血は止まったよ。ありがとな」


 俺は立ち上がった。


「それよりさっきのはなんだったんだ」


「こいつは、多分ヒュドラーの子供だな。幸い毒は持ってないな」


「子供か。だからすぐ死んだのか」


「この先にも何体かいるはずだ。行けるか?」


「この程度の魔物ならいけるよ」


「じゃあ行くぞ。もしかしたらその先に出口があるかもしれないしな」


「あぁ。ヒュドラーを倒すためにもさっさと進むか」


 俺とガルアは先に進んだ。





「私の剣技見るがよい!」


 白いコートに白いマントを着ているレオ団長は最前線に走りながら蒼いレイピアを抜いた。


「聖なる水よ、我がウィリアム家の名の元にその力を示せ」


 手から高水圧の水がレイピアに流れ先に凝縮される。


「流水集乱!」


 詠唱魔法を唱え、物凄い速さでヒュドラーを貫通力の高いレイピアで突いて弱らせていく。ヒュドラーは叫んでいる。


「フンッ、これが私の力だ。覚えておくが良い。まぁ貴様は今日で死ぬがな」


 レオ団長は手で髪を後ろに流した。ヒュドラーは体を再生しようとしている。


「よーしっ!俺も負けれらんねぇ!ロビン!頼むぞ!」


 白いシャツに赤いジャケットと黒いズボンを着たゼクア団長は猛スピードで飛び出し拳に炎魔法の魔力を集中させて拳に炎が纏った。


「了解っス!Amplify the power of the body and the flame」


 黄緑色のローブを着たロビン団長は腰のホルスターに収めていた魔導書を開き、魔術を唱えるとゼクア団長の前に赤い魔法陣が出た。ゼクア団長が魔法陣を通ると筋肉と腕に纏っている炎魔法の魔力の力を増幅させた。


「っしゃオラァー!くーらーえぇー!」


 ゼクア団長は弱って止まっているヒュドラーの首を殴ると、肉を燃やし骨を折り首を吹き飛ばして首の切口は火傷し再生出来なくなった。


「よっし!一本貰ったぜ!」


 そうして9本あった首は4本になった。


「ドロシー団長。このままいけば倒せそうですね」


「そうですね。ですがケルベロスと同様に魔石強化されている可能性もありますので気を付けましょう」


 そう言い終わった時、未来を見ているドロシー団長の脳にヒュドラーが毒を吐き出す光景が見える。


「ヒュドラーが毒を吐きます!周りにいる剣士などは避難を!」


 それから5秒後ヒュドラーは周りに毒を吐き散らかした。ドロシー団長のおかげでそれに当たる人はいなかった。


「毒を踏まずに再び攻撃を!残りは4本です!このまま油断せず首を斬りましょう!」



〔ロビン団長〕


 男 身長 168cm 体重 58kg


【特徴】

・黒髪。前髪が目元まである

・黒目

・黄緑色のローブ

・腰のホルスターに魔導書


【性格】

・ネガティブ思考

・独り言が多い

・魔術は一流だが自身がない


【ジョブ】

・白魔術師


【得意属性】

・風


=======

ルイナ「ヒュドラー死ね!」

ヨミ「ルイナお姉ちゃんがやけくそになってて怖い」

リーザ「怒りに身を任せるとはまだまだだな」

ルイナ「はぁ⁉じゃあヘルサ先生がいなくなった時のこと想像してみてくださいよ!」

リーザ「……死ね!」

ヨミ「アルトお兄ちゃん、早く帰ってこないかな」


=======

暑くなってきましたね。イルです。

コロナの次は暑さで外に出にくいです。今年は豪雨来ないことを祈ります。


今回は穴に落ちたアルト視点とヒュドラーと戦ってる騎士団視点がありました。こういうの書きたかったんですよね~。


ではまた来週~。

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