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第百十八話 最優先

「あ~つ~い~」


 照りつける太陽。変わらない景色。沈む足元。そんな中流れる汗を手で拭きながらえりはそう言った。


 ここは日中は暑く夜中は寒い砂漠であり、俺達騎士団はヒュドラー討伐のためにヒュドラーがいる場所に向かって歩いている。


「だから仕方ないだろ。ここで魔力を使うわけにもいかないんだから耐えれるものは耐えないと」


「もう耐えらんないよ~。もう水魔法の魔力被っていい~?」


「ダメだ。頑張れば我慢できるだろ。お前ならできるよ」


「……頑張る」


「アルトお兄ちゃん、えりかお姉ちゃんの扱い上手いね」


「まぁ昔はずっと一緒にいたからな。あと扱いって言うな。ヨミは大丈夫か?」


「私は大丈夫だよ。それよりルイナお姉ちゃんが……」


「暑くない暑くない暑くない暑くない暑くない暑い」


 ルイナは少しふらふらしながらぶつぶつと自分に言い聞かせている。


「おーい、ルイナ。大丈夫か?」


「大丈夫じゃないわよ。こんな暑い中、なんの魔力も纏わずにいるなんてできないわよ。バカじゃないの」


「口悪くなってるぞ」


 得意属性が氷なのも影響してるかルイナは暑いのが苦手らしい。暑がりだとは思ってたがここまでとは。


「どうしても耐えれずに体力を持ってかれる人は魔力纏ってもいいって言ってたしルイナはしろよ」


「アルトとリーザ団長にもダサいところを見せたくないのよ」


「無理に強がってる人がダセーよ。無理するな」


「アルトがそういうなら」


 ルイナは氷魔法の魔力を纏った。


「ふぅー、生き返る~!ほら冷たいでしょ私」


 ルイナは俺に腕に抱き着いた。


「はいはいそうだな。くっつくならえりにくっついてやれ」


「えりかちゃんに冷たさをお裾分け!」


 ルイナはえりの腕に抱き着いた。


「あぁ~涼しい~。でも腕に憎い物が当たってるんだけどー」


「それはどうしようもできないけど反応してくれだけまだマシね。アルトはなんの反応もしないんだから」


「どう反応しろってんだよ……」


 それから数時間歩き続けた。


「さすがに俺も疲れてきたな。まだ歩けるには歩けるけど」


「そうね~。だいぶ歩いたしもうそろそろヒュドラー出てきてくれないかしら」


「出てきたら出てきたで怖いけどな」


 ふと、前にガルアが一人で歩いているのを見つけた。最近あんまり話してない気がするし話しかけてみるか。


 俺はガルアの隣に来た。


「ちゃんと水分補給してるか、ガルア」


「てめぇに関係ねーだろ」


 なんでそんな不愛想なんだ?


「なんだよ、俺はお前のことを心配して言ったのによぉ」


「てめぇに心配されるほど弱くねーよ」


「なぁ、なんでお前怒ってんだよ」


「ちっ、うるせーんだよ」


「はぁ?何がだよ」


「お前のなにかもだ!」


 ガルアは俺を睨む。


「意味わかんねーよ!」


 クソ、イライラしてきた。なんでこいつは怒ってんだ。





 同刻。


「ん?あれは、オアシスでしょうか」


 先頭を歩いている第六騎士団の副団長が湖を見つけた。


「そろそろ皆も疲れてきた頃でしょうしここで休みますか、ドロシー団長」


「そうですね。一見ただのオアシスですが……皆さん戦闘態勢へ!」


 ドロシー団長が叫んだ。その10秒後湖から何かが勢い良く出てきて叫んだ。


「あれは、ヒュドラー!」


 9つの首と白い鱗を持った巨大な魔物、ヒュドラーが現れた。


「盾を持った人は前に出て防御を!魔導師も防御魔法を展開!」


 ヒュドラーは9つのどす黒い魔法を口から放った。だがそうすることをわかっていたため防御は既にできていた。


 その魔法は防御魔法にはじかれて軌道を変えて後ろに飛んでいった。


「他の騎士団が来るまで防御を維持する!」


『了解!』





 俺とガルアが喧嘩をしていると前から何かの叫び声がした。


「今のは」


「ヒュドラーが出たようだ!剣士や魔導師は急ぎ前線に出ろ!」


 リーザさんが指示を出しみんな走り出していく。


 そして俺はヒュドラーが撃ったであろう魔法が俺たちに向かって来ていることに気が付いた。ガルアもそれには気づいている。


「ここにいると危ないぞ」


「あの軌道だと俺達の後ろに落ちる。軌道計算もできねーのか」


「なぁ!さっきからなんなんだよお前は!」


 俺が言い終わると同時にヒュドラーが撃った魔法が俺達の上を通りすぐ後ろに落ちた。その瞬間、俺とガルアの足が滑った。


「なっ!」


「こ、これは」


 砂が魔法で出来た穴で砂地獄のように穴の中心に吸い込まれていく。真ん中にさらに穴があるのか?


 急な出来事に頭が回らずなんとか登ろうとしたが出来ず、俺とガルアはその穴に落ちていった。


「くっ。この空を流れる風よ、この身をっゴホッゴホッ!」


 詠唱魔法で飛ぼうとしたが口に砂が入り言えなくなった。そして俺とガルアは穴の底へと落ちていった。





「アルト!」


 私はアルトが落ちていくのを見てすぐに走ったが砂のせいで上手く走れなかった。どんどん小さくなっていく穴にアルトを追って入ろうとするとリーザ団長に腕を掴まれた。


「離してください!」


「今はヒュドラー討伐が最優先だ。お前も必要な戦力だ」


「私の最優先はアルトです!だから、だから離してください!」


「それは出来ない。それに、あいつらがそう簡単に死ぬはずがないだろう」


「そうかもしれないですけど。アルト……」


 頬に生ぬるい涙が流れた。


 何年ぶりに泣いたのだろうか。そしていつから私は魔王を倒す夢よりアルトと一緒にいることの方が大事になったのだろうか。大好きな人がいなくなるとこうも悲しいものなのか。


「大丈夫だよ、ルイナお姉ちゃん」


 ヨミちゃんが手を握った。


「どうしてそう言えるの?」


「わからない。けどアルトお兄ちゃんは無事。そんな気がするの」


「そう。そうね。大丈夫よねアルトなら」


 私はヨミちゃんの手を握り返した。





「ゆう君、大丈夫かな」


 さっきまで一緒に話してたのに一瞬で消えちゃった……。ゆう君、ゆう君、どこにいったの。



 ――私のゆう君を返して。



 違う。ゆう君は私のじゃない。こんなときにふざけたこと思わないで。


「えりかちゃん、行きましょう。ヒュドラーのところへ」


「う、うん。ゆう君は無事なはずだよね」


 私達は先にいるヒュドラーのもとへ向かった。


 ゆう君がいないと私は何もできないよ……。

〔ドロシー・フレイ・ミュエル〕


 女 7月7日生まれ 身長 140cm 体重 43kg


【特徴】

・淡黄色の魔導師の服

・鉛色の長い髪と銀色の目

・魔女のような黒い帽子

・言葉が少し棒読み

・最大10秒先の未来が見れる能力を持つ


【性格】

・寂しがり屋

・面白そうな人を占うのが趣味

・戦闘時以外は能力を使わないようにしてる


【ジョブ】

・魔導師


【得意属性】

・水


=======

ルイナ「アルト~。アルト~。アルト~」

ヨミ「ルイナお姉ちゃんが狂ったインコみたいになっちゃった」

リーザ「ふんっ、あいつがいなくなっただけでその様か」

ルイナ「はぁ!?なんですかぁ?その様ってどんな様ですか~?」

リーザ「何か言いたいことがあるならハッキリ言え」

ヨミ「アルトお兄ちゃん、早く帰ってこないかな」


=======

段々コロナも落ち着いてきましたね。イルです。

前よりは少し外に出やすくなりました。まぁそんなに外出ないんですけど髪が伸びまくってる切りに行きたいです。


今回は短めで、アルトとガルアが喧嘩して穴に落ちてしまいました。ここから天国編が始まります(嘘)


ではまた来週~。

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